コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2017 第6ステージ

今日は、3級、3級、3級、3級、2級、くだってゴールのステージです。
ちまちま上り下り。……いや、ブエルタの3級は全然ちまちまじゃないんだけどさ。
そこまで厳しい山岳はない、でも登り自体はいっぱいある……。
プロ観イベントからはや数日、さっそく逃げ切りやすいステージが来たということですね!


最初、28人の逃げができて、さらにそこからクイックステップ・フロアーズのボブ・ユンゲルスとロット・ソウダルのモンフォールが飛び出したようです。

残された追走26人の中には、山岳賞狙っている、キャノンデールドラパックのヴィレッラや、トレック・セガフレードのハリンソン・パンタノ、UAEはアタプマとポランツェ、アスタナはルイスレオン・サンチェスとかが入っています!
人数が多いのは、モビスターとアスタナ、各3名ずつ。

残り80km地点でのタイム差は、先頭と追走が46秒、そこから大体1分15秒遅れてメイン集団という感じです。
メイン集団はあスカイが引いています。

んーむ。2分か。
……逃げ切らせたくないのかな。
最後下りだから、フルームがまさか取りに行く気……?


追走ではアスタナのセルゲイ・チェルネトスキーが速度をあげて、残り65.5kmのところで先頭の二人に追いついていきます。

吸収すると、どんどんアタック合戦がつづきます。
が、ちょっと精彩に欠ける。決まりそうなアタックがない。
わらわらしながらも、トレックのパンタノが前にでて先頭にたってスピードをあげていきます。
一方、さっきまで逃げていたモンフォールとユンゲルスをはじめとして、数人がこのペースアップについていけず遅れていきます。


残り50kmを切って、タイム差はだいたい3分になりました。
ちょっと差が開きましたが、徐々に徐々につめていきます。

残り41km地点でタイム差は約2分。
ちなみに、みんな2級山岳への登りの真っ最中です。

ここで、メイン集団でトレック・セガフレードがアタック!
もっちろんコンタドールです!
スカイがすかさずついていきます。
フルームもペースをあげて引き離されまいとしています。
マイペースで有名なフルームが……。
いったんコンタドールがスピードをあおとしてやめるのですが、残り40kmでまたコンタドールがアタック!!
フルーム、振り返りながらスカイのアシスト選手につれられついていきます。

絶好調のコンタドールの走り、本当にかっこいい!!


残り39km、スカイのアシストがいなくなりました!
フルームが自分でひたすらコンタドールについていきます。
どんどん前からこぼれてくる選手が抜いていきます。
コンタドールすごい!ずっとずっとずっとずっと、自分で攻撃しつづけてる、アタックし続けてる、すごい!

残り38.5km。
ここで、コンタドールは、前から降りて来たパンタノと合流!
メイン集団っていうかメイングループは、パンタノ、コンタドール、フルーム、あとはBMCヴァンガーデレンとか、UEAのポランツェとか!!

……。
え、UAEのヤン・ポランツェ?もちろん強いのは知ってたけど、ちょっとびっくりした。


と、ここでヴァンガーデレンが落車!
何が起こったのかわからないのですが、ひっくりかえりました。
フルームたちも戸惑った様子を見せながらも、そのまま進んでいきます。

残り36km。
コンタドールがまたスピードをあげました!
パンタノが一旦離れてしまい、、コンタドール、フルーム、ポランツェ。

残り34km。
パンタノがまたコンタドールのところに戻って来ました!こっから下るからね!出番が止まらないね、パンタノ!
この時点で、先頭とはマイヨ・ロホグループとの差は、約1分!


先頭は、3名。
クイックステップ・フロアーズのマス、ボーラ・ハンスグローエのポランスキー、ロット・ソウダルのマルチンスキーです。
12秒遅れた追走が2名。ルイスレオン・サンチェスとモビスターのペドレロ。
その次が、パンタノ、コンタドール、フルーム、ポランツェのグループになります。
さらにその約20秒くらい後ろから、遅れた総合系の選手、二バリ、チャベス、アルあたりが必死に追い上げています。


ああ、どうしよう。メイン集団の争いがとってもとってもきになるのに、ルイスレオンの下りの美しさに見とれてしまう。
こんなに激しいコースなのに、ルイスレオンの下り方は「静」なんです。
他の選手もすごく速いのですが、がんがんずんずん下って行くっていう感じなのに対して、ルイスレオンのくだりは何も乱していない。
すごい。きれい。好き。もっと見たい。
でもコンタドールも気になる。でもルイスレオンの下りも見たい。なんだこの葛藤!!?


私がルイスレオンに見とれているあいだに、マイヨ・ロホグループはタイム差をつめていて、先頭とのタイム差が40秒を切って来てました。そして、さっきまで後ろのグループにいた、二バリ、アルたちが追いついて合流して、人数が4人からたくさんに増えてました。

先頭では、追走だったルイスレオンたちが先頭の3名に追いついて、5人になります。


ゴールまで残り23.3km。
先頭は5人。マス、ポランスキー、マルチンスキー、ルイスレオン・サンチェス、ペドレロ。
メイン集団はその30秒後ろです。20人の集団です。
がんがん各チームのアシストがまわしています。
その後ろに、クイックステップのデラクルスが率いるグループがいます。


残り21km。
メイン集団とのタイム差は、15秒を切って来ました!!

ここでメイン集団から、パンタノ離脱!
お疲れ様!すごかったよパンタノ!
パンタノは、約30秒後ろにいたデラクルスグループの最後尾についてゴールを目指します。

残り19km。
タイム差10秒を切って来た!

メイン集団の先頭は、コンタドールだ!自分で引いている!
いったい、今日はどこまで戦う気なんだろう……!


