コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

2019年 全日本サイクルロードレース 男子エリート

普段なかなか日本のレースには出場しない、ワールドチームの新城幸也選手や別府史之選手も出場し、そんでもってコースが実際五輪でも使用予定の富士スピードウェイで行われた、2019年全日本選手権サイクルロードレース

わたくし、コロロン 、今回初めて全日本のロードレースを現地観戦して参りました!!

ということで、その模様とレース内容についての感想文を書きたいと思います。


さてさて。
まず。全体を通して言うと。

おてんきがぐっずぐずでした!!!
大変だったとか辛かったっていうより、マジめんどくさいよあんた!!って感じ!!
「山の天気は変わりやすい」とはいうけど、女心よりもコロコロかわります。
雨が降ったりやんだり晴れたり降ったり、合間に霧が出たり入ったり。
もしかしたら天候によっては、レース時間の短縮や変更もあるかなと思っていたのですが、御殿場付近では強風と大雨でも、富士スピードウェイあたりでは不安定なだけでそんなにひどくはなかったので、予定通り9時にスタートしました。


私がシャトルバスで会場についたのが、スタートの5分前くらいで、スタートの瞬間には間に合いませんでした。パレードスタートが開始された選手を追ってスタートした、去りゆくチームカーが見えました。
メインスタンドのたてものの後ろあたりで待っていたら、そのうち選手たちが現れました。

集団のまま、選手が現れました。
でも若干分裂していて、第一集団、第ニ集団って別れていました。
第一集団の中に最近私が動向を見守って応援している雨澤選手が見つけられなくて、一緒にいた観戦の先輩に「雨ちゃん見つけられなかったのですが、いましたか!!?」と騒いだ次の瞬間くらいに、第二集団が来て、そこに雨澤選手がいました。
なんかこれからあと200kmあるのに、私こんなテンションで大丈夫だろうかってちょっと思いました。

第二集団がぬけたあろ、ぱら、ぱら、と、すでに集団のペースから脱落した選手たちがやってきます。
今日は10.8kmのコースを21周するコースなので、遅れた選手はバンバンタイムアウトになってしまうことが予想されます。
おそらくこの選手たちはもうまもなくタイムアウトで切られてしまうのでしょう。
あとでマップをみたら、この時点がだいたい始まって6kmくらいのところでした。
パレード区間がどこまでだかわからないのでアクチュアルスタートから何kmかはわからないのですが、あっという間。


選手を見送って、スタンド建物の横の金網で待っていると、遠くに選手がちらっと見えて、また道が見えなくなって消えて、またちょっと待っていると、今度はスタンドの遠くの方からフィニッシュ地点を通り、次の周回に入った選手たちがやってきたのが見えました。さっき目の前で見た選手たちの、おそよ4km先を見てるってことです。
それを見送ると、また遠くに選手がちらりと見える。

今日のコースは、八の字を半分に折りたたんだみたいな、全周5kmの輪っか二つみたいなコースでした。
だから、もぐらたたきみたいに、こっちに選手が現れたと思ったらあらあんなところにもう先導車が、みたいに、見晴らしのいい観戦場所からだとほぼずっと選手たちの様子がみられるようでした。

だいたい1周、17分くらいで戻ってくるとのこと。
さっきと同じ、メイン会場の裏のコースで選手を待ちます。
やってきました!!
ここが、逃げがあったかどうだか覚えてないのですが、さっきの先頭集団と第二集団が、なんとなくじゃなくってはっきり分かれてしまってました。
加えて、主だったエース選手がみんな前の集団にいます。

ちなみにこの後ろの集団の方に雨澤選手がいました。

すぐさまさっきの金網に移動。
しばし待って、選手がやってきます。

上から見ると、何が起きてるかよくわかります。
人数がたくさん入っている先頭集団。
それを追う、先頭集団よりも一回り小さい第二集団。
その後ろに第三集団らしきものがあって、うしろが、ぱら、ぱら、と置いていかれた選手たち。

第二集団はちゃんと先頭交代をしているのですが、それよりも、前に出よう出ようと位置どり合戦状態になっている第一集団の方が人数が多く勢いがあり、
加えてこのとき横風がものすごく強くて横風状態。
足がありそうな選手が、第二集団から飛び出して前にブリッジかけようとしているような様子が見えました。

