コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

ツール・ド・フランス 2019 第8ステージ

今日は、2級山岳と3級山岳を、登って降りて登って降りて登って降りて登って降りて……っていうステージです。
高低表を見る限り、平らな地面はあるのだろうか!って思うステージ。
ぱっと見のイメージは、心拍数測定の図みたい。

逃げ切り向きといえば逃げ切り向きなのでしょうが、
なんというか、スプリンター系の選手にとっては、脱落したらもう戻れない的なステージな気がします。(※サガンはのぞく)
そういう意味では、前に前にいかないといけないステージかなって思いました。

一昨日のレースで、チッコーネが総合首位にたっていたので、今日はアラフィリップ向きのこのコースで、彼がマイヨ・ジョーヌを取り戻せるかどうか、に注目があつまってました。
まあ、私も、高低表を見た瞬間に「アラフィリップのコース?」って思ったので、たぶん世界中みんな同じようなことを考えていたのでしょう。


逃げは、残り190km地点あたりでは、最初3人でした。

トーマス・デヘント(ロット・スーダル)
ベンジャミン・キング(チーム ディメンションデータ)
ニキ・テルプストラ(トタルディレクトエネルジー

しばらくして、残り180kmくらいのあたりで、後ろからアレッサンドロ・デマルキ(CCC)が追いついてきて、4人の逃げになります。

なんか、この4人のそれぞれのチームウェアの色の組み合わせが、どっかのステージレースの4賞ジャージが揃ってるんじゃないかっていうくらい、被らなくってきれいでした。

この4人で逃げていくものの、山頂ポイントではことごとく、逃げ職人のデヘントがトップ通過していきます。
着々とためる、山岳ポイント。自分もたまるし、今、山岳ジャージをキープしているチームメイトのウェレンスから他の誰かに山岳ジャージ奪わせない、という意図もあるのでしょう。

ずっと逃げ4人と、メイン集団という構図が続いていきますが、残り66kmの2級山岳の山頂手前で、逃げがくずれます。

前にのこったのが、デマルキとデヘント。
置いていかれたのが、テレプストラとキング。

次の残り51km地点にある2級山岳がくる前に、追走の2人は吸収されます。
ちなみに、集団では順々にスプリンターの選手が脱落していってました。
ただサガンは残っている。サガンだもの。
けれど、とうとうこの2級山岳の山頂手前で、サガンが遅れ始めます。
でも、あきらめずにかなり踏んでいるサガン

ちょっと後に、サガンは無事に下りで集団最後尾に追いつきました。、
吸収されて集団後方で走っていたテルプストラが、サガンに「おかえり!」って感じで、サムズアップしてました。

集団は、アスタナと、あとEFドラパックが牽引しています。


残り40km。
逃げの2人と集団とのタイム差は、約2分45秒。

残り28kmで、タイム差は2分。
集団は、美しいくらいの縦一列です。
EFとアスタナが、ここぞとばかりにひきたおしています。
あと、冒頭でスプリンターは一回脱落したら戻ってこられなそうってかきましたが、
気づいたらマイケル・マシューズが戻ってきてました。

残り23km。
タイム差1分30秒。

5kmで30秒縮めているペースです。
このままだと、残り8kmくらいで吸収されるのでしょうか。

このあと、今日最後のとなる山岳ポイント(3級)があり、あとは……いや、山っぽい山はないけど、登ったり下ったりはするな……。
おちつかぬコース。

先頭が残り15kmのところで、集団にてイネオスが落車!!
イネオスのエースのゲラント・トーマス、この落車の影響で集団から遅れ、アシスト3人と一緒に、集団復帰を目指します。

そうこうしているうちに、先頭の2人は3級山岳にはいります!
入るとほぼ同時に、アタックをかけて単独先頭に踊りでるデヘント!!
デマルキは追えません。

しかし、集団とのタイム差は1分を切りました。

残り13km。
デヘント、山頂まで残り600m。
集団では、なんとかトーマスが集団後方に追いつきました。


残り12.5km。
デヘント、山頂が見えました!
そのまま先頭通過!これで今日は、デヘントは全部の山岳を1位通過しました。

一方集団後方では二バリが千切れました。

集団の先頭では、山頂直前でアラフィリップがアタック!
その苛烈な勢いに、即座に反応して唯一ついていけたんが、ピノ
2人は、前にいたデマルキを抜いて、山岳をそれぞれ2位、3位通過していきます。

そのまま追走の2人は協調して進んでいきます。
その後ろでは、「逃すか!!」とばかりに、アスタナとEFがいまだに集団をひいておいかけていきます。


残り10.5km。みんな下ってます。
先頭はデヘント。
18秒差で、アラフィリップとピノ
その10秒後ろに、メイン集団です。

メイン集団は、トレックのモレマが先頭を引き始めました。
チームメイトのチッコーネのマイヨ・ジョーヌを守るための引きです。
このままだと、アラフィリップが取り戻しちゃうからね……!

