キャノンデール・ドラパックの危機と、課金について思うところ。
ワールドチームのうちの一つ。
キャノンデール・ドラパックがピンチです。
いろんなサイトやらなんやらで情報が出ているけれども、
事態をものすごく簡単にまとめると、
キャノンデール・ドラパックが「お金が足りないから、来年チームないかもしれません。いやがんばるよ、がんばってスポンサー探すけど!だけど、スタッフも選手も、他に就職先探しておっけーです!」
と宣言した、みたいな感じ。
わざとすごく軽い感じに書いたけど、実際には大パニックです。そりゃね。
昨日のブエルタ第9ステージも、メイン集団はほぼずっとキャノンデール・ドラパックが牽引していました。
そんで、企業様向けじゃなくて、おそらく一般ぴーぽー向けに、クラウドファンディングでチーム運営資金募集を始めました。
いろいろ見たけど、これが「他のスポンサー見つからなかったらお願いします!」なのか、それとも「もう今すぐお金かき集めたいんですお願いします」レベルでの募集なのかがよくわかりませんでした。
まあ、とにかく、出資してくれたらお返しに何かくれる、とかじゃないから、今の時点ではこういうことになると思う。
すなわち。
『キャノンデール・ドラパック存続という事柄に対して、お金を払えるか』
さてさて。
ロードレース観戦を、ほんのすこしだけど実際に見に行くようになって、こういう言葉をよく耳にするようになりました。
「ロードレースは軽率な課金ができない。だから軽率な課金ができるようにしてほしい」
最初は、結構なるほどって思ったんです。
たしかに、すごく魅力的な走りをしてくれた選手やチームに対して、お金を使いたいなあと思っても、レース観戦自体はほぼ無料だし、現地で飲み食いしてもチームに入るわけじゃないし、かといって、応援するチームを支援しているブランドの高額な自転車をぽいぽい買うなんてできないし、軽率にグッズとか買う応援ができればいいんだけどなあって。
だから例えば、トレック・セガフレードなんかはありがたいんですよ。すごい走りを見た翌日は、セガフレードに寄ってコーヒー一杯でも買えば、多少なりとも応援できるじゃないですか。
でも、私にとって、これはあくまでも課金です。
トレック・セガフレードの選手やチームスタッフが、セガフレードの飲み物一杯分以上の価値がある走りを見せてくれたことに対する、私なりの値段の付け方なのです。
だけど、多分、この「軽率な課金」って言葉の受け取り方に対して「軽率な寄付」だと思っている人がいるなあって、ちょっと思うことがあります。
「軽率な課金じゃなくて軽率な寄付の方が、自分の感覚に近いかもー」って人は、それでまったくもって問題がないと思うし、じゃんじゃん寄付すればいいと思うのですが、個人的には、課金と寄付は違うのです。
課金ってのは、見返り求めてるんですよ。
「お金を払う価値があると思うから払う」のですよ。
将来的に払う価値があったらいいなーとか、価値ができるにちがいない、ではないと思うのです。
ましてや「大変そうだから、見返りなんていらないわ!がんばってね!」ではまったくない。
今現在、提示されたそのものの価値に対して、金額を払うのが課金です。
私がとってもお金に余裕のある生活ができるようになって、「軽率な課金」ではなくて「軽率な寄付」をしたいって思うようになったらまた違う感覚を持つのだと思うのですが、残念ながらそうではありません。
私は、価値ある走りを見せてくれた選手やチームに対して、何か課金をしたい、とは思うことはありますが、まだ何も私にとって価値あるものを提示してくれていない選手やチームに、寄付をしたいとは思いません。
私は、声の仕事につきたくて、現在自分に投資をしている段階です。
毎日会社で働いて、それによって稼いだお金を投じて、ナレーションのレッスンに通ったり、身体表現の稽古を重ねています。
自分自身が、いろんなものを費やして、日々課金してもらえるだけの価値を持てるためにどうすればいいか模索している段階だからこそ、それがたとえ大好きなサイクルロードレース観戦であっても、「軽率な寄付」にはとても抵抗があります。
だから、私はサイクルロードレースは大好きだけれど、
今回のキャノンデール・ドラパックの危機に際して、「よし、すぐ寄付しよう!」とは思えませんでした。
「でもクラウドファンディングって投資だよ?軽率な投資はだめ?」ってな話になるかもしれませんが、うーん。
投資っていうのは、回収計画があって初めて投資だと思うんですよね。
そのためには、投資先として有効かどうか考えられる知識と経験が必要なわけで、ロードレース観戦歴が浅い私には投資先としての可否を裏付ける材料が何もないので、投資という選択肢はないのですね。回収するめどを立てずに行う投資って、ただの寄付だと思いますし。
だから私は考えました。
この事柄に対して「寄付」じゃなくて、「課金」できるのか、って。
「来年存続してほしいから、お金をあげよう」じゃなくて、
「お金を払ってでも、存続してほしいと思えるだけのチームかちゃんと考えよう」と。
つまり、
2017年シーズンのキャノンデール・ドラパックに、課金してもいいと思うくらい魅力的な走りがあったかということです。
これだったら、もし結局このクラウドファンディングがうまくいかず、来年キャノンデール・ドラパックがなくなってしまったとしても、あくまでも私の出した金額は、今年の走りに対する課金だから、寄付とは感覚が違います。
2017年のキャノンデール……。
ジロのロランの再三のアタックと、勝利……。
cororn.hatenablog.com
そして、ツールで、マシントラブルを抱えながらステージ優勝し、最終的に総合2位になったウラン……。
cororn.hatenablog.com
…………言うことなくない?
と、いうことで、私の中では「キャノンデール・ドラパックのチーム存続=課金の価値あり」と認定されたので、少額ではありますが、昨日第9ステージ見ながら、ぱしぱしとクラウドファンディングページに登録をしたのでした!
ちゃんちゃん。
まあ何が言いたいかというと、お金を出す判断基準はそれぞれだから、ロードレースが好きだから助けたいって理由だけでお金を出せる人もいれば、とっても好きでも、それだけではお金を出せない、と判断する人だっているということです。
だから、自分なりに考えて、このクラウドファンディングに参加するなり、しないなりすればいいと思います。
私は、他でもない、今年いろんなレースで魅力的なレースを見せてくれたチームの一つであるキャノンデール・ドラパックだからこそ、課金しようと思いました。
そんな感じです。
※なお、この記事を書いている時点では、実際にはまだ課金ははじまっておらず「課金したい人の事前登録」の段階です。
フルネーム(英字)とメアドを入れて、いくら課金できるか選ぶだけ。実際に課金をお願いする段階になったら、登録したメアドにメールが来るそうです。