逃げがきれいにできるまでは、落ち着かなそうだなあ。


金網の前から移動して、メイン会場にあるスタートリストを確認しました。
とりあえず、気になってる選手だけ番号を確認しようと思って、目で記憶。
このあたりに、たくさん出店も出てました。

メインスタンドの方も入ってみて、おっきな画面にレース中継映像が流れているのを確認したりして、また外にでます。

メインスタンドっていうのは、いわる富士スピードウェイの客席があるとこなのですが、客席から外に出るとき、そこにドアがあるわけじゃなくて、そのまま外なんですよ。
例えばコンサートホールとかだと、防音の扉があって、ホールがあって、ホールの扉あけて、それでやっと外に出られると思うのですが、
この会場は、その防音の扉がなくて、ホールがなくて、そのまま外って感じです。屋根付きの野外劇場のようなものをイメージしてもらえると、わかりやすいかもしれません。

だから、スタンドから外に出たり入ったりするのが、しょっちゅうでも、あんまり気にならない感じです。
メインスタンドで観戦すると、裏に飛び出していけば1周で二回ちかくで観戦できてお得だなって思いました。
ただし、階段昇降運動はかなりの負担になりそうですが。


外のメインスタンドの裏で、三周目の選手たちを待っていると、マトリックスの安原選手が一人で逃げてました。
けれど、すぐ後ろに集団が迫っています。
集団の先頭は、シマノの入部さんでした。
え、入部さん!?エースだよね!?と、ここでちょっとびっくりしました。
メイン集団の中で、雨澤選手と佐野選手がとなりあっていたので、ここで初めて今日の佐野選手を認識!
まだレースはじまったばっかりで目がスピードになれてないので、なかなか選手の認識ができません。

スタンドエリアで観戦するのは、レース終盤にしようと思って、そのまま歩いて、コース沿いに歩いて行きました。選手たちと逆の向きに、コース脇を遡って歩いていく感じです。

実際私はこの日、このコース上フィニッシュ地点まで残り4kmのエリアから、遡って残り7kmのエリアまでをうろうろ観戦するのですが、
ちょっとこの実際に目でみた区間だけ、どうなってるか先に書いておきます。

遡って7kmくらいのところは、選手たちにとって下りになっています。
くだってくだって、下りの終わりがほぼ90度のカーブになっていて、そこから直線の登りになります。
直線の登りをすぎると右にまがるカーブがあり、そのカーブを過ぎると今度は左まがりのカーブからの下り直線があります。
下り直線を終えて、こんどは登りにはいるのですが、その登り始めあたりがちょうどフィニッシュ地点まで残り6kmくらいです。
その先に小さなトンネルがあって、大きくゆるやかに左にむかってまがりながら、選手たちはずっとずっと登っていきます。
カーブが終われば、今度は直線です。
ただし、ここも半分くらいまでゆるやかな登り。この直線のど真ん中あたりが、残り5km地点で、ここから登りではなくまったいらになります。
その先に大きく右にまがるカーブがあるのですが、ここがだいたいメインスタンドの真裏。
今、入部さんを見かけたのが、この大きなカーブ地点です。

このコースにそって、まずは直線を歩いて行きます。じわじわ下っていく道を歩いていきます。
選手にとってはまっすぐな、じわじわ上りですね。

1kmくらいのんびり歩いていると、4周回に入った選手たちがやってきました。

安原さんの逃げは捕まっていたかどうかは、あんまり覚えてません。新しい逃げが、できかけていたくらいだったかもしれません。メイン集団が若干ばらばらしていた感じでした。
そこから少し遅れて、めちゃくちゃ苦しそうな佐野選手が他2名くらいと上がってくるのが見えました。

選手たちを見送ってからしばらく歩いて、先ほどの直線にはいる直前のカーブ付近に着きました。
カーブがあると何がいいって、遠くまで見通せることです。

5周目の選手たちがやってきます。今度はしっかり逃げができていました。
10人です。

主だった国内コンチネンタルチームがみんな1名ずつ入れて、うちブリッツェンが2名。
それを、54秒差でメイン集団が追いかけます。
メイン集団の先頭は、トレックの別府選手!