残り8km。
タイム差はさっきとほぼかわらず!
ピノが、こんなにイキイキと下れていることに、若干感動を覚えています。

集団では、今度はサンウェブの選手が先頭を引き始めました。


残り7km。
先頭のデヘントと、追走の2人とのタイム差が、15秒差に縮まりました。
メイン集団はその約15秒後ろです。


残り5km。
まだデヘントが先頭!
追走は、約19秒差でアラフィリとピノのフランス人コンビ。
手段はその約10秒後ろ。

……縮んでなかった。どのグループも、全体的にペース一緒くらいなんだ。
で、デヘント強い……。

残り3km。
デヘント、タイム差を徐々に広げながら、登りに入って行きます。
こんだけずっと逃げ続けて、後続に対してタイム差を広げている……!?
か、かっこいい……。
23秒遅れて、追走の2人も登って行きます。
手段は、その約15秒後ろです。

アラフィリップもピノも登りは得意ですので、ものすごく軽々と坂を登って行きます。
一気に縮まるタイム差。

けれど、まだデヘントの背中は見えません。

残り2km。
デヘントは下りに入って行きます。
ときどき振り返りながら、下って行きます。

残り1.3km。
こっちも下りに入っていた追走の2人から、ついに先頭のデヘントが見えました!!
どっちもものすごい速さで下って行きます。
デヘントは逃げる。
アラフィリップが先頭で追い、ピノがその後ろにつづいている。

残り400m。
今度はピノがアラフィリップの前にでて、デヘントを追いかけます。

デヘント、フィニッシュまで残り200m。
カーブをすぎて、振り返った。まだきてない。

残り50m。
もう一度振り返ったデヘント。
2人は見えています。けれど、おいつける距離ではない……!
デヘントは、前に向き直り、両手で口元を抑えました。そして、両手で小さくガッツポーズしてフィニッシュ!そして直後に信じられない、というように頭をかかえる……!!

ロット・スーダルのトーマス・デヘント、逃げ切り勝利!!!
もう、ぬわぁんてかっこいいの!!すっばらしい!すてき!
おめでとうおめでとう!!

後ろから、ピノが2位、アラフィリップ3位でフィニッシュポイントを通過します。
どちらもデヘントから6秒差でフィニッシュ!

その後ろから集団がやってきます。
スプリント!
集団の先頭はマシューズ、そして次点がサガン!それぞれステージ4位と5位。
…………サガンも、マシューズも、なんというか、さすが。

集団は、ピノ&アラフィリップから、20秒遅れてフィニッシュです。
これで、ピノは、他の総合ライバルから20秒プラスボーナスタイム分のタイムをかせぎ、アラフィリップはでふたたび総合1位に返り咲きました!



本日の結果をうけて、総合順位や4賞ジャージ!!
総合1位、ドゥクーニンク・クイックステップの、ジュリアン・アラフィリップ。
総合2位は、トレック・セガフレードのジュリオ・チッコーネ。23秒差。
総合3位は、グルパマ・エフデジのティボー・ピノ。53秒差。

ポイント賞は、ボーラ・ハンスグローエのペーター・サガン
山岳賞は、ロット・スーダルのティム・ウェレンス。
デヘントは今日いっぱい稼いで、山岳賞争いでは次点についてます。ロットが、山岳賞争いでは現時点で1位2位。
新人賞は、総合2位においてしまった、トレック・セガフレードのジュリオ・チッコーネ。
敢闘賞は、もう文句なしです、逃げ職人、デヘント先生でございます!!


嗚呼、もう、己の語彙力のなさがうらめしい!
190km?200km?それくらい逃げ切って勝ったデヘントのすごさにめちゃくちゃ感動したのに、すごいと、かっこいい、しか出てこない!!

デヘントは、最後の最後、残り50mのところまで、冷静に踏んでるように見えました。
下りでも、めちゃくちゃ速いのだけれど、焦って突っ込んでいくって感じも、出し切ってオールアウトになるギリギリって感じもなくって、ただ静かに最速で走れるコースどりをしながら、後続が来てるか状況を確認しながら走ってる、って感じ。
むしろ、これはデヘントさん逃げ切れるか!?って見ていたお客さんとかチームスタッフの人たちの方があわあわしていたのではないでしょうか。


ああ、いいものみた。
今日はいい日だ。

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