ブエルタ・ア・エスパーニャ 2017 第21ステージ 最終日
長かった今年のグランツールも、最後になりました。
……長かったアルベルト・コンタドールの現役生活も、最後のレースとなりました。
今日は総合争いはしない日で、ポイント賞のみの争いとなる(と、思う。たぶんトレンティンは今日取り返しにくる)ので、マドリードの周回に入るまでは、穏やかにレースがすすみます。
コンタドールが、笑顔でいろんな人と写真をとったり声をかけていました。
トレックのチームメイトが「♪あーと、いーちねーん」みたいな歌を歌ってました。
スカイがみんな赤色をつかったウェアに変わってました。
フルームのバイクが、赤くなってました。
スカイのチームカーまで、ロゴが赤く染まってました。
そして。
マドリードの周回コースに入る直前、そこまではスカイがなんとなく牽引していた集団前方に、トレック・セガフレードがきます。
コンタドールが一人、プロトンの前に出ていきました。
集団は後ろに控えます。
コンタドールの、凱旋パレードです。
1周目のゴールポイントまで、コンタドールの時間です。
笑顔で、沿道に溢れる観客に、何度も何度も繰り返し手を振るコンタドール。
ああ、本当に本当に最後なんだ。
ちょっとだけダンシングして見せたり、拍手してみせたりしながら、
最後に何度か右手で胸を叩いて、差し出すような動作をしました。
ハートを、あなたたちに。
たくさんたくさん、ありがとう。コンタドール。
コンタドールが1周目のフィニッシュ地点を過ぎてまもなく、プロトンがやってきます。
コンタドールもプロトンに吸収されていきました。
そして。
飛び出すスカイ。
…………え?
現時点でポイント賞ジャージを持っているのはフルーム。
今日、逆転の可能性が高いのは、ポイント賞3位のクイックステップのトレンティン。
ポイント差は26。
今日のステージをとると、ゲットできるポイントは25で、2位だと20ポイントになってしまうので、トレンティンがポイント賞をゲットするためには、今日中間スプリントポイントで3位以内にはいって、なおかつステージ優勝する必要があります。
(ちなみに、昨日の時点でポイント賞2位は二バリですけど、フルームとのポイント差は25もあるのと、昨日下りで落車してしてダメージを負っているので、今日ポイント賞を狙ってラストスプリントに参加はしないと思います)
ただ。
ここで、中間スプリントポイントをトレンティンがとれなかったり、もしくはフルームが中間スプリントポイントをトレンティンよりも前に通過してポイントをゲットすると、その時点でポイント賞ジャージはフルームで確定するのです。
つまり。
ここでスカイが出てくるということは。
スカイは、ポイント賞ジャージを狙っているということ。
おお!!?そうなんだ!!!
なんとなく、トレンティンが逆転分のポイントを取れるかどうか、しか気にしてなかったけど、でもそういえばそうよね。スカイって、「取れるものは全部とる」みたいなスタンスのチームだったよね。
スカイとクイックステップがばちばちの状態で周回がすすみ、いよいよ中間スプリントポイント。
フルームが前に出てきました!!
なんか見てるこっちがちょっと焦る!
だっていつもスプリントで争う選手じゃないから、こう、がんがんぶつかりながら位置どりするスプリントの位置どりで、耐えられるんだろうか、みたいな!
ただ、ここはやはりスプリントアシスト巧者のクイックステップがうまく動いて、トレンティンが1位通過。
2位通過がフルームのポイントダッシュを阻止しにきた、アラフィリップ。3位がスカイのモズコンでした。
そこから、3名が飛び出します。
BMCのデマルキ、UAEのルイ・コスタ、 カハルラル・セグロスエレヘアーのニコラス・シュルツ。
メイン集団は、クイックステップが牽引します。
スカイはここからどうするのかな。
クイックステップはこのままひらすらトレンティンのステージ優勝を狙っていくはず。
他にこのステージを狙いそうなスプリンターっていうと、オリカのコルトニールセンとか、もしくはUAEのサーシャ・モドロ。
果たして最後のスプリントバトルに、スカイは絡んでいくのか。
残り8.5kmで、シュルツが離れて吸収されていき、先頭は2人に。
残り5.6km。
残り1週のところで、二人が吸収されました!