確かに、追いかける理由がある選手が、この逃げだとほぼ単騎で来てる海外勢と、あと愛三くらいしかいない……。

とても見やすい位置だったので、次の周回もここで観戦することにしました。

6周目。この1周回の間に逃げが一人減って9人になりました。

それを追う、追走。

……あれ、シマノに、ブリッツェンに、ブリジストンの選手が多数。
みんな逃げにチームメイト入れてるのに。
と、その後ろから猛然と追い上げるユキヤ。


ひさびさに見たからか、それともフォームとか体型が変わったのか、見ても「あれ、新城選手ってこんな走り方だったっけ?」って思って、なかなか認識できませんでした。



後ろからさらに3人続いて、

その後ろに続く大集団の先頭(ちょうど写真は先頭交代しようとしたところ)にフミ。

そうか、新城幸也選手と、別府史之選手を置いていきたいってことなのか。

ちなみに、同じく単騎出場の雨澤選手、小林海選手もこのフミの集団にいます。

この周回を見送ってから、次の観戦場所へ。
この先にトンネルがあるのですが、遠回りしてそのトンネル手前のところで観戦することにします。


メインエリアから2km近く歩いたこのエリアであっても、ほぼずっと解説の音声は聞こえました。
ただ、スピーカーの数が多いので、市役所の放送みたいにあっちこっちからタイムラグがある音声が聞こえるため、集中しないと内容は聞き取りにくいという難点はありました。
ちなみに、この時点で、マトリックスの佐野選手がすでにリタイアしていることがわかりました。


7周目。
さて、やってきたメイン集団。

先ほどの逃げは潰されていました。
先頭は、シマノの中井選手。二番手につけているのが、ブリッツェンの鈴木譲選手です。

シマノのエース、入部さんは集団前方。
ブリッツェンのエース、増田さんはそのちょっと後方。


ユキヤはさらにその後ろで集団の真ん中くらい。
フミはさらにその後ろです。

ちょっと集団から離れかけた場所に、まりの。

さらに数秒遅れて、次の集団ができています。

そして、それからさらに遅れて、一人やってくる雨澤選手。

めちゃくちゃ写真はとれたけど、そんなことは重要じゃないんだ!!
雨澤さん……!!調子取り戻せてないのか……!
ちなみに、雨澤選手はこの6km先の次のスタート/フィニッシュポイントにて、自転車を降りたようです。


単騎出場も雨澤選手を応援していた私はちょっと落ち込みましたが、
でも、まだまだレースは続きます。
次は、さらに歩いて、その先のくだりゾーンにて観戦です。
下りなので迫力はありますが、速すぎて選手は一瞬で通り抜けてしまう区間です。

すると、この8周目で一人の選手が逃げてきました。
ブリジストンの、徳田選手!
若干の間をあけて、それを一人で追走する、ブリッツェンの阿部選手!
それをシマノ率いる集団が追って行きます。


選手たちを見送ってから、草っ原のカーブを歩いて、直線登りゾーンに出ます。
一般観客が使用していい駐車場の前の直線の上りなので、ここでみている方もけっこういらっしゃいました。

ここの真ん中くらいで、9周目の選手たちがやってきます。
先頭は、先ほどから一人で逃げていた、ブリジストンの徳田優。
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追走していたアベタカは吸収されたようで、集団はシマノのコントロール下にありました。
シマノの黒枝咲哉選手が先頭です。
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ちなみにこの次のスタート/フィニッシュ地点で、レースに残っている人数は56人でした。

最初に説明したように、この直線を上りの先には、ほぼ90度のカーブがあって、その直前は下りです。

登ったり下ったりして、くだりの先にはほぼかならずカーブがあるので、毎回毎回あがったスピードを落とさなければならないコースです。
つらい。


さて。下ってすぐの大きな90度カーブで、10周目の選手たちがくるのを待ちました。
先頭は一人逃げの徳田さんのまま。

タイム差1分30秒くらいだったかな、メイン集団が現れます。
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ものすごく綺麗にシマノトレイン、ブリジストントレイン、ブリッツェントレイン、キナン、愛三と並んでいます。
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その後ろに、マリノ。
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さらに数人後ろに、ユキヤ、フミ。
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選手たちを見送ってから、もうちょっと先の、フィニッシュエリアまで残り7kmの地点まで歩きましたが、あんまり先に行くとフィニッシュシーンが見られないので、先に進むのはやめて引き返すことにしました。

