コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

全日本タイムトライアル2018 男子エリート観戦

2018年6月17日に、石川県で行われました、全日本選手権タイムトライアルの観戦に行ってきました!!

寝坊して朝から絶望したとか、
輪行で現場に向かい、自分で事前に調べたレース会場から一番近い最寄り駅でおりたら、そこから会場まで平均斜度5パーセントの坂が2km続いていて会場に着く前に「もうだめだ」って気持ちになってたとか、
なんとかコースの南端までたどり着いたらちょうどU23の第2ウェーブで、わーい!って思ってスタートリスト片手に応援しながらスタート地点に向かっていたら、U23には出ていないはずの松田選手が最後に走り抜けて行って「……え?」って首を傾げながら現場に向かったりとか、
コースから一番近い水分補給ができる場所が、表彰式とかやるところにあった小さな自動販売機1台だけで、ここがレースのコースから最短距離で1km近く離れていたからお水買いにいくだけで見たかった選手の走りをみられなくなっちゃうのだけれど、真面目にとても暑かったから水分補給しないと死にそうだったとか、いろいろ徒然に書けそうなことは多々あるのですが。


それは一旦おいておいて。

男子エリートのレースについてだけ、レポートを書きたいと思います!
あとは書くほどの情報が手元にない!
察して!!主に寝坊と、2kmの坂と、自動販売機の設置位置とかで察して!!


さてさて。

男子エリートは、13.1kmのコースを、3周するコースとなっています。
交差点がスタート/フィニッシュ地点になっていて、交差点の東側道路にスタート台があり、選手はそこから斜めに飛び出してすぐに北方向への道路の右車線に飛び出していきます。スタートしてすぐに右にまがるイメージですね。
周回でまた戻ってくるのですが、戻ってきたときは、南の道路から戻ってきて左車線側を走り、まっすぐ北に抜けていく、という感じになる設定です。
基本的に同じウェーブ内でスタートがかぶることはなかったと思いますが、ただ、例えば第1ウェーブの選手の後半出走の選手がフィニッシュするくらいの時間に第2ウェーブの序盤出走の選手のスタートが重なっている、ような感じなシーンはありました。


勝手にかなり注目していたのが、後ろから三番目に出走予定になっていた、年歴的にはU23に該当する松田祥位選手だったのですが、今年からUCIの規則がかわって、松田選手がエリートに出場しても、参考記録扱いみたいになってしまうというか、UCIポイントがつかない、みたいなことが直前にわかって、U23出場に変更になっていた、とのことでした。


第2ウェーブまでが終了した時点で、暫定1位はブリジストンの近谷涼。
タイムは51分26秒60。

でも最初、走りをみたときは、そこまで「あ、速い」とかは感じていませんでした。
というのも、近谷選手の前にスタートしたのが、2015年TT王者の中村龍太郎選手だったのですが、スタート直後にトラブル発生がしたのです。
後輪のディスクホイールがまわらなくなってしまったようで、スタートしてスタート台かおりた、くらいで一旦自転車をおりて、後輪のクリックリリースのあたりをいろいろやってから、再び走りはじめました。
40〜50秒前後、ここでロスしてしまったように思います。

それでたしか、1周目完了時点で、中村選手よりもあとからスタートした近谷選手の方が先に戻ってきて2周目に入ってきたのですが、それを近谷選手が速いから中村選手を抜いた、ではなくて、中村選手がトラブルでタイムロスをしてしまったから抜いたのだ、とだけ認識してしまいました。

もちろん中村選手のタイムロスは、全日本を争う上では非常に大きい影響となってしまったのですが、ただスタートして加速もまだ始まる前のトラブルだったので、レース中盤でトラブルが起きるよりも、加速のロスもなかったはずなのですよね。スタート台は斜めで下り坂みたいになるようになっているので、その分の加速はなくなってしまったと思うのですが、上に書いたように、台をくだるとすぐにカーブ。ですので、そのスタート台を降りる勢いというのも、利用しにくいコースだったのではないかと思います。
つまり、近谷選手がとってもはやくなければ、1周目完了時点で抜いていることは難しかったはず、なのですが、目の前でみたトラブルの印象が強すぎて、そこまで現場では考えがいたらず、ここで暫定1位となるくらい、近谷選手が速い、と最終タイムを聞くまで認識できていませんでした。


