コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことやレース観戦仲間ができるまで(希望)を記すブログ(注:私はレース走りません)

『エスケープ』と『アタック』

先日発売された、2015年のサイクルロードレース全日本大会のことを書いたスポーツノンフィクション。
『アタック』佐藤 喬 著

アタック

アタック

ブエルタ始まる前に読み終わろうと思って、このお盆期間に読みました!

それと、その前作というか、同じ著者の方が、一年前の2014年の全日本のことを書いた、同じくノンフィクション。
エスケープ』佐藤 喬 著

エスケープ 2014年全日本選手権ロードレース

エスケープ 2014年全日本選手権ロードレース

こっちはね、もうちょい前に読み終わってました。


私がロードレースの映像を初めて見たのは、2015年の8月なので、この本で書かれているレースは、まったく内容を知りません。
2015年の優勝者だけ知っていましたが、レース展開もどこでやったのかも誰が全日本に出ていたかも知りません。

そういった、初心者からの視点として書くなら。


あのね。
エスケープ』が圧倒的によみやすくて面白い……!!


ちがうのちがうの!『アタック』が面白くないって言ってるわけじゃないの!そういうことじゃないの!!

あくまでも、個人的な印象ですが、私はこの二つの作品をこう捉えました。
エスケープ』は「2014年全日本ロードレースの話」。
『アタック』は「2015年全日本ロードレースへ挑む選手たちの話」。

この本は両方とも、いろんなチームや選手への取材したものをもとに、時系列でレースやレース前の事情を追って書かれていると思うのですが、特に『エスケープ』の構成は、物語のそれに近いなと感じました。
全日本レース前の状況を伝えるプロローグがあって、そしてレースの中で起承転結があって……みたいな。
『アタック』は、『エスケープ』の次だからだと思うのですが、そのプロローグにあたるレース前部分がとても長いです。全日本に向かうまで、エースが決まるまでの道のりが、とても丁寧に描かれ、反面全日本レースそのものに割かれている部分は、『エスケープ』に比べて少ない印象を持ちます。

私は普段、芝居とロードレース関係以外の本は小説しか読まないので、私のようなものにとっては、『エスケープ』の方が読みやすくて、面白いと感じたのですね。

あと、これは好みもあるとは思うのですが、もし仮に『エスケープ』も『アタック』も、現実に起こったレースじゃなくて架空の物語だったとしたら、『アタック』の視点や構成では、小説として成立しないと思うのです。
「つづく」が最後にないと、これで完結、とかなったら支持はされないと思います。
でも『エスケープ』は成立します。中の文章の構成とか、レース展開や読者の裏切り方を考えても、『エスケープ』の内容なら、これ一冊で完結の小説としてもありだと思うのです。

だから、『エスケープ』の方が、レースの物語としてはとても受け取りやすい。


ただね。
ノンフィクションなんですよ。
どちらも、現実に起こっていたレースなのですよ。

レースを見ていても、あるじゃないですか。
「まるで誰かが書いた物語のように、奇跡のようなレース展開」があるときと、
「どんなに願ったって、これが現実のレースなんだ」って受け止めなきゃいけないとき。

ついでに、それって誰の視点かによって、同じレースでも奇跡と絶望に印象は別れるじゃないですか。

全然どの選手にも思い入れのない状態の私が読んだら、奇跡のようなレースが『エスケープ』で、これが現実なんだっていうレースが『アタック』でした。
なので、普段小説しか読まない私は、『エスケープ』を支持するのですが、でもだからって、『アタック』を否定はできないのですよ。
だって現実だもん。本当にあったレースだもん。
実際のレースを見ていたファンや実際にレースに出ていた選手の中には、『エスケープ』こそが辛い結果で、『アタック』が奇跡のようなレース展開に受け止めた人だっているはずだもん。

ですので、これはあくまでも、ほとんど思い入れや知識のない状態で読んで私はこう思った、という話にすぎません。


実際、どちらもレースを観に行かれた方は、どっちのが面白いと思うのかなあ……。
ちょっと気になります。



とりとめもなく感想を書きましたが、まとめると、こういうことです。

国内ロードレース知らない人に勧めるなら『エスケープ』だけど、これ読んで面白いからって『アタック』読むと現実にうちのめされるから、『エスケープ』読んでから一旦国内選手が出ているレースを見に行って、「ああ、これは現実の話なんだな」って実感してから『アタック』を読むといいと思うよ!!

おわり。

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