もう一度、さっきのきれいなトレインが見えた、カーブのところに戻ります。

11周目。選手がやってきました。
先頭は徳田さんのまま。約3分くらい後に、メイン集団が現れます。
集団を引いていたシマノトレインの中に、ブリッツェンのアベタカが混じってました。

と、ここで、先ほどまでブリッツェントレインの中にいた鈴木譲選手が、集団の最後尾に現れます。
さらに、集団から若干遅れて、同じくブリッツェンの掘選手。
あれ?さっきまで余裕だったのに。

どうやら、岡選手にパンクのアクシデントがあり、そのフォローに入っていた模様です。



てくてく歩いて、さっきの草原からの下り坂あたりで、12周回目の選手がやってきます。
タイム差は若干縮まって、2分30秒くらいになってました。
集団は、相変わらずシマノとアベタカがコントロール


さらに歩いて、先ほども観戦していた、トンネル手前の坂区間で待ちます。

13周目。
徳田選手が来ました。
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タイム差2分10秒で、メイン集団です。
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アベタカが率いていて、シマノトレインのあとにブリッツェンが続きます。
フミがそのすぐ後ろに上がってきていました。
その後ろにブリジストントレインがあるのですが、ここにはユキヤがいました。
二人とも、集団の中での位置がだんだん前に上がってきている気がします。
単騎という意味では同じ立場のマリノは、もっと後ろの方。チームメイトが少ない選手が、ざわざわいるあたりです。

ワールドチームの2人の位置が変わっている……。
なんか、ぞわぞわします。
逆に、マリノ、そこでいいのかな?
マリノ選手も、単騎参戦だから、戦略としてはフミやユキヤと被るはずだと思うのだけれど。


続いての周回。14周目。
タイム差表示1分12秒のバイクを確認後、徳田選手が現れます。

そしてメイン集団。
アベタカが引いているのですが、なんか、フミが列を離れている。
って、え?こっちくる?
ちょ、フミが来る!!!

と、慌ててのけぞった瞬間にとったのがこの写真。
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フミが、サイドから、ぐぐいっと、この集団を置いていっちゃいました!
目の前すぎて写真ぶれた!けど、めちゃくちゃアベタカが警戒しているのがわかりますこの写真。

ちなみに、もちろん観戦時、選手に万が一にもぶつかることのないよう、コースに身を乗り出したりはしてませんし、混んでもないので、コース脇ギリギリに立ってもいません。
だから、その場に踏みとどまっても全然何も問題はなかったのですけれど、
なんか、フミがね。静かに速かったのです。
サドルから腰もあげてないし。
だから「あれー、フミが列をはなれ…………ちょ、早っ!もうこっち来た!!」みたいな感じで、びっくりしたのです。


すぐに2人くらいの選手がチェックに向かいます。ブリジストンと、あとブリッツェンもチェックに向かった気がします。
フミはシッティングのまますいーって行っちゃったけど、追いかけていった選手はダンシングしてました。
ちなみに、ユキヤは集団真ん中くらいの位置のまま。とくに動きなし。
マリノもほぼ同じ位置にいます。


しかし、あと、約70kmちょいくらい残っているこの段階。
逃げもまだ捕まえていないこの状態。
……フミは、何の意図があって戦いをしかけたのか。

定石でいえば、逃げを最後までほっといて、最後に捕まえるっていうのがサイクルロードレースですが、
全日本みたいに各チームの戦力が違うと、あんまりセオリー通りにはいきません。

もし、ブリジストンの徳田選手の逃げが潰れて、再びレース序盤みたいな、各チームの選手が入った逃げができたら、圧倒的に不利なのは、フミやユキヤたち、単騎で参戦している選手。

