コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2018 第14ステージ

みなさま無事ですか?
楽しくブエルタ観戦できる環境にいますか?
もう日本はアトランティスになるんじゃないかって不安になるような今日この頃ですが、被災された方も、遠方で心配しながらじりじりしている方も、このブログにきたときくらい、楽しくレースの話を読んでってくださいね。


先日の第12ステージで、総合1位のマイヨ・ロホは、ミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツから、コフィディスのヘスス・エラダに移動しました。
本当はこの12ステージ、ほとんどレポート書き上げてたんだけど、先頭グループのフィニッシュ直後に、フィニッシュ地点のすぐ先に立ってたオーガナイザーのプレス担当者に選手たちがぶつかって、スカイのディラン・ファンバーレがかなり大きな落車をしました。

ブログを書くなら、この落車に触れない訳にはいかないと思ったのですが、状況的にもすごくひどい落車なのに、なんでか私がかくと「おっちょこちょいなあわてんぼうのおじさんとかわいそうな選手たち」みたいになってしまって、ぜんぜんシリアスな状況が伝わらなそうだったので、ファンバーレの怪我の状況次第で後からアップしようって思ってました。

そして、そのファンバーレは、今日の14ステージをスタートしませんでした。
リタイアです。
だから、12ステージのレポートはあげません。
…………しかし、あの落車でリタイアなんて……。
ただ映像でみてただけの私ですら悔しくてもやもやするのに、スカイの関係者やバールレは本当に怒り心頭だろうなあ……。


そして始まった、本日の第14ステージ。
逃げは6人です。
スカイのミカル・クヴィアトコウスキー。
ロット・ソウダルのトーマス・デヘント。
EFドラパックのマイケル・ウッズ。
BMCのニコラス・ロッシュと、ブレント・ブックウォルター。
バーレーンメリダのイバン・ガルシア。
豪華だね!


タイム差は、だいたい2分半から3分でキープしながらレースが展開していきます。
途中の山頂フィニッシュは、誰もあらそわず、すべてスムーズにデヘントがとっていきました。

残り45kmで、メイン集団をバーレーンのニバリが引いているためか、イバン・ガルシアがさがり、先頭集団が5人に減ります。
このまま5人でまだしばらく逃げ続けると思いきや、二つ目の1級山岳を超えたあと、先頭グループでデヘントがメカトラで止まりました。

すぐに走りだしたのですが、この時点でメイン集団と逃げのタイム差が2分を切っていたので、逃げ集団もデヘントを待ちません。

残り40kmで、先頭4人。追走のデヘントが約35秒遅れ。先頭から1分45秒後ろにメイン集団です。
それぞれ全力で下っていきます。

残り39kmで先頭グループのウッズが落車!!
急なカーブがあって、その途中から大きな木のかげになって、かなり明暗が変わる箇所でした。
ただでさえ危険な下りの急なカーブに、その明るさの落差で、距離感が若干くずれたのでしょうか。
約40秒後にデヘントがそこを通りかかったときに、オフィシャルカーの人が笛ふきながら「ここあぶないー!!」みたいな合図をしていて、デヘントがかなりスピードを落としてそのカーブを下っていました。
そのときにはウッズがいなかったので、もう走り出してはいるようです。


残り35km。
先頭は三人。
クヴィアトコウスキーとロッシュとブックウォルター。
10秒後ろに、先ほど落車してすぐに復帰したウッズ。
さらにその40秒後ろにデヘント。
ニバリが先頭でがんがん下っているメイン集団は、さらにその40秒後ろくらいにいます。
どんどんメイン集団が迫って来ています。

残り30km。
メイン集団、先頭からのタイム差が50秒を切りました。
ニバリの下りはやっぱりすごいな!
下りが終わって、かなり人数がへっていまます。逃げていたウッズを吸収しました。
続いて、ウッズを抜いてて前を走っていた、デヘントも吸収です。

これで、逃げはトップの3人のみになりました。

なお、本日マイヨ・ロホを着ているコフィディスのヘスス・エラダは、先頭から1分45秒くらい遅れています。

そして、ニバリグループはじりじり先頭集団とのタイム差を詰めています。
反対に、じわじわタイム差が開いていく、マイヨ・ロホグループ。


残り26km。
先頭グループで、ブックウォルターが遅れました。これで、先頭はクヴィアトとロッシュの2人です。
しかし、すでに20秒後ろにニバリが率いるメイン集団が控えています。
マイヨ・ロホはもういないけれど、多分このニバリが率いるグループにいる選手の誰かが、今日のレース後の総合1位をとると思うので、ここがメイン集団です。

残り25km。
ロッシュが遅れました!
これで、先頭は単独でクヴィアトコウスキーただ一人!!