残り17km。
タイム差若干開いて、先頭とのタイム差は約12秒。

残り15km。
今度はメイン集団をサンウェブが前をひきます。
もうタイム差は5秒を切った!
と、ここで先頭集団でルイスレオンがアタック!すぐに潰されて、続いてマスがアタック!

このアタックについていった選手が逃げ続け、先頭は3人になります。マス、ポランスキー、マルチンスキー。あ、さっきの3人に戻ったんだ。
ルイスレオンとポドレロはメイン集団に吸収されました。

残り12km。
先頭3名とメイン集団との差は、約30秒。
…………ええ!?いつのまにこんなにタイム差広がったの!?


残り8.5km。
先頭3名とメイン集団とのタイム差は約35秒。

残り5km。
メイン集団から、ルイスレオンとUEAのポランツェが抜け出した!
この時点で先頭とのタイム差は約30秒。

残り4km。
タイム差30秒をきってきた!
若干先頭の3名、スピードを緩めたような気がします。

残り3km。
コンタドールとフルームがしゃべってる……。
ああ、もう今日はこのままゴールで、すでにメイン集団はなごやかムードなんだ。

ここで、デラクルスの集団のさらに後ろからパンクか何かで遅れて追い上げていたヴァンガーデレンがまた落車!


残り2km。
先頭3名、再度スピードをあげます!
後ろの2名とのタイム差は22秒!

残り1km。
17秒差!
先頭は完全に牽制状態。

残り600m.
タイム差15秒。
せまってる、せまってきている!ルイスレオンと、ポランツェがせまってきている!
でもやはりちょっと届かない……!
先頭の3名で、スプリント!
マスが先頭でそのままかけるけれど、二番手についていたマルチンスキーがスピードをあげて左手側から抜いて行く!そのまま少しずつ引き離していく!

ステージ優勝、ロット・ソウダルのトマシュ・マルチンスキー!
2位ボーラ・ハンスグローエのパヴェル・ポランスキー。3位がクイックステップ・フロアーズのエンリク・マス。
8秒遅れて、4位がアスタナのルイスレオン・サンチェス、5位がUAEエミレーツのヤン・ポランツェでした。
フルームやコンタドールチャベス、二バリ、アルたちは、先頭から26秒遅れてゴールしました。
……ポランツェ、何気にすごいと思う。


さて。総合順位。
1位のマイヨ・ロホは、スカイのクリス・フルーム
2位は、オリカ・スコットのエステバン・チャベスで、11秒差。
さらに2秒遅れて、3位がニコラス・ロッシュです。
4位は順位をおとした、ティージェイ・ヴァンガーデレン。フルームと30秒差になりました。
ちなみにコンタドールは、現在3分10秒遅れの23位です。

複合賞も、同じくクリス・フルーム
ポイント賞は、クイックステップ・フロアーズのマッテオ・トレンティン。
山岳賞は本日も前半山岳ポイントとりにきていた、キャノンデール・ドラパックのダヴィデ・ヴィレッラでした。


最終的に総合タイム差としては大きな影響ではなかったけれど、とにもかくにも今日はコンタドールの攻撃がかっこよかった。
踊るようなダンシングを、がんがん続けて、どんどんスピードあげて、集団ばっらばらにして、それでもまだ攻撃の手を休めない。
強いのと、かっこいいのと、魅せ方を知っているのと、いろいろ、本当にいろいろすごいと思いました。

そして、サンチェスの下りの走りは、やっぱり好きだ。


明日は、なんかよれよれな高低表のコースです。
眠気と戦いながら教室でとったノートとかに、気づくと書いてしまってる、あの長いよれよれな横線みたいなコースです。

これは、スプリンターステージ……か?
いろしろ疑問は尽きませんが、今日はコンタドールがかっこよかったし強かったので、明日以降のレースも期待しています!

プロ観戦者への道に増田選手が来てくれた話。

今日は、残念ながらJsportsのオンデマンドが不調でブエルタが見られないため、かわりに今日参加したプロ観戦者への道の話を書こうと思います。

せっかく8月のイベントだったので、今回は、夏休みの日記風に書いてみようと思います。
楽しさが伝わって、「行ってみようかな」って思う人が増えたら幸いです。



8月22日  くもり

今日は、プロ観戦者の道、というイベントに参加しました。
プロ観戦者の道は、簡単に書くと、「日本のサイクルロードレースの観戦勉強会イベントとかをやっている団体」みたいな感じです。
目黒駅近くにある、自転車文化センターというところで、栗村さんが司会になって大体月に一回ゲストを招いてイベントをやります。
今日は、宇都宮ブリッツェンの増田選手がゲスト来てくれました。
増田選手は、4月から、病気でずっとレースをお休みしているという話を聞いていたので、とっても心配していたのですが、部屋に入ってきたときから雰囲気がやわらかくて、ああ体調よくなって来ているんだなって思いました。

今日は、増田選手をゲストにジャパンカップの話をする、と聞いていましたが、最初はまず、増田選手の病気で休むことになった経緯や、闘病のときのお話でした。
増田選手は冷静にたんたんと話されていましたが、だからこそ本当に辛かったんだなと思いました。
増田選手は先日、レース解説で自転車レースの現場に復帰されたそうです。
そのお話をされているときの増田選手が、本当に楽しそうで自転車レースが好きだっていうのが伝わってきて、泣きそうになりました。
でも、私はそのレース見に行ってないので「私にはここで泣く資格はない……!」とこらえました。