それを避けるために、アタックかけて、集団のスピードをあげて、アシスト選手たちを振り落とす、ってことをやろうとしているのでしょうか。
ブリッジで徳田選手と一緒にいこうとするには、ちょっとタイミングが悪いし。

そうえいば、フミやユキヤ、マリノなど、単騎で戦っている選手たちにとって、チーム戦略が使える国内チームに所属している選手たちのチーム戦術が脅威っていうのはわかるのですけれど、
例えば、フミやユキヤは、お互いをどれくらい脅威だと思っているのでしょうね。
もっというと、国内チームのアシストを削ることと、単騎で参加してる強い選手の足を削ることでは、どっちの方が重要だと判断しているのでしょう。

……でもなあ、何にせよ。残り70km。
たとえばこのアタックが、ユキヤを振り切るためのものだとしたら……いや。リスク高すぎる気がする。
みたいなことを悶々と考えたり、一緒に観戦していた人たちと話したりします。
ちょー楽しい。夢のような時間です。

あと、確かこの周回で、シマノの野寺監督に声援を送ったら、
右手で左耳に携帯をあてて通話をしながら、左手でハンドルを握りつつ、そのまま左手で声援に手を振ってくれるという、不思議な技を見せてくれました。
何がどういう動きになっているのかよくわからなかったけど、カッコよかったことだけは確かです。


再び移動して、トンネルの反対側にまわります。
歩くと遠回りですが、選手たちからすると、さっき私たちが見ていた位置の20mくらい先、くらいな感じでしょうか。

そして、見えてきた先頭。15周目です。
逃げが崩れて、先頭が変わってました。

先頭から、石橋学、別府史之、早川朋宏、ここからブリッツェントレイン、阿部嵩之、鈴木譲、岡……と続きます。
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明らかに、集団の動きがさっきまでとちがっていて、レースが終盤に向けて動いていることを肌で実感しました。

そうすると、我々観客はどうするか。
どの周回から、フィニッシュ地点で観戦するかの選択を迫られるのです……!!!

絶対にフィニッシュはフィニッシュ地点で見たかったので、この時点で私はメインスタンドに向かって移動を開始しました。
途中、先ほど周目を見た、見やすい上りカーブで一度待機します。


16周目。
逃げができています!
右京とブリッツェン!ブリッツェンは岡!!
右京は誰かわからなかった!ごめんなさい!
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ものの数秒でメイン集団。若干お見合い状態。
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フミもユキヤもマリノも、集団前方に上がってきています。
ブリッツェンの増田さんも前の方にいました。

選手たちを見送ってから、またスタンドまで近づきます。
直線のエリアあたりで、17周目の選手たちがきました。

さっきと先頭が変わっている!単独先頭!!
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124、紺野さん!
そのすぐ後ろから、猛烈な勢いでアタックをかけているユキヤを筆頭に、もうバラバラになった選手たちが追い上げていきます!
もはや、どのチームもトレインなし!
つーか、こうやってアタックでバラバラに崩れていくのをみると、ツールで鉄壁のトレインを守り続けたスカイってやっぱりすごいチームだったんだなとか思います。


ほぼ同じ位置にて、続いて18周目。
逃げができている。
しかもさっきよりも、後続をきちんと突き放した、3人の逃げが。
それを先頭で弾くのは、
小林まりの!!!
マリノ〜!!!?
さっき位置どりがうまくいってないのかなとか思ってごめんなさい大変申し訳ない失礼しました!!
単騎で出場して、この場面でこの逃げに乗ってるって、素晴らしい!!!
残りの2人は、右京の小石選手と、そんでもってユキヤ!
ここまで、フミと比べると、若干動きがまだなかったけれど(比較の問題ね)、ここぞというときに出てくるタイミングはやっぱりさすが!!
ユキヤは問答無用で強いし、マリノはU23のTTチャンピオンだし、小石選手も去年の全日本TTで3位で、今年4位!
独走力のある3人の逃げだから、このままフィニッシュ地点まで逃げ切ってもおかしくない!!

