コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2018 第9ステージ

今日は、休息日前にどっでーんと現れた、めちゃくちゃしっかりした山岳ステージです。
超級山岳フィニッシュの日です。
「さあ、動け総合!!」ってルビが振ってあるようなステージです。


逃げは結構序盤で決まります。
ツールの平坦ステージほどすんなりじゃないけど、「ああー、いっちゃった。もういっか」みたいな感じでした。

ロット・ソウダルのトーマス・デヘントが中心となってにげて、そのまま逃げが決まりました。
逃げのメンバーは11人です。
毎日こつこつと山岳ポイントを貯めている、コフィディスのルイス・マテマルドネスや、トレック・デガフレードのバウク・モレマ!
それから、先日ステージ優勝した、ディメンションデータのベンジャミン・キングなんかが入っていました。

レース中盤にあった山岳ポイントは、全てマテマルドネスが1位通過しました。
着実に山岳ポイントを貯めています。


この逃げが、山岳ポイントとかでは若干動きが見られるものの、それ以外はずっと全員で協調して逃げ続けます。


動いたのは、先頭の逃げ集団が、残り30km地点にさしかかったあたりでした。
集団とのタイム差8分45秒。
トーマス・デヘントがアタックをしかけます!
これについていくことができたのは、4人。
ディメンションデータのベンジャミン・キング、トレック・セガフレードのバウク・モレマ、BMCのディラン・トゥーンス、カハルラル・セグロスエレヘアーのルイス・ギリェルモ・マス。

ワンテンポ遅れて、後ろからカチューシャのレト・ホレンシュタインが追いつき、これで、先頭は6人のグループになりました。


残り24km。
追走からさらに3人追いついてきました。
コフィディスのルイス・マテマルドネス、ブルゴスBHのジーザス・エズケラ、ロットNLユンボのトム・レーゼルもう一度、先頭集団は9人になります。

残り21km。
またデヘントがスピードをあげて、逃げグループをバラしにかかります。
先頭とメイン集団とのタイム差は約7分。


残り20km。
先頭は7人に減りました。
デヘント、モレマ、キング、トゥーンス、ギリェルモ・マス、ホレンシュタイン、そしてマテマルドネス。

残り19km。
また先頭でアタックがかかります。
ギリェルモ・マスが抜け出し、キングがそれを追いかけて飛び出していきました。
デヘントやモレマたち、他の先頭のメンバーは、特に追わずに逃がしました。

残り18km。
先頭は狭い石畳の登りに入っていきます。
ギリェルモ・マスが遅れて、先頭はキングが単独になりました!
それを、後ろからデヘントを先頭にして5人追走グループが追いかけて来ます。

残り16.5km。
メイン集団では、アスタナが全力で引いています。
みるみる詰まる、先頭と集団とのタイム差。6分30秒。

ただ、キングは一人で快調に走っていきます。
……キング、いいなあ。
さっき抜け出したタイミングの良さといい、石畳の坂で淡々とはしっている感じとか、なんか、いいな。

残り13.5km。
先頭は依然として単独でベンジャミン・キング。すっごい狭い下りを、がんがん一人でくだっています。
ギリェルモ・マスを吸収した6人の追走集団が、1分10秒後ろでそれを追っています。
その後ろに、先頭争いについていけなかった逃げの選手たちが2組2人ずついて、その後ろがメイン集団です。
メイン集団はキングから約6分12秒後ろにいます。

キングは単独でフィニッシュまで辿りつけるかな……。

追走グループの中だとは、超級山岳のような厳しい山岳では、モレマが突出して登れる選手だと思います。
グランツールの山が厳しいステージとかで、もう各チーム総合エースがその腹心クライマーしか残ってないよ!みたいな場所で、確実に残り、さらにアタックをしかけるような選手ですから。
でも、そこまで実績があると、みんながモレマの動向を見守ってるので、マークが厳しいのかもしれません。


残り10km。
先頭のキングと追走グループ6人との差は、1分30秒です。差が開いています。

残り9km。
追走から、ギリェルモ・マスがさりげなーく抜け出しました。
モレマが先頭で追います。ですが、追い切ることなくすぐに別の選手に先頭を交代します。
モレマ、この展開だと動き方が難しくのかな……。

あ。
でも、行った!モレマが行った!完全に飛び出して行った!
マスまで追いついてから一度振り向き、そのままスピードをあげて単独でキングを追いかけて行きました!!

3速から5速にギア入れたみたいに、あっという間に追走グループを置いていきます。


残り7.5km。
キングとモレマとのタイム差は、1分17秒。ぐんぐんタイムが縮まる。

残り7km。
先頭は依然単独のキング。若干ペースが落ちています。
約1分遅れて、モレマ。
モレマに置いていかれた追走の選手たちは、モレマから約35秒くらい離されています。
メイン集団は、キングがら約6分後方にいます。バーレーンメリダが引いていますが、スカイやボーラなんかも前に出て来て集団牽引を交代しています。

残り6km。
キングとモレマのタイム差は約50秒。
モレマも追走の勢いは若干落ちています。でもガッツの迫力はなんか、もう、すごい。
キングはかなりきつそうです。斜度が10〜12パーセントみたいな箇所で、ふらふらしながら登っています。
お腹すいてふらふら、じゃなくて、坂の傾斜がきつすぎてスピード出せなくてふらふら、な感じです。

残り5.5km。
キングとモレマのタイム差は、約40秒。
キングと集団のタイム差は、約5分。集団は、今はボーラが引いています。
モレマも登りきつそうですが、キングと比べると、体の重心が縦にしっかり通ったまんまです。
きつい登りをのぼっているのに、左右への体の振り方も、なんかきれい。
集団では、現在マイヨ・ロホを来ているモラールが遅れていきました。