それから、ジャパンカップのホテルがないよねーって話をしました。
それから、あとは笑ってはいけない法螺貝の話を聞いて、そしたら放送中に宇都宮ブリッツェンの廣瀬GMから電話が来て、廣瀬GMが電話出演をしました。
たくさんおしゃべりをして、廣瀬GMの電話は切れました。
そのあと質疑応答とかがちょっとあって、終わりって感じでした。

増田選手はすごく頭の回転が速くって、話がとっても上手でした。
同じ話をしていても、ただ普通に話す人と、人が聞いて面白くなるように上手に話の組み立てができる人とがいると思うのですが、増田選手は間違いなく後者の方だなと思いました。
エピソードとして聞いたことのある笑い話でも、増田選手が話すとより面白くって爆笑していました。


そのあとは、懇親会がありました。
缶ビールとかチューハイと、ちょっとしたおつまみとかが出て、参加者の方やゲストの方とかとお話をしました。
そして、お家が遠い増田選手が先に帰るってなったときに、プロ観戦者の方の計らいで、増田選手と一緒に写った写真をとってもらうことができました。
選手と一緒に写っている写真をとってもらったのは初めてでした。
とってもとっても嬉しかったです。


あと、懇親会の最中に、Jsportsの解説でおなじみの栗村さんに、前々からの疑問をぶつけました。
「逃げが決まりやすいステージの見分け方ってなんですか?」


ここ1年くらいずっと、これが疑問だったのです。
レースがはじまって逃げのメンバーとかで「あ、逃げ切りあるな」とかはわかるのですけれど、解説の方々が高低表見た時点で「ここは逃げやすいステージ」みたいに判断されているのが不思議で、前から機会があったら聞いて見たいと思っていたのです。

栗村さんは、すっごく丁寧に答えてくれました。
栗村さんが教えてくれた要点をまとめると、逃げが決まりやすいステージとは、
・獲得標高が高いステージ。スプリンターチームが逃げをつかまえる仕事をしないから。
・総合優勝候補がステージ争いをしないようなステージ。総合優勝チームが逃げをつかまえにこないから。
この二つの条件が揃うと、逃げがきまりやすいってことでした。

たとえば、1級山岳とかが最初に二つくらいあって、そのあと平坦が続いてゴール、とかだと、純スプリンターの選手は山岳で遅れてしまうし、平坦ゴールだとなかなかタイム差がつかないから総合勢が積極的にステージをとりにいかないので、逃げがきまりやすくなる、みたいな感じだそうです。

それと、同じようなステージ高低でも、たとえばグランツールの第2週だと逃げがきまりやすい、ということがあるそうです。
第1週だとみんな元気だから、逃げても「追っかけようぜ!」ってなりやすいし、第3週は総合争いの選手が死に物狂いで数秒のリードをとりにくるから、そこそこ疲れてるけどまだステージは残ってるしってなる第2週が、逃げが決まりやすいそうです。


ものすっごく面白くて、とってもわかりやすかったです。
私のような素人にも、こんなにわかりやすく丁寧に説明ができる栗村さんはすごいひとだなって思いました。

そのあと、増田選手の顔写真のお面をかぶってケーキを頬張る栗村さんの写真を撮って、解散しました。
そのときの写真をアップしようかと思ったのですが、いや、これは懇親会だからこそだなって思ってやめました。



いろいろ人と話せて楽しかったし、
前から知りたかったロードレース観戦のわからなかったところに関して教えてもらえて勉強になったし、
増田選手と栗村さんのトークは増田選手の話術の巧みさもあって笑いがとまらなかったし、
そして何より、回復した元気そうな増田選手の様子を見ることができて、よかったです。


また9月のイベントも行こうって思いました。


おわり。


ch.nicovideo.jp

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2017 第3ステージ

きょうは、ろっとそうだるの、でへんとがにげました。
かっこよかったです。

夏休みの日記もかけそうな感じでわかりやすく始まった第3ステージ!8時過ぎのスタートのとこから中継をやってたので、9時前には寝なきゃいけない小学生も、デヘントが逃げるとこくらいまでは見られたはずでしょう!

そんなわけで、やっぱりデヘントは逃げました。
でもルイス・レオン・サンチェスは逃げには入りませんでした。
「デヘントきたー!!」っていう嬉しさと、「サンチェス来ないのか?来ないのか!?」って気持ちが、半々。


逃げは7人で、後から1人合流して8人。
この中に、いつものようにデヘントと、昨年のジャパンカップで独走勝利をしたキャノンデール・ドラパックのヴィレッラと、そしてアーゼードゥーゼルからアクセル・ドモンとアレクサンドル・ジェニエの2人が入りました。


タイム差は、5分よりも大きくならないように、クイックステップ・フロアーズがメイン集団をコントロールしていました。

最初の1級山岳はデヘントが1位通過をして、そのまましばらく進んでいくのですが、残り55kmくらいのところで、アーゼードゥーゼルのドモンが一人飛び出します。

ドモンが先頭、7人の追走、そのあとにメイン集団というかたちのまま、二つ目の1級山岳を登って行くことに。

残り43kmくらいので結局ドモンは追走に吸収されるのですが、今度はジェニエがアタックをかけて、分裂。先頭はアタックをかけたジェニエとそれについていったヴィレッラ、そしてカハルラル・セグロスエレヘアーのフェラーリという3人の先頭集団になります。

一方そのころ、メイン集団では、モビスターのペドレロが単騎で飛び出しました。

残り39km。
先頭で、ジェニエがアタック!ヴィレッラがついていくが、フェラーリは行けない!