その後ろから追走しているのが、
シマノ入部、ニッポ伊藤、ブリッツェン増田、ブリジストン窪木、右京横塚と続きます。
……こっちもTT強い選手入ってるな。

ただ、フミがこの辺りにいない……!?
フミはこの後ろの集団。


この観戦エリアが、ほぼスタンド近くだったので、スタンドのはじっこの方から、この18周目の終わり頃を、フェンス越し観戦。
すると、あれ!!?さっきの逃げが潰れてる!
あわあわしながら、スタンドの中心部へと近づいていきます。
そろそろ行かないと、フィニッシュに間に合わない!!

この辺、どこまで見て移動するかの、瀬戸際です。


19周目。
スタジオすぐ後ろのコーナーで観戦。残り25kmくらいのところになるのかな?
先頭が、来ました!

さっきと違う!!!
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右京の横塚さん、シマノの入部さん、そんでもってバーレーンのユキヤ!!
おおっと!!感情が追いつかないぜ!!
ただ、入部さんが入っていたことにテンションがあがるあがる!!
だって、今日シマノあれだけずっと引いてたんだもん!
このためだよね!入部さんが、ここぞというときに勝負できるようにするためだもんね!!
横塚さんも、以前プロ観戦者への道っていうイベントで、来歴とかを聞いたことがあるので、なんとなく親近感!
そんでもって新城幸也選手!!
やっぱりすごい!!
なんか、パラレルワールドとかで、今回の全日本が何回も存在してそれぞれ違う選手たちが残っているっていう複数通りの逃げがあっても、全部の逃げの組み合わせの中に入っている気がする!!


そして、結構タイム差をつけて後続集団!
追走の先頭は、フミ単独!ただし、数秒後ろにほぼ縦一列の後続集団が続きます。
フミが後ろを振り向きながら走っていたので、後続に戻って協調しているのか悩んでるのか!?

さあ。いよいよ、レースも終盤に入っていきます。
メインスタンドに入り、階段を降りてさらにさき。
完全に、コースのとなりまで降りられます。
残り50m地点のあたりに観戦場所を定め、ここでフィニッシュまで動かず観戦することに。

中継画面のいっぱいあってよく見えます。


さあ、残り約21km。
もうすぐ20周目に入ろうという段階の選手たち。

先頭はユキヤ、入部、横塚の3人!
ユキヤが先頭です!
客席側近くを、すごいスピードで走り抜けていきました。

それから1分以上あいて、続いてきたのはマリノ!そして愛三の草場選手!
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その後ろから、3名。うち一人がブリッツェンの……あれ、増田さんじゃない!!譲さん!!?
増田さんはその後ろの4人の選手の中に入ってました。
譲さんと増田さんの位置が入れ替わってる!?

ただ、譲さんのいる位置には、シマノの湊選手が。
そして、増田さんのいる位置には、右京の選手が一人入っています。
こうなると、それぞれ人数は少ない上に、協調したくない選手が一人ずつ入っているから追いかける側は不利。

マリノと草場さんは二人だし、
そして、横塚選手の走りはあまり見たことないのですが、
入部選手、そして新城幸也選手は、こういう場面で協調せずに牽制してしまうような選手ではありません。

実際に、会場の映像を見ても、3人で協調して逃げを確実なものにしようとする気迫が見て取れます。
かなり、この3人での優勝争いが濃厚になった気がします。


次の周回。21周目。
鐘がなります。ラストの周回です。
残り、約11km。

だんだんと霧が出てきました。
まるで19世紀のロンドン。霧の都
その真白い空間から、先頭の3人が現れます。
ユキヤ、横塚くん、入部さんの順。
一瞬なので、苦しそうかどうかはわかりません。
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さっきよりはコース中央寄りですが、それでも十分こちらに近い。
後続の選手たちは、反対側寄りなのですが、逃げの3人だけどちらかというと客席寄りをはしってるのですよね。
手前のコーナリングの位置が違うのか?
二回ともユキヤがこの区間の先頭を引いているので、ユキヤがそういう位置どりをしているのでしょうか。

追走は、1分12秒差でまず5人。草場さん、伊藤さん、マリノ、湊さん、譲さん。
そのさらに30秒ほど後ろから、増田さんと紺野さんの2人。
それからさらに30秒うしろに、6人の選手がきます。
さらに50秒後ろに、5人。
フミはまだ来ない。

結局フミは、先頭から6分以上遅れて、一人でやってきて、そのまま最終周の鐘の中、最後尾者として、霧の中に消えて行きました。



さあ、タイム差的に先ほどから変わっていませんでした。
このまま行けば、この3人の中から勝利者が決まるでしょう。
後続にマチューが出場してたらまだわからないけど、マチューは出てないからな!