フルームが前方に上がってきた。
今日フルームは12位以下をとれば、トレンティンが何位だろうと、ポイント賞はフルームのものになります。
トレンティンが勝つ条件は、フルームが13位以下かつ、ステージ優勝をすること。
バーレーン・メリダもあがってきました!
キャノンデールやボーラも出てきます。
バルデも前に出てきました。
残り2km。
クイックステップのテルプストラが全力でひいています。
縦一列。スピードががんがんあがってます。時速60km以上。
残り1km。
テルプストラがやめて、ランパルトが引いています。
フルームも前から15番目くらいにあがってきています!
そして、ランパルトが横に抜けて、アラフィリップが最後の牽引を引き受けた!
そして残り100mでトレンティンが発射!
誰も追いつけない状態でそのままゴールまで突っ走って両手をあげてゴール!!
クイックステップ・フロアーズのマッテオ・トレンティン、ステージ優勝!!4勝目!!!
さあ、あとはフルームの順位!
フルーム、そこそこいい位置走ってます。20番より前には絶対にいる。
っていうか、普通にフルームすごい!
普段スプリントしないから知らなかったけど、スプリントでもこのくらいの位置に入れるんだ!
そして。
フルームの順位。
11位!フルームが、ポイント賞を守りました!!
うわー。
最後までどきどきするレースだったな、ブエルタ。
よって、最終結果がこちら。
マイヨ・ロホ(総合優勝) チーム・スカイ クリストファー・フルーム
マイヨ・プントス(ポイント賞) チーム・スカイ クリストファー・フルーム
マイヨ・モンターニャ(山岳賞) キャノンデール・ドラパック ダヴィデ・ヴィレッラ
マイヨ・コンビナータ(複合賞) チーム・スカイ クリストファー・フルーム
チーム総合 アスタナ
フルームは、同年にツールとブエルタを制覇した、史上3人目の選手になります。素晴らしい!
総合2位は、バーレーン・メリダのヴィンセント・二バリ。
総合3位は、カチューシャ・アルペシンの、イルヌール・ザカリン。
そして総合4位は…………あれ。3秒差で、サンウェブのケルデルマンが逆転してる。今日、最後にコンタドールを抜いたのか……。
総合5位は、トレック・セガフレードのアルベルト・コンタドールでした。
ジャージはないけど、新人賞は、アスタナのミゲル・アンヘル・ロペスモレーノ。
そして、総合敢闘賞は、トレック・セガフレードのアルベルト・コンタドール!!!
チームメイトも、スタッフも一緒に壇上に上がります。
お客さんも大声援!
最後は、チームメイトみんなで、バキュンポーズ!
もう絶対に、絶対に、総合敢闘賞はコンタドールだと思っていました!
毎日毎日、誰がアタックするのかじゃなくて、コンタドールがどこでアタックするのかを楽しみに見ていました。
こんなにブエルタが面白かったのは、コンタドールのおかげです!
総合上位3名の表彰のときは、バーレーンもカチューシャもチームジャージが赤くて、おまけに壇上にあがった二バリの娘さんも赤いワンピースを着ていたので、どこみても表彰台が赤くて、ちょっと面白かったです。
フルームは、ツールとブエルタの同年制覇も表彰されていました。
おめでとう!
あと!
特に表彰とかはないけれど、ロット・ソウダルのアダム・ハンセンが、19回連続グランツール完走の記録を達成しました!
よかった。
ああ。
終わってしまった。
今年は、ジロもツールも終わって寂しいって気持ちはそこまでなかったんだけれど、ブエルタは結構なロスになりそうです。
とりあえず、さみしくなったら、昨日の20ステージを見よう。
いっぱいいっぱい、どきどきした三週間でした。
ありがとうございました。