残り38km。
メイン集団はしばらく前からスカイが先頭で主導権を握っています。
クイックステップのアラフィリップが既にきつそうです。


残り36km。
先頭はジェニエとヴィレッラ。
それを追う第1追走がフェラーリ
第2追走は単騎のペドレロで、先頭とは約1分20秒差。
その約24秒後ろが総合優勝候補が控えるメイン集団です。


残り33km。
ここでUAEがアタック!アタプマとルイ・コスタ
そのままフェラーリとペドレロに合流しますが、フェラーリはついていけずこのグループは3人に。
しかしスカイもがんがんあげて差を詰めていき、1級山岳の山頂で、ほぼUAEのグループをつかまえます。

残り29km。
下り真っ只中。
まだ逃げているヴェレッラ&ジェニエ。
10秒後ろにメイン集団です。
ただ、メイン集団の先頭で、まだアタプマが「吸い込まれてたまるかあ!!」と粘っています。

残り27km。
捕まっちゃったー!先頭の2名、プロトンに吸収です。


残り20km。
下りつづけています。
つづらおり。
そして、まだUAEのアタプマが後ろにコスタを連れて集団の一番前にいます。
3番手以下は、スカイの選手が続き、その後ろに控えているのがバーレーンの二バリ。


残り15km。
……あれ。
先頭にUAEが一人増えて、3人になっている。
そのあとにスカイが5人続き、その5人目がおそらくフルーム。フルームの後ろに二バリがいます。

残り12.5km。
中間スプリントポイント。そのままいくかと思いきや、ぐぐっと一人スカイの選手が集団の左手側からあがります。しかし、その反対側からもう一人スカイの選手があがり、このあとから来た選手が1位通過。
フルームだ。
フルームが中間スプリントポイントを取りに来たんだ。

そのまま集団の主導権をスカイが完全に取り戻し、最後の2級山岳の登りへ。

登る瞬間、一気にスピードをあげる、スカイのディエゴ・ローザ。
ががっとあげて、ローザは離脱。
ローザがあげた勢いを殺さず、スカイが先頭のままのぼっていく集団。

残り10km。
スカイが先頭です。たぶん、引いているのはモズコン。
前から2番目がフルーム。その後ろがオリカ・スコットのチャベス、アスタナのアル、バーレーンメリダの二バリと続き、さらに後ろにモビスター、BMC、と続いています。

そして……コンタドールが遅れています……。


残り9km。
モズコンが退き、後ろから戻ってきたニエベが先頭を引きはじめます。


残り8km。
コンタドール、先頭から1分遅れています。

先頭のメイン集団は、13人。
メンバーはスカイのニエベとフルーム、オリカのチャベス、アスタナのアル、バーレーンの二バリ、クイックステップのデラクルス、BMCのヴァンガーデレンとニコラス・ロッシュ、アーゼードゥーゼルのバルデとポッツォヴィーヴォ、位置的にはチャベスと離れて集団の後方ではありますがオリカのアダム&サイモン・イェーツ、それとキャノンデールのマイケル・ウッズです。


残り7.9km。
フルームがアタック!チャベスが完璧に後ろをとります。
でも他の選手たちは遅れる!!


残り7km。2級山岳山頂。
先頭はフルームとチャベス
追走はなんとか差を詰めて来た、2秒差でバルデとアルが続きます。
そして下りへ。

残り5km。
先頭がフルームとチャベス
追走でアルとバルデ。
その後ろから単騎でデラクルスが追っています。

残り3.5km。まだまだ下ります。
フルームとチャベスのところに、やっとアルとバルデが追いつきました。
約10秒後ろにデラクルス。そのさらに3秒くらい後ろに二バリ、ヴァンガーデレン、ロッシュ、ポッツォヴィーヴォが続きます。

残り2km。
デラクルスのところに、二バリのグループが追いつきました。
先頭の4人とは7秒差。

残り1km。
ほぼ下り終わりました。
1kmのチェックポイントを通過すると同時にフルームがアタックを仕掛けますが、すぐに潰されます。
と、その直後!残り700mで、二バリグループが追いつきました!

そしてBMCのロッシュがアタック!!チャベスがチェックに入ります!
ロッシュを先頭にカーブをまがる。一旦牽制が入る。
と、ここで集団左手側から二バリが、右手側からアルがアタック!
二バリが速い!?
アルが二バリの後ろに入ろうと動きますが追いつけそうになく、フルームやデラクルスがアルの前に入って二バリを追います。

完全に一人前に出た形で、残り200mのカーブを曲がる二バリ!
後ろでデラクルス、フルームらがもがくけれど、距離がつまりません。二バリがかなり前!
なんども後ろを確認して、勝利を確認した二バリ!
右手を頭の前にまっすぐにあてて、ポーズとってゴール!
バーレーンメリダのヴィンツェント・二バリ、ステージ勝利

…………って。
あのポーズ、何だろう?

Jsportsさんの解説の宮澤さんのコメントによると、どうやら二バリのニックネーム、「メッシーナのサメ」にちなんで、背びれのポーズ、だったらしいです。
なるほどね!わたし「しゅわっち」かと思った。

ステージ2位はクイックステップ・フロアーズのデラクルス。
3位がスカイのクリス・フルームでした。

そして総合!マイヨ・ロホ!
フルームが、中間スプリントのボーナスタイムのおかげで、暫定総合1位に躍り出ました!
2位と3位と4位がフルームから2秒差で、それぞれクイックステップ・フロアーズのデラクルス、BMCのニコラス・ロッシュ、同じくBMCのティージェイ・ヴァンガーデレンと続きます。
5位がバーレーンメリダの二バリで、フルームと10秒差。その1秒うしろの11秒差の6位がオリカ・スコットのチャベスです。
ちなみに、コンタドールは、フルームから3分10秒遅れの総合30位です。
ううっ……3分か……。

フルームは、マイヨ・コンビナーダもとりました!
マイヨ・プントスは、本日の優勝者のバーレーンメリダのヴィンチェント・二バリがゲットです。
マイヨ・モンターニャは、本日逃げに入っていた、キャノンデール・ドラパックのダヴィデ・ヴィレッラのものになりました!