ただ、このまま3人でのスプリントにはならないだろうと思っていました。
絶対に誰かアタックをかけて振り落そうとするだろうと。

で、漠然と思ったのですよ。

これ、絶対に誰かがアタックをかけるけど、こらえきれずにアタックかけた人が負けるなって。

なんでって聞かれると、もうこの時は直感だったので、説明に窮するのですが……。

今となって考えてみると、
なんというか、長距離のレースでここまでくると精神力の勝負みたいなところを感じるところがあって。

3人で最後まで行くって怖いじゃないですか。
アタックかけて、置いていきたいじゃないですか。
もちろん、そうできたらそれはそれで素晴らしい勝利なのですけれど、
レースを本当にすぐ横で見ていて、この3人の中でそれができるくらい明らかに余裕の選手がいるようには、見えなかったんですよね。


となると、この状況下で、一番最初にアタックをしかける選手がいたら、それは状況を見て勝てるって思った選手じゃない、勝利を焦って賭けに出てしまう選手だって。

だから、誰かが焦って仕掛けるっていうその状況がくるまで、強靭な精神力で冷静にじっと待てる選手が、勝つんじゃないかなって。

……。
で、ですね。


そう考えていた直後に、レース先頭の三人を映していた中継映像の中で、アタックがおきました。
しかけたのは、
ユキヤだったのです。

そして、
このアタックに横塚選手は遅れ、入部選手はついていきました。


この様子を見るまで、三人の逃げを見ると、新城幸也選手が勝つ可能性が高いのではないかと思っていました。
たった一人で、レース中盤までそれなりの位置を守りつつ、終盤近くの逃げに二回乗れる、レースに対する大局観と圧倒的な強さ。
でも、ここで新城幸也選手が、誰よりも先に協調を崩してアタックをしかけ、そしてそれに対処してついていくことができた入部さんの走りを見て、
これは、入部さんが勝つかもしれないと思いました。


新城選手の走りは確かに圧倒的です。
でも、ここで入部選手を引き離せるほどの差はなかった。
そして、ここまで耐えて耐えて耐えて耐えられる、入部さんはものすごく強靭な精神力で、自分が勝てる可能性が訪れる瞬間を、冷静に待てているということなのです。


新城選手を先頭のまま、2人はフィニッシュ地点まで進んでいきます。
若干離れた位置に、横塚さん。


アタックをしかけ、それによって入部さんを引き離すことができなかったユキヤに残された選択は、アタックを繰り返してなんとか入部さんを引き離すか、もしくは前に出された状態のまま、スプリントで入部さんを上回るかの2択です。
入部さんは、ただこのままユキヤについていって、最後にスプリントで刺す。これだけです。

入部さんは、横塚さんに追いつかれるかも知れないことは、もう考えなくてもいいのです。
横塚選手が追い上げてきても、入部さんが自分でひかないと追いつかれるって判断するよりも前に、ユキヤがひいてしまうでしょう。
だって、もうユキヤは、入部さんよりも堪えられないことを、さっき露呈してしまっているのです。

別に、ユキヤの精神力が弱いと言ってるわけではありません。
スポーツは、肉体だけでも、精神だけでも勝てません。バランスです。
針に糸を通すような勝利の瞬間を待つ精神力が必要なのは、その瞬間を待たないと勝てない選手だけ。
力技で圧倒して勝てるなら、必要な精神力はまた別のものです。
言い換えると、ユキヤは入部さんよりも強いから、入部さんほど堪える精神を鍛える必要そのものがなかったはずなのです。

だから、この状況下でこの2人が残った以上、
ユキヤは力技で、
そして入部さんは、勝てるための一瞬をギリギリまで待って堪えることで、
それぞれの戦い方で勝利に向かって走り続けるしかないのです。



残り1km。
カーブで、新城選手が再度しかけました。
入部選手を引き離すための、とどめのアタックです……!

