ツール・ド・フランス 2017 第18ステージ
私は何を見たんだろう。
今日のステージを見終わって今、そういう気持ち。
今日は逃げが51人という、最初っからまあ「この人数って逃げ?」っていう疑問からはじまったステージでした。
さらに3人追加で、最終的には54人。
この逃げから、要所要所で何人か飛び出して、吸収され、の流れが繰り返され、それをだいたい7分くらい後ろから追っているメイン集団、という感じでした。
そこから、最初の3級山岳では、ロット・ソウダルのデヘントが1位通過。
次の中間スプリントでは、バーレーン・メリダのコロブレッリが1位通過。
その次の1級山岳ポイントは、アスタナのルツェンコがとりました。
その後もアタック、追いつく、集団形成、またアタック、みたいな流れがありつつ、
最終的には、残り15kmくらいで、逃げの中からアスタナのアレクセイ・ルツェンコが単独先頭に立ちます。
この時点で、メイン集団とは約4分16秒差。
そこからルツェンコが一人で逃げますが、後ろから追いついて来た、UAEのダルウィン・アタプマがルツェンコを抜き、単独先頭に立ちました。
また、ロット・ソウダルのトニー・ギャロパンもルツェンコを抜いて行き、単独2位になります。
メイン集団はスカイがずっとコントロールをしていたのですが、残り50kmくらいからは、アーゼードゥーゼルが前を引きスピードを上げていきます。そしてまた残り7kmを切ったあたりから、また集団の主導権はスカイの元にもどります。
先頭残り6.2km。
ここで、サンウェブのバルギルがメイン集団からアタック。
それに続いて、すかさずトレック・セガフレードのコンタドールもアタックします!
今日もアタック!
コンタドールとバルギルは協調して、前からおりてきたモレマと合流します。
しかし、残り5.4km。バルギルがどんどんスピードをあげていき、さくさく先に行ってしまいます。
先頭残り4.8km。
メイン集団で、クイックステップ・フロアーズのダニエル・マーティンがアタック!が、すぐに追いつくメイン集団。
ここで、アスタナのアルがメイン集団から遅れ出します。
残り4km。
結局先ほどアタックして前にいったコンタドールも吸収されました。
そのあと、すぐです。
フルームが、ランダを一人で行かせます!
ランダが前に切り離されたような形から、がんがん一人で前に進んで行きます。
フルーム、自らメイン集団内でアシスト0状態にしました!
このレースも佳境の場において、「この場は一人で対処できる」という自信とその判断を下せる勇気。
鳥肌が立ちました。
「あとはいいから自分のために走れ」と送り出したかのように見えました。
そして、フルームが一人になったのを見て、アタックを繰り返すダニエル・マーティン。
フルームが都度すべて対処するので、決定打にはなりません。
でも、それでも繰り返し自分で攻撃をしかけるところが、「ああ、マーティンの走りだなあ……」って思いました。
そして残り3km。
ここまでじっと抑えていた、バルデがアタック!
フルームがチェック!ウランはフルームについて行く。
けれど、マーティン以下他チームのエースの選手はついていけません。
前を走っていた、ロット・ソウダルのトニー・ギャロパンにバルデが追いつき、またそこにフルーム、ウランも追いついてきます。
そしたら、チームメイトでもないバルデを引くギャロパン。
フランス人ライン!?
そして、このタイミングで、ついにでた。
フルームのアタック!
バルデがチェックしますが、その猛烈な走りに、一気にバルデとウランが離されていきます。さっすが。
しかし、ウランがバルデの前に出た途端、じわじわその差が狭まり出します。
ウランが速いんだ!
やがて、ウランとバルデもなんとかフルームのところまで追いつきますが、この一連の攻防の結果、先ほど一人で前に行かせたランダのところまでフルームたち3人が追いつきます。
その頃、先ほど飛び出していったワレン・バルギルが、先頭でずっと逃げていた、UAEのアタプマに追いつきました。
アタプマ、必死でバルギルについて行きますが、残り1kmのフラム・ルージュを通過したあたりから、徐々に引き離されて行きます。
バルギル、単独先頭。
そして、そのままゴール!
サンウェブのワレン・バルギル。ステージ優勝!今大会2勝目!
そして続いてやってきたアタプマのすぐ後ろに、フルームグループがやってきます。
結局、アタプマが2位、バルデが3位、フルームが4位。ウランは2秒だけ遅れて5位でした。
そして総合順位。
マイヨ・ジョーヌは変わらず、スカイのクリス・フルーム。
2位が、アーゼードゥーゼルのロメン・バルデで23秒差。
3位は、キャノンデール・ドラパックのリゴベルト・ウランで29秒差。
マイヨ・ヴェールはサンウェブのマイケル・マシューズ。
マイヨ・ブラン・ア・ポア・ルージュは、本日優勝したサンウェブのワレン・バルギル。
この二人、今大会、ホテルの部屋割りルームメイトらしいですね。
すごい部屋だ。
マイヨ・ブランはオリカ・スコットのサイモン・イェーツです。
そして敢闘賞は、UAEのダルウィン・アタプマでした!
今日は最後のイゾアール峠を登り始めたあたりから、もうあっちもこっちもそれぞれが自分の持ち味を生かしてすごい走りをしていて、群像劇を見ているみたいでした。
誰からも目が離せないような、そんなステージでした。
誰も彼もがすごすぎて、続々とみんながゴールをしていき、表彰式を見終わってからも、なんだかぼうっとしています。
これ、リアルタイムで、今フランスで行われたレースなんですよね。
実際にたった今、こんな風にそれぞれの生き様を映し出すかのような、素晴らしい走りをした選手が、本当にいるんですよね。
そんな当然のことが、どこか現実味がなくなってしまうくらい、すごいすごいステージでした。