結局ステージは取れませんでしたが、第3ステージでもうフルームがステージ勝利狙って動くとは思ってなかったです。
……フルームがドーフィネあたりのとき不調に見えたのって、ダブルツール狙って、遅めの調整をしていたから……とか……。
まさかね。

それと、コンタドール
今日は、体調が悪かったそうなのですが、明日は3級山岳が一個あるだけのそれほどきつくないステージのはずだから、なんとか体調を取り戻してほしいです。

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2017 第2ステージ

今日は風の強い平坦ステージでした。
てっきりツールの平坦ステージみたいに、早々に逃げが決まるんだろうと思いきや、
今日はなんと逃げができないステージでした!!

みんなが逃げたがってアタックがことごとく潰された結果逃げが決まらないっていうパターンはそこそこ見たことあるのですが、今日はそうではなくてみんなが逃げたくなくて逃げができないっていうパターン。

まあ珍しい。


それだけ横風分断って恐ろしい作戦だ、とどのチームも認識していて、その対策のために余力使ってるから、余計な作戦はしないってことなのかな。
ツールのときの印象で「どうせスプリントステージで逃げたっていいことないんだろ!」とかって、みんながみんな思っちゃった、とかだったらどうしよう……。


残り75kmあたりで、1チームだけ横風分断作戦を仕掛けました。
トレック・セガフレード!!
が、うまく決まらず、そのままの状態でレースは進んでいきます。
でも、トレックが仕掛けて来たってことは、コンタドールの調子がいいということなのでしょうか?
わくわく。

そこからしばらく、大きなアタックとかはありません。
途中で大きな落車があってリタイアする選手が出てしまったり、いきなりプロトンが止まったから「何!!?」って思ったら踏切で、ものすごい勢いで走り去る電車をみんなで見送ったりしながら、レースは進んでいきます。


残り31km。
やっとここで横風作戦!
しかけたのは、カチューシャ・アルペシン!
時速約70km!はっや!!
それに乗っかって、前から5番目の位置についていたクイックステップのトレンティンがささっと先頭に出て、中間スプリントポイントをとっていきます。

残り28kmを切って、一旦この動きがとまりました。
結局みんな合流。

中間スプリントにかこつけて、あわゆくばこのまま分断しちゃえって思ったしばらく攻撃を続けたけど、うまくいかなかったのでやーめた!っていうことかな。


残り26kmで、今度はクイックステップ・フロアーズが横風分断作戦を開始するか!!?
って思ったけど、一瞬で終わる。

どのチームも、攻撃をしかけるまでは行かないけれど、各チーム前に前にあがってこようとしているので、スピードがだんだんとあがっていきます。


今日の優勝候補は誰だろーな。
個人的には、さっき中間スプリントをとった、クイックステップ・フロアーズのトレンティンが有力なんだけど、去年ブエルタ2勝した、オリカ・スコットのコルトニールセンも気になるところ。
トレックにはデゲンコルブもいるけれど……どうしても、今回のトレックコンタドールのためのチームって感じがするから、どこまでアシストをしてもらえるのかって考えると、条件は決して有利ではないかなあという気もします。
昨年の交通事故から、デゲンコルブはグランツールでは勝てていないから、なんとかうまくいってほしい気持ちもあるのですが……。


残り15km。
集団の先頭はサンウェブです。縦1列、とまではいきませんが、でもそれに近い形で細長く集団がのびています。


残り13km。
先頭がアーゼードゥーゼルとバーレーンメリダになりました。
ちょっとだけさっきより速度感がおちたかな……。時速46kmくらいです。
大きな円状の枝分かれカーブ(ラウンドアバウト)が続いているからかもしれません。


残り10km。
そこそこスピードはかなり出ているはずなのですが、なんだか集団前方が詰まって来ている印象があります。
しかし、残り9kmを切って、各チームがんがんスピードを上げていきました。
最初はサンウェブがちょっとあげましたが、そのあとスカイが主導権を握ります。


残り7km。
スカイが先頭でどんどんスピードをあげていき、だんだん集団先頭が縦1列のかたちに伸びていきます。
スカイの選手が前方5人くらいでがんがんローテーションを組んで回しているのです。


残り5km。
先頭のスカイが減った。もう一人だけ?
代わりにまえに出て来たのはアスタナの選手です。
この時点で、時速は大体60kmくらいです。


残り3km。
先頭はスカイのスタナード!
時速は約70km!
その後ろにアスタナの選手がついていますが、となりにはクイックステップがトレインを組みだしています。

残り2km。
ここでクイックステップがいったぁぁぁ!!
ここで横風分断作戦とは!!さっすがベルギーチーム!
この分断で前方のグループに残った選手の中に、クイックステップは3人!


残り1km。
分断で残った先頭グループの中から、クイックステップの牽引役の選手が一人飛び出しました!
すっと抜け出したときに、二番目に位置しているクイックステップの選手がわざとそのまま追わずに、そのまま独走態勢に!
これ、飛び出したの誰だ……?
今日の優勝候補だった、トレンティンじゃない……。
ランパルトだ!!
慌てて先頭集団に残っていたBMCのオスが追います!


でもこの時点でかなり距離が開いています!
かなり追走グループが迫ってはくるものの、もうランパルトの勝利は覆らない!

クイックステップ・フロアーズのイヴ・ランパルト、ステージ勝利!!