いくら駆け引きだなんだって言ったところで、それを引きちぎる足があれば勝てるのがロードレース!
けれど、入部さん、引き離されません!!

ユキヤを先頭に、二人は最後の直線に入ります。


私も、画面を見るのをやめました。
霧に隠れ、隣の観客のかげに隠れた、コースの奥。
そこから、私の目の前に飛び出してきたのは。

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入部さん……!!

その後ろから続くユキヤ……!
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けれど、残り50mでこの差はもう覆らない……!!

2019年全日本選手権優勝は、
シマノレーシングの、入部正太郎選手!!!!

この瞬間、私は去年の全日本を思い出しました。
2018年の全日本選手権
出場している選手の中で一番強いって思われるほど、全日本に標準を合わせて完璧に仕上げてきたのに、勝てなかった入部さん。
かなり後方から、それこそ去年のマチューばりに追い上げて、でもそれでも4位だった入部さん。
実力的には一番強かったかも知れないと評されたとしても、勝てなければ、その評価に意味はないということを、たぶん嫌というほど思い知らされたことでしょう。

けれども、そうやって報われなくても。
入部さんは、決して投げ出すことなく、今年もちゃんと一つ一つ積み上げて、この全日本に挑んだのだということが、感じられるレースでした。
だからこそ、勝てた。
ものすごいことだと思います。


そして、入部さんがそんな素晴らしい選手だからこそ、シマノレーシングの選手の方々は、入部さんが優勝争いに絡める展開にするために、チーム一丸となって今日のレース展開を作り出したのだなと思いました。
そして、そういうチームを作ることのできた、野寺監督もまた、素晴らしい監督だと思いました。


でも、それは勝った入部さんや、シマノのチームの方々だけに言えることではありません。

骨折からの復帰して、一人でレースに臨んで、終盤にあれだけの素晴らしい走りを見せて、2位に入った新城選手。

それに、レース終盤近くまで、絶対的な王者としてレースの動きを左右していたのは、別府史之選手でした。

最後、別府選手は最終完走者として、フィニッシュ地点に戻ってきます。
そして、フィニッシュ地点を超えるとすぐに、その場で自転車をおり、観客に向かって手をふってから、一礼しました。

その瞬間は、観客すべてがフミのものでした。
フミの一挙手一投足を、会場が見て反応していました。



最後、3位に入った横塚さんも素晴らしかったし、
フミやユキヤと同じように不利な状況にも関わらず、その一つ前の大逃げに入ったマリノもすごかった。

いろんなところに、たくさんのヒーローがいました。
勝利を目指して戦った、全ての選手とスタッフの方に、お疲れ様でしたと伝えたいです。

そして、勝った入部さん。

入部さんが勝ったのは、勝つために積み上げてきたものがいっぱいいっぱいあったからだと思います。
それは、ただ足の力だけじゃなくて、精神力もそうだし、チームメイトや監督からの信頼もそうだし、たくさんたくさんあったから、今年の勝利が入部さんのもとに来たのでしょう。

心から、おめでとうございます。




そして、毎度毎度の繰り返しになりますが、
これは、現場でレースを見ていた、一ファンの勝手な感想です。
私はこう受け取ったというだけで、レース展開の解釈について、間違ったことや、とんちんかんなことを書いてしまっているかもしれません。


…………だってさ。
私、レース中にとってたメモ、『54秒』って、たったこれだけだったのよ!!?
なんで5周目のタイム差だけ記録してんのか意味わかんないんだけど!!!もっと他に書くことあっただろうが自分!!!

ということで、
すごい長いレースだったにも関わらず、ほぼ自分の記憶力と自分でとったブレまくりの写真データに頼り切った感想文ですので、「こんなレースだったのか」ではなく、「こんな感じで見てる人いたんだねー」って感じで受け取ってもらえたら幸いです。
正確さを求めてはいかん。

長いレースでしたが、最初から最後まで、展開がどうなるかわからなくて、楽しかったです。むしろ、長いから楽しかった。
また来年も、現地観戦したいなって思いました。

おしまい!!!

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