コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

ツール・ド・フランス 2018 第20ステージ

先日の17ステージが終わって怪我をしたサガンは、そのまま次の18ステージを耐えて走り続け8位に入り、
その翌日の19ステージではアラフィリップが山岳賞ジャージを確定させ、総合ではゲラント・トーマスがさらに2位以下とのリードを広げてついにフルームが暫定4位になってしまった今日この頃、みなさまどのようなお気持ちで今日のタイムトライアルを迎えられましたでしょうか。


私はとりあえず、「ボドナール今年もがんばれ!」って気持ちでした。

ボーラ・ハンスグローエのマチェイ・ボドナールは、ポーランドのTTチャンピオンで、昨年のツールのITTのステージ優勝者です。
好きな選手です。
どのくらい好きかというと、勝手にボドナールの応援グッズを作ろうかといろいろ考えているくらいに好きです。

ステージレースの初日以外の個人タイムトライアルは、基本的に総合順位の低い順に走ります。
ボドナールは、かなり始めの方のスタートでした。

残念なことに、今日のステージ天候は雨模様。
レース始まっても若干降っていたのか、ときおりカメラのレンズを拭う姿が映っていました。

ちょうどボドナールが走っているあたりで雨がやみはじめたのか、濡れた路面がところどころ乾き始めている様子が映っていました。

ボドナールは一瞬だけ暫定一位になるのですが、そのすぐあとにフィニッシュしたミッチェルトン・スコットのヘップバーンが2分以上タイムを塗り替え、そのままずーっとずーっと暫定1位に君臨し続けます。

スカイのカストロビエホがかなり健闘しましたが、それでも8秒差の暫定2位。
そのうち、また雨が降ってきました。

雨がふると、路面が滑るし視界は悪くなるしで、タイムトライアルは不利になります。
これは、ヘップバーンがかなり有利……!?

と、思ったら、ここで現れたモビスターのソレル!

表示上は、0.05秒ヘップバーンのタイムを上回り、トップに立ちます。
ソレル!TTもこんなに強かったのか!
スペイン総合系の期待の星!

が、そのあとしばらくして、やっぱり同タイムでヘップバーンの方が早かったってことになりました。
計測ミス?よくわからない。


けれど、それを2人のタイムを、圧倒的にそれを抜いた若手が現れた!

サンウェブのソーレン・クラークアンデルセン!23歳!
31秒上回る圧倒的なタイム!!

が、ベテランも負けてはいない。
やっぱり来たぜ、スカイのクウィアトコウスキー!!
1秒クラークアンデルセンのタイムを上回り、暫定1位に!!
毎日毎日あんだけスカイを牽引しておいて、個人TTでこれだけできるってすごい!!

しかし。
やっぱり本日の注目は総合系。
だって山のTTって言って過言じゃないステージだもの!

ユンゲルス、ザカリンなど、総合系の選手が次々と中間計測でトップタイムを叩き出す中、
やっぱりここにきて輝きだしたよね、フルーム!!

3位のログリッチェと4位のフルームで13秒差なのに、全長31kmのTT ステージの、13km地点にある第1計測で、すでに30秒ログリッチェがフルームよりも遅いタイムという事実!

ってか、デュムランよりもフルームの方が、中間計測のタイムが速いぞ。
って思ったら、ゲラント・トーマスが一番第一中間計測のタイムが速い!!!!
第一中間計測2位のフルームよりも、14秒速い。


……おー。(←もはや言葉にならない)


が、クウィアトコウスキーは後半がんばったのか、中間では勝っていたユンゲルスもザカリンも、フィニッシュ地点でのクウィアトのタイムは抜けません!

そんでもって、第二計測!!
ここもトップタイムはゲラント・トーマス!
2位通過のフルームより、12秒速い。3位通過ののデュムランよりは14秒。
んー。ちょっっっっとだけ、トーマスのペースが落ちている?


そしてフィニッシュ。
まずはフルーム、クウィアトのタイムより、51秒速いタイムでフィニッシュ!!

続いてログリッチェ。
フルームよりも、1分14秒遅いタイム。
この時点で、フルームの総合3位以上は決定。

そしてデュムランがすぐにやってくる!
で、タイム表示が、1秒フルームよりも遅い感じで入った気がしたけれど、
表示はデュムランが1位と出ている。


え、どっち?
フルームかデュムランか、どっちかのタイム表示がまちがっている?

混乱が治らない中、ゲラントがフィニッシュラインにやってくる!
それをホットシートから見守る、フルームとデュムラン!


…………え、ふたり!!?

どっちかわからないのでとりあえず二人ともいる感じ。
なんだこの映像。

爆笑しているうちに、トーマスがフィニッシュしてしまいました。
タイム的には、もう総合優勝はなさそうなタイム。
あ、えっと、でもこれでスカイのゲラント・トーマスのツール・ド・フランス総合優勝確定だ!!