残り23km。
先頭はクヴィアトコウスキー。
50秒後ろに、メイン集団。
……一人なのに、どんどんタイム差が開いているのですが……。
クヴィアトって、数日に一度「やっぱりこの人すごいな!」って思わせてくれる選手ですね。

残り20km。
クヴィアトコウスキーが、単独でくだってます。
クヴィアトコウスキーの下りは、なんか、限界に挑戦!!!みたいな下りです。
今日だけなのか、それともいつもなのかわからないのですが。
なんだろう。派手だ。
カーブに合わせた体重移動の動きが、かなりギリギリまでこらえてから大きく移動するからそう見えるのかな。
決して大柄な印象のある選手じゃないのですが、前に誰かがいたら「どけどけーい!!」っていう感じの、迫力のある下りです。

しかし、このありえないくらいのクヴィアトコウスキーの下りにもかかわらず、
メイン集団がこの下りでどんどんタイム差を詰めて来ている……!

だれだ!このメイン集団の下りを引いてるの!
たぶんニバリな気はするのですが、メイン集団の前からの映像が映らないので確証が持てません。

そして、このみんがみんなガンガン行こうぜ状態の下り区間で、ディメンションデータのメインチェスが落車!!
道路から外れて落ちてしまったみたいで、よろよろとした感じで森の中から道路に戻ってきていました。
とりあえず歩けてはいました。

残り11km。
逃げているクヴィアトコウスキーもメイン集団も下りを終えました。
タイム差は、約30秒。
なお、スカイで一番総合タイムのいい現在12位のデラクルスは、このメイン集団から遅れてしまっています。

残り8.5km。
タイム差が20秒を切りました!
ニバリがここで仕事を終えました。
アシストをやろうがエースをやろうが、実力ある選手っていうのは、かっこいいんだなっ!!


残り6km。
クヴィアトコウスキーが登りにはいりました!!
……いや、公式の高低表だと、まだ登らないはずなんだけど、どう見てもクヴィアトの走り方見る限りこれ登り。

残り5km。
クヴィアトコウスキーが吸収されました!これで、逃げはいなくなります!
メイン集団の先頭はボーラ・ハンスグローエのラファウ・マイカです。
そして、クヴィアトが、マイカの後ろに入った!!

…………。
……………………え?

あんだけ一人でずっと逃げてて、このメイン集団の速さに二番手でついていけるの!?
どんだけすごいんだクヴィアトコウスキー。

残り4km。
モラールがピノを引っ張ってアタック!!
一緒にモビスターのリカルド・カラパスとEFドラパックの選手が一人がついていく!!
つーか、ここから坂の斜度がえげつなさすぎる!だから残り4kmからが登りってしてたのか!スペインの坂の定義って、どうなってるんだ!!

つづいて、ロットNLユンボのステフェン・クライスヴァイクが先頭にでた!!
ちなみに斜度は19パーセント!最大17パーセントの坂のはずなんだけど、もう気にしちゃだめ!

そして、クライスヴァイクがじわじわと後続との差をひらいていきます。
カラパスとバルベルデがちょっと間をあけてついていきます。

残り3km。
ヨン・イサギレと、トニー・ギャロパンが遅れていく!!
ヨン〜!!ニバリがあんなに頑張ったのはきっとあなたのためだから、まだ負けないでがんばってー!!

そして、クライスヴァイクがペースをあげた!!
後ろでは、カラパスがさがり、バルベルデが単独。ほんのちょっと間をあけて、後続を率いてミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツが迫っています。

残り2.5km。
後ろが迫ってくると、ペースをあげてまた少し離すクライスヴァイク。
すこしだけ離れた後ろにバルベルエで。
その後ろで、サイモンの横からクイックステップ・フロアーズのエンリク・マスが飛び出しました!!
一人で、バルベルデのところまでおいかけていきます。


残り2.3km
クライスヴァイクにバルベルデとマスが追いついた!
その後ろから、サイモンとモビスターのナイロ・キンタナ、アスタナのミゲル・アンヘル・ロペスも追いついてきました。
EFドラパックのウランがこの攻防についていけずに、若干遅れています!!


残り2.1km
今度はキンタナがアタックしました!すかさずロペスがついていく!!
しかし、残り1.7kmのところで後ろから、クライスヴァイクを先頭にバルベルデ、サイモン、ピノ、マスが追いついてきました。
これで、先頭は7人。

残り1.5km。
もう一度キンタナがアタック!!再度ロペスもついていく!!
今度はさっきよりも速いぞ!さっきのは様子見のアタックだったのか!

