美ら島オキナワセンチュリーラン2017 レポートその3
タイムリミットが迫る!
二つ目のエイドステーションを過ぎて、次のチェックポイントは昼休憩を兼ねたエイドステーション。10.9km先!
ここまでは、各チェックポイントまでの期間は、両方とも20kmを超えていたので、半分の時間でいけるはず!
とにかく!急がねば!!
ただただ必死にペダルを漕ぎ続けます。気持ちはすごく焦る。
「疲れた……ちょっと速度緩めようかなあ……いやいや、制限時間が!時間が!!」
だが、そんな私を嘲笑うかのように、
このコース最大の坂が、目の前にあらわれます。
コース高低表は見ているので、ここが踏ん張りどころなのは確認済み!
ここさえ乗り越えれば!!
おひる ごはん!!!
さあ、坂がおわりっぽくなってるところが見えたぞ、きっとあそこが頂上だ、がんばって乗り越え、乗り越え、……え?
ちょっとだけ平坦みたいなとこがあって、そこから先が、まるで壁。
…………なんじゃありゃぁぁぁ!!!
がんばって最初ちょっとは登ってたのですが、「ここを頑張って自転車漕いでのぼったら、このあともう走れる気がしない」と思い、結局降りて、自転車を押しながら歩きました。
そして、ようやくその厳しい登りが終わり、ちょこっと走るとエイドステーションが!なお、ここの制限時間は14:00です。
すぐに時計を確認!
13:38
セーフ!!間に合った!すごい!がんばった私!!
さあお昼ご飯だ!!
いそいそと自転車をとめて、お昼をもらうために並びます。
沖縄そばと、プラスチックの使い捨て容器に入ったおにぎり二つ!そばには、らふてーをのせてくれます!
そばは全部、おにぎりをひとつだけ食べました。おいしい!
全部食べると、満腹で動けなくなる気がしたので、残ったおにぎりはドイターのリュックに突っ込んで、さあ出発!!
すると。
「あのー、ここからの人はですね、ショートカットコースでのご案内になります」
え?
だって、時間制限の14:00までに、わたし、ここのエイドステーションに入ってたよ?
「14:00出発、で区切るんです」
時計を見る。
14:02
うわぁぁぁぁぁ!!
2分!!あとほんのちょっと早くご飯を食べていれば間に合ったのに!!
この次が!次のコースこそが!
海にかかるおっきな橋をわたる、素晴らしい眺めの場所なのに!!
ぶっちゃけここまで時間制限に間に合うようにしか考えてなくて、全然まったくこれっぽっちも景色を楽しんでいないのに!!
でも、もう決まってしまったものは仕方がありません。
気持ち切り替えて、ゴール地点まで目指そう。
ショートカットコースの人へは、ステーションを出るときに地図が配られていました。
私にも配ろうとしてくれましたが、地図を見ながら走るのが嫌でこういう公式イベントに申し込んだので、「前の人についていきます!」って言って、地図をもらわずに走り出しました。
悔しいけど、もう仕方がないのです。
さよなら、海にかかる橋。
さよなら、古宇利島。
もうタイムアウトは気にしません。
厳密にはあるけど、ぶっちゃけショートカットコース走ってタイムアウトにはならないでしょう。
無理する必要も、体力温存の必要も、もうなしでいいや!!
すると、どうしたことでしょう。
……楽しい。
走るの、楽しい。
さっきまで、あんなに辛かったのに、どうしてこんなに楽しいのでしょうか。
そうか。
私は、時間制限のことであたまがいっぱいで、楽しく走るということを忘れてたんだ!
自転車って、楽しい!!
私は踊る心を押さえきれず、軽やかに下っていきました!
ええ。
あとから思い返すと、もちろんタイムアウトの重圧からの解放もありましたが、たぶん、下りがいっぱいだったからすごく楽しかったのです。
でも調子にのってたら、一緒にスタートした人をほとんど追い抜いてしまい、前にも後ろにも誰も見えなくて、「……みちに、まよった……?」ってなってしまいました。
でも、地図ないから確かめようがないので、あんまり深く考えずに道なりに走っていたら、そのうち前方に人が見えてきたので一安心!
14:45くらいには、次のエイドステーションにつきました。
ここが最後のエイドステーションです。
次が、ゴールだ!!
と、そのときです。
すいっと、わたしのとなりを抜けて自転車をとめたひとがいました。
そのひとが横を通った瞬間。
私は思いました。
「あ。この人、全然疲れてない」
気配というか、なんというか。
その人を見て、色が飛び込んできて、その色を認識して脳が判断を下す前にその一瞬前に「周りと全然違う人だ」っていう感覚が先に来たんです。
原因はなんなのでしょう。
自転車との一体感?身体の軽やかさ?