そんでもって、結局このステージを勝ったのは、デュムランだったことが判明!!
サンウェブのトム・デュムラン、ステージ優勝おめでとう!
ものすっごい笑顔でインタビューに答えていて、もう総合優勝は今日の時点で念頭に入れてなかったんだなって勝手に思いました。
1秒差で、スカイのクリストファー・フルームが2位。
3位が14秒差のゲラント・トーマスでした。


そして、最終的な総合順位。

1位、チームスカイのゲラント・トーマス!!
フィニッシュして、ものすっごく、すっっっごく嬉しそうにしていて、なんか私はちょっとほっとしました。
たぶん、今まで、トーマスが微妙に嬉しそうじゃなかったから。

おめでとう、ゲラント・トーマス。
そういえば、昨年のツールの総合優勝を、私はトーマスだと予想していたのを思い出した。

そして、2位は、サンウェブのトム・デュムラン!1分51秒差。
惜しかったよね!なんというか!
スカイというチームに負けたという感じがします。
でも、それがまたサイクルロードレースの戦い方だなと思います。

3位は、今日逆転して表彰台に入ってきた、スカイのクリストファー・フルーム!2分24秒。
今年はもう、ずっとフルームの成績に私の感情は振り回されている気がします。
ジロのときから、もうだめだーって思ったら勝って、絶対なんとかやってくれると思ったら調子悪くなっちゃって、昨日のステージでもうフルームは総合表彰台には登れないやって思ったら、ログリッチェ逆転して戻って来た。なんだよ!スターか!知ってるけど!


そのほかの賞も確定。
ポイント賞は、ボーラ・ハンスグローエのペーター・サガン
山岳賞は、クイックステップ・フロアーズのジュリアン・アラフィリップ。
新人賞は、アーゼードゥーゼル・ラモンディエルのピエール・ラトゥール。

そして、今日、今年のツール全体を通しての総合敢闘賞が決まりました。
UAEダニエル・マーティン
おお!そう来たか!!って感じでした。
おめでとう、マーティン!!


これで、明日のステージ勝利をのぞいて、今年のツールが決まりました。
ゲラント・トーマスは、インタビューで最後言葉が出なくなって泣いてました。


あのね。
私、悪い子だからね。
今日まで、すごい複雑だったのよ!ゲラントがんばれって、素直に思えなかったの!

トーマスの優勝に曇りはないのさ!!トーマスは強いのさ!
だけど、フルームの今年のジロを見ているから、今年フルームが突然弱くなったわけじゃないってわかってるから、なんかこの状況を、うまく飲み込めなかったのさ!

もしもね、ゲラント・トーマスがマイヨ・ジョーヌを着てなかったら、どっか調子のいいステージで、チームスカイは、ジロのときみたいなフルームの前人未到の長距離アタック作戦をまたやってたと思うのです。
それが成功したかはわからないけれど、トーマスっていう、もう一人のエースが生まれたことで、フルームに一か八かをかけることは、スカイはできなくなったのです。

でも私は、別にフルームが勝つ負けるとかはどうでもよくて、
ただただ、初日にフルームが遅れた時点で、フルームがまたあの一か八かの戦いをツールで挑むことを期待して見てたから、そのチャンスがないツールになると思ってなかったから、なんか、「あれ?」って思ってしまったのですよ。


それに、レースが進むにつれて、正直個々の力でいったら、デュムランが一番今年のツールでは強いんじゃないの?って感覚があったから。
あくまでも感覚ね。
アシストの差とか考えた時に、デュムランがこの立ち位置にいるのはすごいことだなって思ったから。

だから、なんか、いろいろ複雑なツールになってたんだけれど。


だけど、ゲラント・トーマスの今日の喜んだ顔を見て、トーマスはものすっごく戦ってたんだなって思いました。

レースで戦うのはもちろんだけど、「フルームとどうなんだよ?」って毎日毎日手をかえ品をかえて質問されて、絶対絶対マイヨ・ジョーヌは欲しかっただろうけれど、でもエースとして一緒に戦ってきたフルームのことも、きっとずっと見てて、フルームの気持ちもわかってて、チームの雰囲気も守らなきゃいけなくて、フルームのこともまもらなくちゃいけなくて、だけどほかのチームにマイヨ・ジョーヌを渡すわけにもいかない。

一番複雑で大変だったのは、この立場にたって、毎日毎日飄々とかわし続けて来たトーマスだったんだってやっとわかりました。
だから今日、私は心のそこから、ゲラント・トーマスにおめでとうって言えるなって思いました。


おめでとう、ゲラント・トーマス。
どのチームのどの選手も、それぞれ一生懸命がんばったと思うけれど、
あなたがきっと、一番いろんなところでがんばった!

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