2位が、同タイムで同じくクイックステップのマッテオ・トレンティン。
3位がアクアブルースポートのアダム・ブライスでした。


アシスト役の選手がそのまま勝利っていうと、今年のジロの第1ステージを思い出しますが、今回は横風分断後の先頭グループがクイックステップの主導下にあったのもあって、もっとチームの作戦みたいに見えた感じがしました。万が一追いつかれてもきっちりトレンティンが勝てるぞっていう、クイックステップ勝利の動線ともいうべきものが、残り1kmから見えていたような感じ。
やっぱり横風ステージはクイックステップが強いですね。風が吹けば、クイックステップが勝つ、みたいな。


さあ、4賞ジャージです!
マイヨ・ロホ(総合)も、マイヨ・プントス(ポイント賞)も本日の優勝者、クイックステップ・フロアーズのランパルトがゲット!
マイヨ・モンターニャ(山岳賞)は、今日は山岳ポイントがなかった為、昨日と変わらずニコラス・ロッシュ。
マイヨ・コンビナーダ(複合賞)は、BMCのダニエル・オス。今日はちゃんと壇上で表彰されました!よかった!


さてさて。
明日はもう早速、1級山岳2つ、2級山岳1つと、きっちり山を登るステージです!
でも山頂ゴールじゃなくって、最後の2級を下ってからのゴールになります。

……ぱっとステージ高低表を見たとき、アスタナのルイスレオン・サンチェスの名前が頭をよぎりました。
でも、最初の山岳だから、総合狙いの選手がいっぱい動くのかな。


レースはなにが起きるかわかりませんが、きっと明日は逃げ集団ができると思ってます!(笑)
でも、逃げがないレースっていうのも、そこそこ面白かったな。
集団牽引チームがいるのかいないのか、見ててもよくわかんないとこがよかった。

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2017 第1ステージ

今年のラストグランツールが始まりました!ブエルタ・ア・エスパーニャ
三大グランツールの中で、いっちばんタイム表示や結果表示で、何が起こるかわからない予想外なカオスにあふれつつ、それも笑って流せる、一番気を張らずに見られるグランツールです。

第1ステージはチームタイムトライアル!久々ですね。

今回のチームTTでは、5番目のチームの選手のタイムが、チームのタイムとなります。
見る方としては、グランツールチームTTは久々なので、どんな感じだったっけって感じでみているのですが……。

落車が多くないか……?
UAEエミレーツ、ロットNL、モビスターも落車してました。
初日とはいえど、今日もタイムアウトはあります。
落車して一人でゆっくり走ってしまうと、明日走れない可能性もあるのです。
んむむ。心配。


落車といえば、ツールの第9ステージで落車したエース級の選手のうち、回復が間に合ったのがボーラ・ハンスグローエのラファウ・マイカ!
よかったよかった。
でもサガンは出場しません。ツールでほとんど走れなかった分、出場するかなあとも思っていたのですが、たぶん、世界選手権が9月末にあるので、ブエルタをフルで出ちゃうと調整が難しくなるから出ないのかなあと思っています。


レース中盤で序盤でそこそこいいタイムを出したのは、サンウェブです。
今年ジロで優勝したデュムラン出てくるかなーっとか思っていたのですが、今回は出場せず。
エースはケルデルマン。
そのサンウェブと同じタイムで、コンマ差でタイムを上回ったのは、クイックステップ・フロアーズ。
久々に、春先のパリ〜ニースで活躍したアラフィリップが出ています!
エースは、デラクルス。

しかし、やっぱりはやいのは、BMC!チームTTといえばこのチーム!
クイックステップのタイムを秒更新し、暫定トップに躍り出ます!
BMCは、カルーゾがエースです。
個人的には、ヴァンガーデレンも注目。

チームTTのタイム自体はそれほどふるいませんでしたが、総合で気にしているのは、オリカ・スコット。
エースは笑顔が素敵なチャベスですが、グランツールの総合で新人賞をとりまくっているイェーツ兄弟が二人とも出ているので、何かすっごい作戦とかしてくれるのでは、と勝手に期待値があがりまくっているチームです。


疾走順ラスト3チームは、モビスター、スカイ、そしてラストがトレック・セガフレードです。

モビスターは、今回はなんと、いつもグランツールでエースを担っているキンタナもバルベルデも出場していないので、なんとなく誰に注目してみればいいのか、迷います。
ベタンクールとかかなあ。

スカイはやっぱり、先日ツールを制したフルーム!
去年は、ツール制したあとのブエルタは総合2位でしたし、そのとき1位だったキンタナは今回出ていないので、優勝候補の筆頭です。
ただ、去年はかなり余裕をもった優勝だった気がしたルーツですが、今年は最後の最後まで戦ったツールだったので、ツールの疲れからどこまで回復しているのかがちょっと気になります。


そして、トレック・セガフレードのエースはもちろん、引退レースということで背番号1番をつけた、コンタドール
ああ、最後なんだ最後なんだ。
最後まで仲間に声をかけつつ、ゴールしていったコンタドール
もうカメラは完全にコンタドールに釘付けです。

でも、まあ3チームとも、チームTTのタイムとしては優勝を争うほどのものではありませんでした。


そんなわけで、
第1ステージの勝者は、BMC・レーシングチーム!
6秒差で、2位がクイックステップ・フロアーズ。同タイム3位でサンウェブと続きます。

総合注目のスカイは、BMCと9秒差。
オリカ・スコットは17秒差。
そして、コンタドール率いるトレックはトップのBMCと35秒差でした。

他のチームのエースナンバーで総合系の有力な選手だと、
ヴィンツェント・二バリ(バーレーンメリダ)が、トップと31秒差。
スティーブン・クライスヴァイク(ロットNLユンボ)が、40秒差。
ファビオ・アル(アスタナ)が41秒差。
ロメン・バルデ(アーゼードゥーゼル・ラモンデュアル)が46秒差です。

ただ、二バリとクライスヴァイクはともかく、アルとバルデは、ツールでの疲労からまだそれほど回復してないんじゃないかなあ……と思っています。
まあ、第3ステージの山岳ステージ始まったら、なんとなく各選手のコンディションも見えてくるでしょう!