理由は正直わからないのですが、
その人は、サポートライダーとして走っていた、ブリジストンアンカーの選手でした。
愕然としましたね!
プロはレベルが違うというのは、こういうことか、と!
アンカーのウェア着てたからとか、そういう諸々を認識するよりも先に「違うレベルの人だ」って感じたんですもの。
あれは、新しい、不思議な感覚でした。
誰だったんだろうなあ。
ヘルメットにサングラスで、ゼッケンもスタートリストもないし(当たり前だ)、直接お名前を伺うのも憚られたので、誰だか結局わからなかったんです。
もしこのブログを読んでいる方で、同じコースに参加していて、15時前に、最後のエイドステーションにいた、背の高いブリジストンアンカーの選手が誰かわかる人がいたら、教えて下さい。
次に国内レース見に行くときに、注目しようと思います。
そんなこんなで、だらだらとここでもさーたーあんだぎーをたべ、あと柑橘系の地元のフルーツをいただき、配られたシークワーサージュースのペットボトルをバッグに突っ込んで、15:00にスタートしました!
ちなみにここのエイドステーションは、15:30までにスタートしないと、今度はショートカットじゃなくて、車でゴールまで運ばれてしまうことになったらしいです。
本当は15:00が制限時間でしたが、なぜか延長してました。
多分、全体的に、公式の想定よりもタイムがゆっくりめだったんじゃないかな。あの風だったし。
さて、ここからが一番長い道のりです。27km。
風のそこまでではないし、昼食前のような険しい登りなんかもないので、黙々と走り続けるのですが、ここでショートカット勢と、ちゃんと全部走ってきた人が入り乱れて、さらにこの日一番交通量が多い地点だったので、はっきりいって一番身の危険を感じたのはこの区間でした。
ほとんどの方が抜かすときに一言「通ります」とか「抜きます」とか声をかけてくれるので、そのときは「はーい」っていってハンドルとか注意するのですが、たまに声をかけない方もいらっしゃるんですよね。
この区間、路面が結構あれている場所が多くて、よけるために小さくハンドルをきった瞬間に、後ろから無言で抜きにかかってきた人がいて、ぶつかりそうになったときがありました。
あと、残り15kmか10kmくらいの地点で、ふとみると参加者の男性が5~6人、歩道の方によけていて、一人が怪我をしているようでした。
おそらく落車をしたのだろう、と思いながら、その人たちの目の前を走るとき、そこが、見た目以上にアスファルトが盛り上がっていて一瞬ハンドルがとられ大きくバランスを崩しました。
うわって思ったとき、その横にわけていた人の中の一人が私の様子を見て「あぶない!」と叫んで、その声に「いま頑張らないと転ぶんだ!」ってはっとして(←反応が遅い)ものすごく集中してハンドルを上から押さえつけて、なんとか転ばずにすみました。
フラットハンドルでよかった。
誰だかはわからないのですが、あのときとっさに声をあげてくれた自転車乗りさん、ありがとう。
だらだらと走り続け、
やっと、ついに、ついに、
ゴール!!!
ゲートをくぐった瞬間に、「ついたあ……」って思わずつぶやきました。
16:40分くらいでした。
そんなに足は疲れてなくて、ガクガクになるようなこともなく、すたこらさっさと賞状をもらいに行きました。
何もいわなければ、名前の入った完走の賞状が誰でももらえるような雰囲気だったのですが、これで嘘ついて賞状もらっても嬉しくないので、素直に「ショートカットコースを走りました」って言いました。
前にも一回アップしたけれど、そのときの賞状がこちら。
正直、ショートカットコースですって言われたときより、どんどん抜かされたときより、
この賞状をもらったときが、一番くやしかったな。
そのあと、500円分の会場で使えるチケットをもらえます。
ただ、会場の飲食系の出店は、参加者に比べるととても少ないので、私がそこにいったときには、ほとんど売り切れているか、もしくは長蛇の列でした。
一部、お土産ものみたいな食品販売のお店があったので、そこで黒糖とかちんすこうとかのちっちゃいパックを三つくらい買いました。
このまましばらく残って、アフターパーティーに参加しよう!って思っていたのですが、
寒さが尋常じゃない。
自転車に乗っているときが一番快適になるような服装でいったのだから、おりてぼーっとしてたら、寒くなるのは当たり前ですね。
ANA利用者には、特典の専用クロークがあったので、本来ならそこに上着とか着替えとかあずけておけばよかったのですが、そんなものが必要になるとはまったくもって考えてなかったので、会場に何も持って行っていませんでした。
せっかくANAで行ったのに、準備不足で特典を活かしきれなかった……不覚。
このままだと風邪をひくと思ったので、諦めて自転車にまたがり、ホテルに戻りました。
戻るときに、おそらく160kmコースに出たであろう、数年前のチームSKYのジャージをきた参加者に抜かされました。
なぜかそれだけで、テンションがあがりました。
やっぱりロードレースが好きだ!
