コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

ジロ・デ・イタリア 第20ステージ

今日は、ほぼコッピの日です。
(ジロで、一番高い山をチマ・コッピというのですが、今日はチマ・コッピではないけどほぼ標高差変わらない山を登る日)

昨日の時点で、アスタナのニバリが怒涛の走りをみせて、1位のオリカ・グリーンエッジのチャベスと44秒差につけていました。
よって、今日の見所は、ただ一つ。

今日の時点で、総合1位は誰になるか!!?
ジロは今日で最後ではありません。明日もレースはあるのですが、最終日は、平坦ステージで総合の変動はまず起きることがないので、今日で、ほぼ総合優勝者は決定なのです。

そんなこんなでスタートした、1級山岳が三つもあり最後は3級山岳で終わるという、鬼のような山岳ステージ。
……コースの高低差マップを見るだけで、足つりそう……。


レース中盤くらいまで、山岳ポイントやステージ優勝狙いの選手が逃げるなか、総合勢は基本的にメイン集団で走っていました。

最後の1級山岳を登りながら、アスタナやティンコフのアシストの働きにより、だんだん選手がふるい落とされていき、最終的に総合系のエースだけが集まったような集団ができます。
ニバリ、チャベスバルベルデ、クライスバイク、ユンゲルス、マイカ、ウラン
この集団を、アスタナのアシストである、スカルポーニがガンガンひいていきます。

この集団の前方には、タラマエ(カチューシャ)、フォリフォロフ(ガスプロム)、ヴィスコンティ、カンゲルト、ブランビッラ、ニエベ(スカイ)、アタプマ(BMC)、ドンブロンスキー(キャノンデール)とかがいます。
このうち、ヴィスコンティはモビスター、ブランビッラはエティックス・クイックステップ、カンゲルトはアスタナの選手です。
これ、ちょっと重要なんで、覚えておいてください。


総合が大きく動いたのは、総合勢が残り15km地点に来た時でした。
スカルポーニが、前をひくのをやめるのと同時に、昨日、ものすごい勢いでアタックをしたニバリが、今回も仕掛けます!
ニバリのアタックに、すぐに反応したのは、現在マリア・ローザのチャベスと、総合4位のバルベルデ
昨日までマリア・ローザを着用していたクライスバイク、総合5位のマイカ、6位になったマリア・ビアンカ着用中のユンゲルス、8位のウランは追いかけられません。
ちなみにクライスバイクは、昨日雪の中に突っ込んでいった大きな落車で、肋骨にヒビが入っています。
その状態で、エース集団に残って戦っているって尋常じゃないよ!!


そのまま3人で行くかとおもいきや、ニバリの速度に、チャベスがついていけません!
チャベスの後ろについていたバルベルデごと、少しずつニバリに離されていってしまいます。


ニバリは、おとといまでの不調が嘘のように、圧倒的な速さでペダルを回し続け、一気に差をつけにいきます。
バルベルデチャベスの前に出て、ニバリに追いつこうと向かいますが、届きません。
チャベスに「まわれ!」と合図するバルベルデ

ああ、バルベルデチャベスが綺麗に協調体制とったら、いくら調子のいいニバリでも、まずい?

いいえ。そんなことはありません。
ここで登場します。

前にいた、アスタナのカンゲルトがペースをおとして、前でずっとニバリが来るのを待っていたのです!!

ニバリが後ろにつくやいなや、よしきた!とばかりにニバリをひいて、今回のジロ最後の1級山岳を登っていくカンゲルト。
アシストの活躍が光る布陣のアスタナ。

しかし後ろもだまってはいません。
チャベスバルベルデの二人の集団に、キャノンデール・プロサイクリングのエースであるウランが追いついたのです。
そして、さっとチャベスの前にでて、スピード上げて引き始めるウラン

え。ウラン、もう総合1位から12分以上遅れているのに、なぜ前に出てきたの……?
そのとき、実況解説の方が言いました。
「あ。ウランチャベスをひきます。コロンビアラインか!?」
つまり、ウランが、同郷だから、チームをこえてチャベスの総合1位のために戦っているということ……?