後ろでは、クライスヴァイクが先頭で追っていますが、そのすぐ後ろについているのがバルベルデなので、先頭交代は期待できません。バルベルデはキンタナのチームメイトなので、クライスヴァイクに追いついてほしくないはずだからです。

しかし、サイモン・イェーツが一人でそこからとびだしていった!
すかさずクライスヴァイクの背後から離れたバルベルデがチェックに向かう!バルベルデの背後についてピノもいく!遅れてマスとクライスヴァイクも続いていく!

残り1kmで、後ろからみんなサイモンに追いつきました。また7人になった!
砂埃が舞う!!!

……なんで砂埃が舞う?
人が多すぎるのか、それとも舗装が真ん中だけで周辺に砂が多いのか。

そして残り700mでこのグループの先頭になったサイモンが、静かにスピードをあげてじわじわと単独先頭になりました!そのまま一人で差をつけていく!
キンタナが追い、またそれにロペスが続きますが、しかしかなり離れた!
バルベルデピノがキンタナとロペスのところまでなんとか追いついたところで、ロペスがいった!!
先頭のサイモンにおいつこうとペースをあげます!バルベルデがチェックしている。
逃げるイェーツ!
ロペスとバルベルデがほぼ横並びで追いかける!!二人に遅れたキンタナとピノ
ちなみに気づいたら完全に未舗装。まごうことなき未舗装の坂。
そして、カーブを曲がりフィニッシュのゲートが見えた時点で、イェーツが後ろを振り向いた。
後ろで、必死の形相で登って来ているバルベルデとロペス。
しかし、追いつける距離ではない……!
正面に向きなおったサイモンは、すでに笑顔。

両手を大きく広げて、フィニッシュ!!
ミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツ、ステージ勝利!!
2位はアスタナのミゲル・アンヘル・ロペス。3位はモビスターのアレハンドロ・バルベルデ
この2人は、サイモンから2秒遅れでフィニッシュです。
エフデジのティボ・ピノが、5秒差の4位。後半あれだけの猛攻をしたモビスターのナイロ・キンタナは、最後ついていけずにタイム差7秒の5位。
ロットNLユンボのステフェン・クライスヴァイククが11秒差で6位。クイックステップ・フロアーズのエンリク・マスが7位でサイモンから19秒差でした。

サイモンがステージ勝利をしたことで、最後の4kmの攻防は、力と力のぶつかり合いというよりも、頭脳戦だったのだなあと思いました。
サイモン、確かに最後まで残ってたけど、走り方を見る限り、勝負どころでおいていかれないギリギリのラインで走って、ここぞというところまで待っていた気がします。
キンタナとロペスが飛び出した時も、先頭引いておいかけてたのずっとクライスヴァイクだったし。

……そういう意味で、クライスヴァイクは、結構不器用な走りかたをしますよね。
クライスヴァイクが勝つのって、完全に力技で勝てる状況下のときかなーって気がします。
正反対のイメージなのが、私の中ではロペス。
まだ総合優勝を狙えない若い選手だからこそかもしれないけど、白熱した勝負ほど、つねにじーっと待ってる。


そして、総合順位!
総合1位!!ミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツ!
2位は、モビスターのアレハンドロ・バルベルデで20秒。3位も同じくモビスターで、47秒差のナイロ・キンタナ。
4位は、アスタナのミゲル・アンヘル・ロペスで、イェーツとのタイム差は1分23秒。
5位が、ステフェン・クライスヴァイク
ポイント賞と複合賞は、モビスターのバルベルデ!!
山岳賞は、まだコフィディスのルイス・マテマルドネスがキープしましたが、2位のデヘントとの山岳ポイント差が10ポイントまで縮みました。

そして敢闘賞。文句ないね!スカイのミカル・クヴィアトコウスキー!!

いよいよ、総合争いが白熱してきましたね!
明日が終わったら、もうその次は休息日で、その次は第3週。
今週がレース以外の大きな事件がいろいろありすぎたからかもしれないけど、なんかあっという間ですね。
サイモンは、今年のジロの教訓を生かして、このマイヨ・ロホをキープできるのでしょうか。
あと、山岳賞のマテマルドネスが今日とても調子がわるそうなのが気になってます。

明日も、山がいっぱいあるステージです。
たくさんあるのに、三分の一くらいの山は、山岳ポイントがつきません。
ただ、きついだけです。
明日はきっと、「なんでこの坂にポイントつかないんだ?」って、多くの人がモニターを見ながら首をかしげることになるでしょう。
私もかしげるでしょう。
ブエルタだからね。

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