ちなみに、BMCの中で先頭でゴールしたのが、ローハン・デニスだったので、明日総合リーダージャージであるマイヨ・ロホは彼が着て走ることになります。

デニスは、コンビナータ(複合賞)もプントス(ポイント賞)も表彰されたのですが、ツールや白みたいに表彰台に壁がなくって、BMC全員表彰出ずっぱりなので、
壇上でジャージ着て、そのまま脱いで、次のジャージもらうっていう不思議な表彰式になっていました。
山岳ジャージは、本日山岳ポイントがあったので、そこを先頭で通過したBMCのニコラス・ロッシュがとり、表彰されました。

それと、表彰式ではデニスが受け取ってましたが、デニスは今日山岳ポイントをとっていないので、本当はダニエス・オスがコンビナータでした。



……ブエルタがはじまったって感じがしますね!!

今年最後のグランツール、楽しんでまいりましょう!

『エスケープ』と『アタック』

先日発売された、2015年のサイクルロードレース全日本大会のことを書いたスポーツノンフィクション。
『アタック』佐藤 喬 著

アタック

アタック

ブエルタ始まる前に読み終わろうと思って、このお盆期間に読みました!

それと、その前作というか、同じ著者の方が、一年前の2014年の全日本のことを書いた、同じくノンフィクション。
エスケープ』佐藤 喬 著

エスケープ 2014年全日本選手権ロードレース

エスケープ 2014年全日本選手権ロードレース

こっちはね、もうちょい前に読み終わってました。


私がロードレースの映像を初めて見たのは、2015年の8月なので、この本で書かれているレースは、まったく内容を知りません。
2015年の優勝者だけ知っていましたが、レース展開もどこでやったのかも誰が全日本に出ていたかも知りません。

そういった、初心者からの視点として書くなら。


あのね。
エスケープ』が圧倒的によみやすくて面白い……!!


ちがうのちがうの!『アタック』が面白くないって言ってるわけじゃないの!そういうことじゃないの!!

あくまでも、個人的な印象ですが、私はこの二つの作品をこう捉えました。
エスケープ』は「2014年全日本ロードレースの話」。
『アタック』は「2015年全日本ロードレースへ挑む選手たちの話」。

この本は両方とも、いろんなチームや選手への取材したものをもとに、時系列でレースやレース前の事情を追って書かれていると思うのですが、特に『エスケープ』の構成は、物語のそれに近いなと感じました。
全日本レース前の状況を伝えるプロローグがあって、そしてレースの中で起承転結があって……みたいな。
『アタック』は、『エスケープ』の次だからだと思うのですが、そのプロローグにあたるレース前部分がとても長いです。全日本に向かうまで、エースが決まるまでの道のりが、とても丁寧に描かれ、反面全日本レースそのものに割かれている部分は、『エスケープ』に比べて少ない印象を持ちます。

私は普段、芝居とロードレース関係以外の本は小説しか読まないので、私のようなものにとっては、『エスケープ』の方が読みやすくて、面白いと感じたのですね。

あと、これは好みもあるとは思うのですが、もし仮に『エスケープ』も『アタック』も、現実に起こったレースじゃなくて架空の物語だったとしたら、『アタック』の視点や構成では、小説として成立しないと思うのです。
「つづく」が最後にないと、これで完結、とかなったら支持はされないと思います。
でも『エスケープ』は成立します。中の文章の構成とか、レース展開や読者の裏切り方を考えても、『エスケープ』の内容なら、これ一冊で完結の小説としてもありだと思うのです。

だから、『エスケープ』の方が、レースの物語としてはとても受け取りやすい。


ただね。
ノンフィクションなんですよ。
どちらも、現実に起こっていたレースなのですよ。

レースを見ていても、あるじゃないですか。
「まるで誰かが書いた物語のように、奇跡のようなレース展開」があるときと、
「どんなに願ったって、これが現実のレースなんだ」って受け止めなきゃいけないとき。

ついでに、それって誰の視点かによって、同じレースでも奇跡と絶望に印象は別れるじゃないですか。

全然どの選手にも思い入れのない状態の私が読んだら、奇跡のようなレースが『エスケープ』で、これが現実なんだっていうレースが『アタック』でした。
なので、普段小説しか読まない私は、『エスケープ』を支持するのですが、でもだからって、『アタック』を否定はできないのですよ。
だって現実だもん。本当にあったレースだもん。
実際のレースを見ていたファンや実際にレースに出ていた選手の中には、『エスケープ』こそが辛い結果で、『アタック』が奇跡のようなレース展開に受け止めた人だっているはずだもん。

ですので、これはあくまでも、ほとんど思い入れや知識のない状態で読んで私はこう思った、という話にすぎません。


実際、どちらもレースを観に行かれた方は、どっちのが面白いと思うのかなあ……。
ちょっと気になります。



とりとめもなく感想を書きましたが、まとめると、こういうことです。

国内ロードレース知らない人に勧めるなら『エスケープ』だけど、これ読んで面白いからって『アタック』読むと現実にうちのめされるから、『エスケープ』読んでから一旦国内選手が出ているレースを見に行って、「ああ、これは現実の話なんだな」って実感してから『アタック』を読むといいと思うよ!!