さて、その近谷涼のタイム。
今回は3周の周回コースですので、このタイムを3で割ってみると、1周は約17分09秒。

つまり、この1周17分というのが、勝利への目安となってくるわけです。


そして、第3ウェーブの選手がスタート。

第2ウェーブまでは、1分ごとのスタートでしたが、第3ウェーブは2分間隔でのスタートとなります。

宇都宮ブリッツェン阿部嵩之から順番にスタートしていきます。
次がブリジストンの窪木一茂、続いてブリッツェンの岡篤志愛三工業の渡邊翔太郎。
ただ、ここから4分空きます。増田選手が骨折で出場しておらず、前述の松田選手もU23出場に変更となったからです。
そして、ブリッツェンの小野寺玲。
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最後に、マトリックスパワータグの佐野淳哉。
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選手によっては、スタートする前に観戦にきたファンの呼びかけに反応をしてれる選手もいました。
最終走者の佐野さんは、無言でざざざっと佐野さん応援タオルを掲げだしたファンたちをみて、一つ頷いていました。


さて、このコース会場。
このスタート/フィニッシュ地点の交差点の西側への道路を200mくらい行くと、そこもまたコース沿道となっていて、北からぐるっとカーブして折り返してきた選手たちをもう一度沿道で見ることができます。
スタートを見送ってからそちらにいくと、見送った選手のひとつ前くらいに走りだした選手が戻ってくるところをみることができました。

最終走者の佐野選手のスタートを見送って、西側の道路を通って反対側に行き、小野寺選手、佐野選手に声援をおくります。


と、ここでスタート/フィニッシュ地点の交差点を振り返ると、もう阿部選手が戻って来ていました。
けっこう忙しい……!

第2周は、全員、出走順どおりに戻って来たとおもいます。

各選手が1周目を完了するあたりで、会場内で飛び入りで解説をしてくださっていた昨年の全日本王者の西薗さんが、このような解説をされていました。

「第2ウェーブまでの選手なら、ただ全力でこぐだけだが、第3ウェーブくらいになると基準タイムがわかってくる。今日のコースなら、17分。だから、各選手はいかにこれに近づけるか、そして後半になって疲れて来ても、いかにこのタイムから落とさないかが重要になってくる。ただし、佐野さんは別。佐野さんは、後半になればなるほどタイムが上がる傾向の選手だから、もし1周目のタイムがそこまで伸びなくても、そのタイムを基準に考えることができない」
(注! コロロンの頭のなかだけで記録したものを要約して書いているだけなので、もしとんちんかんなことが書いてあったら、私が間違って覚えてしまっただけです。私の記憶力をやじってください)


1周目完了時点で、尋常じゃなく飛び抜けたタイムをたたきだしたのは、ブリジストンの窪木一茂。タイムは16分45秒70。
他の有力選手が軒並み17分と数秒なのに対して、15秒近くのリードを1周目でたたきだしました。

素晴らしいタイムなのは間違いないですが、しかし、まだこの時点では窪木選手が勝てると決めつけるのはあまりにも早計です。
コースは、3周あります。
ペース配分を間違えてしまえば、1周目は調子がよくても、だんだんと足が動かなくなってしまう可能性もあるからです。そして、基準タイムを知っているからこそ、選手によっては緊張感から、無理してタイムを合わそうとしてしまう場合もあるのだとか。
ちなみに、小野寺玲は17分9秒台、佐野淳哉は17分5秒台でした。


しかし、2周目。
佐野さんの1周目完了を見送って、交差点の西側に向かい、小野寺選手を見送っているときに、会場アナウンスが入ります。
『佐野淳哉、チェーントラブルのため、バイク交換』
交差点の西側。ぐるりと回って戻って来たときの佐野さんは、確かにノーマルバイクに跨っていました。

佐野さんを見送り、心を落ち着けて交差点に戻ると、もう窪木選手まで通り過ぎたあとでした。
窪木一茂の2周目完了タイム。33分43秒台。
近谷涼のタイムが、34分09秒台のため、この時点で約20秒差をつけてのトップタイムです。

窪木選手の2周目のタイムだけでいうと、16分58秒。
もちろん17分切ってるからとても速いのですが、1周目のタイムと比べると14秒おちています。
これが、どういうことなのかの判断がつきません。

1周目で力を出しすぎて、足が動かなくなって来てしまっているのか、それともこれも事前の計算のうちで、2周目くらいのタイムを維持できるか。

ただし、このペースで同様に2周目もペースをおとしてしまったとしても、20秒ほど貯金があるような状態なので、この2周目の時点で、窪木選手の勝利がかなり現実味の近いものとして考えられました。

と、ここで再度アナウンス。
『佐野淳哉、再度バイク交換』
ノーマルバイクから、もとのタイムトライアルバイクに戻した模様です。

また、この第2周目完了時から、スタート順位とちがった順番でスタート地点に戻ってきていました。
愛三工業の渡邊翔太郎が、一つ前の岡篤志を抜いて戻ってきたのです。

渡邊選手の2周目完了のタイムは、34分36秒台。
なかなか好調なタイムなのですが、トップ3は難しそうなタイムです。

小野寺選手のタイムは、34分42秒台。
そして、バイク交換を2回した佐野選手のタイムは、35分13秒台でした。
佐野選手の2周目のタイムは、18分8秒。
コース途中の中間計測地点から後半のタイムは、1周目よりもいいだけに、おそらくバイクトラブルで1分以上遅れてしまったようです。