なんか、いまいち実感がわかなかったので、日本の選手に置き換えて考えてみました。
ウランチャベスだと、チャベスのが年下だから……。

ステージレースで総合1位につけている新城を、別チームの別府が現れて、新城をひいているようなもの……?
うあなんかすごい涙出てきた。
ウランがんばれ。

でも、チャベスが遅れ始めると、あっさりバルベルデと一緒にさっさと山を登っていくウラン
私の涙をかえせ。


一方、アスタナ。ニバリの風よけになっていたカンゲルトは、登りの途中で役目を終えます。
あとは、エースのニバリに託された……!

ニバリは一人でペースを落とさずに1級山岳を登りきります。そしてやってくる、下り坂。
ニバリの、くだりです。鬼のように早い、くだり。
すぐ横崖の細っこい道なのに、道のスレッスレをがんがん踏んですすんでいきます。
いくら下りが好きな私でも、いくらニバリが下り得意でも、この上もなくハラハラする下り。
こ、こわい!!速すぎ!崖が近すぎ!!

後ろも時間をおいて、下りに入っていきます。
こちらも全力で下っていく、バルベルデウラン


そのころ、総合1位のチャベスは、バルベルデウランから遅れて、その後ろから来ていた残りの総合勢の集団に山頂付近で合流しました。
こちらは、チャベス、ユンゲルス、クライスバイク、そして仕事を終えたアスタナのカンゲルトとスカルポーニ

さあ、ニバリとチャベスのタイム差はどうなっている!?
ニバリの下りはめちゃくちゃ速いから、チャベス離されるか!?

と思いきや、なぜかだんだん差がつまっていく、ニバリとマリア・ローザ集団。
ええ!?ニバリが遅いの!??

そうではありません。
マリア・ローザ集団に、あの人が合流したのです。
エティックス・クイックステップブランビッラ!

下りが速いブランビッラ。
現在マリア・ビアンカを着用中のユンゲルスのために、こちらもまた前から下りてきて、全力でユンゲルスをひいているのです!
結果、同じ集団にいるチャベスのペースもあがることに!

しかし、ニバリは速い速い!どんどんペダルを漕ぎ勧め、……ってあれ。誰かモビスターを抜いたぞ?
あれは、ヴィスコンティ!?
そうです。こちらも前にいたヴィスコンティが、バルベルデのためにおりてきたのです。
バルベルデウラン、そしてヴィスコンティの3人で、ニバリを追いかけます。

アシスト降臨戦法おもしろい!!


ステージは、逃げている選手のなかから、カチューシャのタラマエが圧倒的な走りをみせ、見事勝利します!
ここからのタイム差表示は、あくまでもステージ1位のタラマエからの表示だけに。
ですので、見ていてももう、ニバリとチャベスのタイム差がわからなくなります。

ニバリはペースは落ちません。
そのままの勢いで、スピードを落とすことなく登り続け、ダンシングでステージ4位でゴール!!

さあ、ここからが問題です。
バルベルデは、ニバリと13秒差でゴール!
問題は、チャベスのタイムです。


今日スタート時点での、チャベスとニバリの差は、44秒。

実況解説陣がカウントダウンを開始します。「41、42、43、44!」
この時点で、ニバリのマリア・ローザが決定!!
最終的に、今日チャベスは、ニバリから1分36秒遅れてゴールしました。


そんなこんなで、
ニバリ、逆転総合優勝(ほぼ)決定!!


いやあ。
私、18ステージの時点で、ロットNLユンボのクライスバイクがこのまま優勝するんだろうと思っていたのですが、
まさかここまで劇的に順位が変わるとは思っていませんでした。

ジロって、すごいなー。


総合1位、ニバリ。2位、チャベス。3位バルベルデ
明日は、平坦ステージなので、ほぼ総合はこの順位で行くことが予想されます。

そうそう。
明日は、最終的にトリノの街を8周してゴールってなるらしいのですが、その周回区間に、最大勾配8%の上り坂があるそうです。


誰かイタリア語の平坦の定義を教えてください。

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