まあ、そんな感じで、
私の初めてのロングライドイベント参加は、完走ならずという形で幕を閉じたのです。
この記事を読みに来た、2018年以降のこの大会の参加予定者の方。
その中でも、ロングライドイベントが初めで、この100kmコースにはじめて参加する人、または参加を悩んでいる人、なおかつ、スピードに自信がない方。
そんなあなた、私から、完走のためのアドバイスを3点、ここに残しておきます。
①なんとかして、迷惑をかけない程度に、早めにスタートできる位置につく
タイムアウトされないか心配なレベルの参加者にとって、スタートの遅れは結構のちのち響きます。
終わってからいろいろ考えたのですが、ミドルの最後尾にならんでおくっていうのはいかがでしょうか。
もしこれが、ファストとかミドルの最初の方に、明らかに遅い人が混じってしまうと邪魔だし、せっかく集団での混乱を少しでも回避するための、大会側の配慮を無視してしまっていると思うのですね。
でも、ミドルの最後尾にならんだら、ミドルのあとには、スロウの参加者しかいないはずだから、
本来のレベルがスロウでも迷惑はかからないのではないかと!
②どんなにおいしそうに見えても、最初のエイドステーションは諦めろ
最初のエイドステーションは、当然どこのエイドステーションよりも走行距離が短いので、速度に差があってもここまででそれほどまだタイム差はつきません。
だから、一番ここのエイドステーションが混みます。
並ばないといけないと思ったら、潔く諦めて、次のエイドステーションに向かった方がいいです。
お手洗いは、道すがらのコンビニで借りるという手もあります。
そこでお菓子でも一個かえば、補給食も買えます。
私、もし来年参加するなら、参加日前日にさーたーあんだぎーを買ってポケットにいれておこうと思います。
③1月の沖縄は、雨は、降る。そして、風は、強い。
それどころじゃなかったんで、書きませんでしたら、ぶっちゃけ雨が二、三回きました。
でも、大会が終わって、あいさつみたいなのが壇上で行われていたときに、偉い人が「雨もちょっと降ったし、風も強かったけど、最高の天気だった」と言ってました。
つまりきっと、1月の沖縄は、ちょっとくらいの雨は普通なんです。
山にくもがかかっててもかかってなくても、多少は降るんです。それが普通なんです。そんな気配がしました。ひしひしと。
だから、雨が降るのは当たり前なのです。
私、ホテルに戻ってから、ホテルの海辺のドアのとこにたってたホテルのおじさんに聞いたら、この時期は毎年こういうすごい風が吹くんだって言ってました。
だから、強風もあたりまえなんです。
それはもう、覚悟して行った方が、気力を削がれなくていいと思います。
晴れ間が見えたら僥倖、くらいにおもっていた方が、きっといい気分で走れるでしょう。
アドバイスとしてはここまでですが、
大会として、カメラマンさんがついていて、その人が何箇所かでほぼ参加者全員の写真をとってくれていて、あとからその写真を購入することができます。
だから、一人参加の私でも、自分が自転車にのって走っている姿の写真を手にいれることができそうです。
スポーツイベントというものに参加の経験がほぼないので、こういう大会でカメラマンさんがついていて、参加者の写真をとってくれているということがどれほど一般的なことかわかりませんが、
私は、今回初めて自分が自転車に乗って走っている姿を見ることができて、ちょっぴり嬉しかったです。
何枚か購入するつもりでいます。
長々と書きましたが、
なんか、ただ楽しかったっていうのも、辛かったっていうのも、悔しかったっていうのも、全部違う気がします。
時間でいうと辛い区間が長かったし、思い出した感想はやっぱり悔しいし、でも楽しかった瞬間もありました。
もし完走できていたら、これが「いろいろあったけど充実してたのしかった!」って思えるのかなあ……。
まあとにかく。
これにて、センチュリーランのレポートは終わりです!!
そうこうしているうちに、どんどんレースはスタートしてますからね!
こないだデゲンコルブがドバイツアーの第3ステージで勝ったときは、勝利後のツイートみて泣いてしまいましたよ!!
去年の交通事故から、シーズン前半棒にふって、ツールのときもまだ指がうまく動いてなくて違う指でギアチェンジとかしてて、
そして、今年移籍後、シーズン最初のレースでの勝利!
本当に、よかったって思いました。
まだちょっと先だけど、クラシックシーズン、楽しみです!