おわり。

アークティックレースがつぼすぎて。

アークティックレース・オブ・ノルウェー
直訳すると、「ノルウェーの北極圏レース」

8/10から始まった4日間のステージレースです。
UCIワールドツアーじゃないから、そこまで知っているチームや選手が出ていないし、各チームの人数も少ないから、言ってしまえば地味なレース。

ただ、私にとっては、レース展開よりも心惹かれるものが溢れすぎてて、つぼすぎて通常のレースの楽しみ方ができないレースです。


名前の通り、ノルウェーの中でも特に北の地方で行われているレースなのですが、まず、画面に映るその世界の雰囲気が普段見慣れたヨーロッパのレースと違う。


たぶん針葉樹林がほとんどだから、もう山の緑が!!濃い!!微妙に薄暗く濃い!!
なぜかはよくわからないのですが、全体的に色彩がグレイがかっているというか、パステルカラーがいない。

でもだから雰囲気まで暗いかっていったらそんなことはなくて、どことなく静謐な場所を走っているような空気感がちょっとあって、見慣れないその感じがとってもいいのです。


私、自転車レースの風景って、正直そこまで重要視してなくて、
「あー。ひわまりだー」「古城かー」とかそんくらいで、あとはコースとか斜度とか横風区間かとかそんなとこしか注目してなかったんだけど、
アークティックレースは、先頭とプロトンとのタイム差よりも、画面に映し出される風景の方にこころひかれる、不思議なレースです。



しかし、色彩は夏のこの時期にもかかわらずちょいと暗めなのに対し、レースを彩る観客の皆様のテンションが、逆に爆発しております。
別に選手に対して危険なことをやっているわけではないのです。
ただ、なんというか、内側に向かって爆走中!

パラグライダーで空からふってきたり、真昼間に花火打ち上げ続けていたり(煙しか見えなかった)、湖畔すれすれを「あーああー」みたいにロープで滑ってみたり、ママチャリに選手とかぶらない番号のゼッケンつけてプロトンの脇を走ってみたり、一瞬「なぬ!?」って止まってしまう応援がたくさん。

イタリアやベルギーやオランダみたいに、応援の爆発する方向性が、選手に強引に話しかけたり、背中おしたりとかじゃない、かといって、ツールみたいに「この機会に目立ってやるんだ!」っていう、レースに興味なさそうなのとも違うのよ。

なんていうのかな。
子供の運動会に張り切りすぎて、映画製作のスタッフかき集めたお父さんみたいな!
方向性はあっているし愛もわかるんだけど、なんか変な方面に爆発してないか!?いやでも迷惑かけてないから別にいいけど!
みたいな。


そして、中継に入る現地紹介は、ほぼ自然。
ほぼ壮大な大自然の地形。

いやいいんだけどさ!大自然でこころ洗われるからいいんだけどさ!
画面右手で選手たちが一生懸命自転車漕いでて、左手では珍しい地形の滝が「ガガガガガ」って流れてて、なんだかあの、どう受け取っていいかわからないというか!!
ノルウェーって自然豊かで素敵でしょ?」って感じじゃなくて「自然は厳しいぞ!!」って感じでどーん、って映るから、なんか「わー素敵☆いってみたーい☆」っていうよりは、「恐れ入りましたぁ!」って気持ちになる。
第2ステージでは軍用っぽい飛行機もうつってました。
飛行機かっこいいから好きだよ!好きだけどね!ぶっちゃけ飛行機が飛びながら、ががーって荷物入れるとこの扉とか開いたら、自転車レースじゃなくてそっちのが気になるよ!



極め付けは、昨日の第2ステージ。

最後の方に、周回コースに入って3周しておわるステージだったのですが、
その周回コースのとこ、飛行機の滑走路だったのですよ。

あんまりにも広すぎて、逃げ集団がどこへ逃げていいのかわからなくなってた。

先頭の選手、両手をひろげて「どうすりゃいいんだ」状態で、慌ててレース運営側のバイクが前にでて誘導。
遅れて滑走路に入ってきたプロトンは、道のど真ん中に中途半端な大きさにまとまったままですすんでいく。スイミーみたい。

そして2周目に入るとプロトンが逃げの最後の追撃にかかるために時速60kmくらいで追いかけるのですが、
傍若無人なまでにだだっぴろい滑走路コースの中で、延々と縦位一列に伸びるメイン集団!
こんなに広いのに!!広いのに!!
そして、コースが大きすぎて、進む感覚がわからなくなり、なんだかスピードがめちゃくちゃ遅く感じる目の錯覚。

そして、プロトンの後ろからやってくる、きっちり滑走路のどまんなかを、等間隔をあけて走るチームカーの列。
マリオカートのPC操作キャラみたいだよ!!
絶対にインコース走らないのね!!

そして何より、
山岳賞のジャージがノルウェーサーモン柄!!
腕が鱗模様。副賞も、ノルウェーサーモン!!
もうだめだ。シャケが山登り速いんだとか思ったら、よくわかんないけどもうとにかくひたすら面白い。


お国柄なのか、地方色なのかはよくわかりませんが、今日を含めて残り2日も、とってもとっても楽しみにしています。




しかし、滑走路の中の雰囲気、だれもかれも「どうしていいかわからないから、とりあえず頑張ったら不思議な形になったよ」みたいな印象、どっかで見たな……。

……。

あ。
ハンマーシリーズだ!!


そうだよ。いいこと考えた。
ハンマーチェイス、滑走路でやればいいんだ!

こんだけ普段のレースの常識かっ飛ばした感じで広かったら、いっくらでもチームごとにトレイン組めるよ!!

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