残り5km。
先頭のキングと追っているモレマのタイム差が、30秒に縮まりました!
メイン集団は、今度はボーラのマイカが引いています。
モラールはすでに、メイン集団から30秒おくれています。

残り4km。
モレマを映すカメラが、同一画面上にキングの後ろ姿を捉えました!
タイム差は28秒!
なお、メイン集団とのタイム差は4分30秒になりました。
メイン集団ではまだボーラが引き続けています。
そして、牽引しているマイカが、スピードをあげた……!?
気づけばメイン集団の人数も、かなり減っていました。30人くらいでしょうか。

残り3km。
キングとモレマのタイム差は、20秒です!
メイン集団ではマイカが引くのをやめ、先頭は一瞬モビスターが引くように見えましたが、スカイのクヴィアトコウスキーが出て引き始めました。
しかしすぐにモビスターに先頭がかわります。そして先頭にでたモビスターのカラパスが、スピードをあげる!
続いてロットNLが先頭に出て引きはじめます。
単独アタックほど派手じゃないですが、他チームの有力な選手を振り落とすような地味な攻撃が続いています。

残り2km!
キングとモレマのタイム差は、19秒。さっきから縮まっていません。
キングは淡々とペダルを漕ぎ、時折振り返ります。走りが安定して来ました。
モレマは、焦ってる気持ちが走りに出ている感じがします。

残り1km。
キング、走りは淡々としてますが、表情はかなりきつそうです。
モレマは、ダンシングを続けていますが、もっときつそうです。
タイム差は、25秒!?
モレマが遅れている……。

残り500m。
キングの表情に、笑顔が見え始めました。
何度も後ろを振り返ります。

残り100mでもう一度振り返るキング。
勝利を確信し、右手をあげて、それから天を指し、両手を広げてガッツポーズ。
それから頭をかかえ、そしてもう一度右手を高くあげる。
ディメンションデータの、ベンジャミン・キング、2勝目!!!
あの状況下で、単独で走りきった!!そんで勝った!逃げ切った!!
すごーい!キングすごーい!!

そして、モレマがフィニッシュ地点にやって来ます。
何度もうな垂れるように頭をさげて、キングから48秒遅れてフィニッシュしました。
ステージ2位。トレック・セガフレードのバウク・モレマ。
今日も追いつけなかった……。なんだか切ない。
でもモレマの走りすきだよ。
苦境に負けず、いつだって全力で戦ってる走り、好きだよ!
今年のブエルタのどっかのステージで、モレマのガッツが報われてほしい……。



一方、私が半分その存在を忘れていたメイン集団では、ケルデルマンが飛び出していました!!
ぴったりはりついて追いついているのはキンタナ!
そして、アスタナのロペス、バーレーンのヨン・イサギレ、EFドラパックのウランがついてきています。
遅れてサイモンが付いてくる!

ちなみに、その前に逃げていたBMCのトゥーンスがいます。

残り200m。ケルデルマンとロペス若干ほかの選手よりも前にいます。二人でスプリントです。
トゥーンスに続いて、アスタナのロペスが先行してフィニッシュ地点に入りました!ステージ4位です。
続いて、フィニッシュでケルデルマンを刺したキンタナが5位、続いて6位ケルデルマン。
3秒間をあけてウラン、さらに3秒遅れてヨン・イサギレ、さらにさらに3秒後ろからサイモン・イェーツがステージ9位でフィニッシュしました。
バルベルデはサイモンから15秒遅れてフィニッシュです。
また、ボーラのブッフマンが、バルベルデからさらに4秒遅れてフィニッシュしました。


今日の結果をうけて、総合1位のマイヨ・ロホのジャージは、ミッチェルトン・スコットのサイモン・イェーツに移動しました。
2位は、1秒差でモビスターのアレハンドロ・バルベルデ
3位は同じくモビスターのキンタナ、14秒差です。
4位が、本日若干遅れてしまった、ボーラ・ハンスグローエのエマニエル・ブッフマン。16秒差。
ブッフマンから1秒遅れの5位が、バーレーンメリダのヨン・イサギレでした。


ポイント賞と複合賞は、モビスターのバルベルデ
山岳賞は、コフィディスのルイス・マテマルドネスが順調にキープし続けています。
敢闘賞は、カハルラル・セグロスエレヘアーのルイス・ギリェルモ・マスでした。


今日のステージで、大きく総合が動いて、有力な優勝候補の人数が絞れてくるかとおもったのですが、なんだか総合優勝争いの団子状態がさらに詰まった感じになりましたね。
総合1位から10位までで、タイム差48秒だよ。
もっとこう、がっつーんと3人くらいがタイム差稼ぐかと思ってました。

うーむ。正直今年のブエルタ、9ステージまで終わってるのに、誰を軸に総合が動いていくのか、私にはまったくわからんぞ。
今のところはバルベルデ?確かに強いんだけれど、でもなんか、ステージ優勝量産型で、総合争いの中心かっていうと、なんか違うような気がする……。

混戦模様のブエルタ
なのに、ポイント賞、複合賞、山岳賞は今のところほぼ安定している不思議。

明日の休息日をはさんで、レースは二週目に突入していきます。
二週目になれば、さすがにもっと総合優勝争いは絞れてくるかな。
逆に来週の日曜日、もっと総合のタイム差がキュッと縮まってたらどうしよう。
とりあえず、笑おう。

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