そして、最終回。

最初に戻ってきたのは、第3ウェーブの第1走者である阿部嵩之ではなく、ブリジストンの窪木一茂!
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タイムは、50分23秒92。
圧勝です。

ものすごく速いタイムなのですが、静かな走りをする選手だな、というのが、私の勝手な印象でした。
いろんなものをそぎ落としたような走りで、誰よりも速くフィニッシュ地点まで到達しました。
二周目まででかなり他の選手からリードを広げていたので、最終周回で多少タイムが落ちてしまったとしても優勝できるだろう、と思っていましたが、実際には約16分40秒で最終周回を走り抜け、1周目よりも速いタイムになっていました。
ものすごく強い。


続いて、阿部嵩之。
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その次が、先ほどすでに岡選手をぬいていた、渡邊翔太郎。タイムは、52分03秒台。
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窪木選手を上回りません。

続いて岡篤志がフィニッシュし、それから、時間があいて、戻って来たのが小野寺玲。

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小野寺玲の最終タイムは、52分00秒台。

その直後。
最終走者の佐野さんがスタートしてから、50分23秒をすぎました。
まだ、佐野さんの姿はありません。


この時点で、2018年全日本タイムトライアルの勝者は、ブリジストンの窪木一茂に決定!!


そして。
佐野さんが戻って来ました。
もう優勝の可能性はないけれど、佐野さんは、全力で最後の最後までペダルを回していました。
すごい気迫でした。
全然静かとかじゃないです。前に向かう勢いでいっぱいでした。

ごめんなさい、写真とれませんでした。
観戦仲間から借りた佐野さん応援タオルをかかげて、ただ佐野さんの名前を叫んでました。

佐野淳哉の最終タイム。52分06秒73。
細かくタイムを見てみると、確かに西薗さんの解説のとおり、トラブルがあった区間をのぞいて、確実に1周目よりも2周目、2周目よりも3周目の方がタイムが伸びていました。


トラブルがなかったら、佐野さんはどんな走りを見せてくれたのだろうと思うと、私は別に悲しくも悔しくもないのに、なぜか泣きそうになりました。
けれど、冷静に考えて、窪木選手は本当にものすごく圧倒的に速かったので、最終的なタイム差から考えても、もしトラブルがなかったとしても佐野選手に優勝は厳しかったように思いました。

それくらい、窪木選手は本当に速くて、現場では窪木選手の2周目完了の時点で「もう決まった」っていう空気が流れていました。
それくらいの、圧勝感がありました。



そして、表彰式の写真がこちら。
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表彰式の場所が、スタート/フィニッシュエリアから1km近く離れていたため、観戦してた人も移動中に力尽きたのか来てなくて、だいぶ減っていました。

それでも、がんばって結果を出すことができた選手は讃えなくては!!ということで、表彰式を見守りました。


窪木選手が優勝インタビューで「まだ実感がわかない」という話をしていて、あれだけ圧倒的に速くても、そういうものなんだなってちょっと意外に思いました。

なにはともあれ、素晴らしい走りでした。
ブリジストンの窪木一茂選手、おめでとうございます!!

現場で、張り出されていたリザルドがこちら。

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ブリジストンが二人でワンツーだったのを見て、やっぱりトラック競技が速くなると、ロードレース競技も速くなるっていうオーストラリアのやり方は正しいんだなあ、とか、そんなことを考えていました。


遠くまで行って、猛暑の中で、生命の危機と戦いながら(主に水の確保的な意味で)見ていた全日本タイムトライアルでしたが、前年のチャンピオンである元選手の西薗さんの飛び入り解説を聴きながら観戦できたのは、個人的にとっても嬉しかったです。
タイムトライアルスペシャリストの生解説つきのタイムトライアル観戦なんてレアな体験なかなかできることではないので、それだけでも行ってよかったと思うくらいには、貴重な体験でした。


まあ、そんなこんなで。
こういう、一観戦者から見た全日本タイムトライアル、という内容に果たして需要があるのかわかりませんが、とにかく現場にめちゃくちゃお客さん少なかったので!私が書かなかったら、たぶん誰も感想文とか書く人いないだろうなって勝手に思ったので、こういう形で書きました!



それと。
まったくもって趣旨からはずれるのですが。


会場に、突如ふらりと現れた、グランツールなどで活躍されているフォトグラファーの砂田弓弦さんのレース現場での立ち居振る舞いが、なんだかとってもかっこよかったことを、最後に書いておきます!!

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砂田さんのホームページみたら、男子エリートの選手の写真、ものすっごくかっこよくて迫力あるのがいっぱいあるので、見たほうがいいと思いますよ!!

おわり!

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