ハンマーシリーズ 2017 ハンマークライム
ハンマーシリーズ。
団体戦のサイクルロードレース。
第1ステージは、ハンマークライムという山系のステージで、11周の周回レースとなります。
各周、ゴールポイントの通過順に10位までポイントがもらえて、それを加算してチームの成績が決まるのですが、3、7、11周だけがポイント2倍になるので、がんばるところは考えないといけません。
でもいざレース始まってみたら、
最初から最後まで「ガンガンいこうぜ!」状態で踏み続けないとどうにもならない、めちゃくちゃハードな争いでした。
スタートが切られて、パレードランがあるのかないのかよくわからない雰囲気の中、もうアタックがかかってて、
そこからはほぼずっとツールのスプリントステージの、残り20km切ったピリピリの速さが続いている感じでレースがすすんでいくんです。
は、速い。
1周目から、ヴァンマルクとかが遅れていきます。
あっというまに1周目のポイント。
長い髪をなびかせて、BMCのダニエル・オスがまずポイント地点を1位通過します!
先頭は、ポイント付近では10人前後のグループでしたが、後続が追いついて20人くらいになりました。
これって、メイン集団って呼び方で合っているのでしょうか?
とか言ってる間に、もうまた2周目のポイントが近づいてきます!!
展開が早すぎる!!
なにこれ!
あ、オリカのユアンが遅れていく。
と、ここでこの猛スピードの集団から、4人が飛び出す!
が、すぐにおいついて、ポイント地点で今度はスプリント!
2周目の1位通過は、ロット・ソウダルのティム・ウェレンス!
そっからまた別のアタックがかかり、吸収され、またアタック!
ニッポ・ヴィーニファンティーにのフィロージと、スカイのゲオゲガンハートが逃げた!
それにサンウェブのデュムランやロットNLのカンペナールツ、、モビスターのベタンクールが追いついてきて5人に!
ああ、オスがおちていく。
そしてもう3周目のポイント!
ポイント2倍のボーナスポイントは、モビスターのベタンクールがとった!
4週目にして、やっとこそさ、この先頭5人による逃げができた感じがしてきます。
いや、先頭じゃないんだよ。逃げなんだよ。
とりあえずここ5人でまわろうぜっていうのが、成立している感じが伝わってくるので、これはやっぱり逃げ!
途中でカンペナールツがアタックをかけるも、追走が来て吸収。
4周目のポイントも、先頭はベタンクール。
しかし5周目で後ろのグループがおいついてきました。
それによって、今度はカンペナールツが苦しい!
そこでニッポのフィロージが飛び出した!
ついていったのは、クイックステップのブランビッラ?
でも、うしろからデュムランががんがんあがってきて、結局吸収されていきます。
5周目。またもやベタンクール。
三週連続!
先頭グループは、フィロージ、ゲオゲガンハート、ベタンクール、デュムラン、それにクイックステップのブランビッラと、BMCのステファン・キングの7人。
次の6週目はフィロージがアタックをかけて1位通過!競り負けたベタンクールは2位!
そして7周目に入ると、もっかいアタックをするフィロージ!
すごい、すっごくがんばってる!!
7周目、ポイント倍だからね!
でも7周目のポイント前で、吸収され、首位で7周目のポイントをとったのは、ゲオゲガンハート!
ちなみに、ベタンクールは2位通過。
と、8周目でゲオゲガンハートが落車!
体を倒して高速でカーブを曲がっている最中にペダルを回し始めて、イン側のペダルが地面に当たってしまい、バランスを崩したみたいです。
8周目のポイント地点。
またベタンクールがとった。
最初っからずっと高速で、ここぞという瞬間にがんっとスピード出せるって、すごいね。
そして9周目。
またベタンクール。
余裕だよ余裕。
というかもはや、圧勝。
10周目も、ベタンクール。
さあ最終周。
カンペナールツのラストアタックに、ベタンクール、一人で追いつき、追いこし、余裕でゴール。
モビスターのベタンクール、最終周も1位通過!
ちなみに、最終周2位通過はサンウェブのデュムランでした。
ジロ終わって一週間経ってないよ!!?
優勝はモビスター、2位がサンウェブ、3位がスカイでした。
表彰式も、あくまでもチーム。
モビスターの選手がみんな並んで、インタビューを受けていきます。
なんか、
私の知っているロードレースではなかった(笑)
世界のロードレースのトップの選手があつまって、毎周回にゴールがあるようなレースをするとこうなるんだなあ。
あ。ひとつ、ここ数年の疑問が解けました。
グランツールとかの山岳ステージって、山頂ゴールだとかならず山岳ポイントが倍になるじゃないですか。
「なんでこんなバラエティクイズ番組みたいなポイントの付け方するんだろう。総合系の選手がとっちゃって、山岳賞狙いの選手は敵が多すぎるじゃん」って思っていたのですが、
ああしないと「がんがん途中の山岳ポイントをとるぜ!」って選手だけの戦いになって、「ゴールで頑張るから途中では力を温存するんだ」っていうプロトンと逃げの構造が成立しなくなるんだな。
今回のハンマークライムがまさにそれで、1位で最終周のフィニッシュ地点を通過するメリットがあんまりない。
ニュースサイトで、UCIのレースになっているっていうのを読んだので、UCIのホームページのレース一覧を見てみました。
同じ日程で「ITC Netherlands」っていうレースがあって、これがハンマーシリーズのことだと思います。
すべてのステージが、チームタイムトライアルレースとして登録されていました。
つまり、ステージ1位っていう概念自体が、存在していないレース。
なぜなら、1位のチームは、1位通過した選手のチームじゃなくて、1番ポイントあつめたチームのことだから。
モビスターは途中の周回でポイントをガンガンとっていたので、チームの1位はほぼ確定でした。ぶっちゃけ最終周ベタンクールが勝つメリットがなかったんです。
1位のチームから順に、最終日のチームタイムトライアルのボーナスタイムをもらえるのですが、1位は15秒、2位は12秒って順位でタイム差が決まっているので、1位が確実なのにポイント差を広げる意味はない。
UCIポイントも1番最初にフィニッシュ地点を通過した個人ではなく、レース終わって一番ポイントが高かったチームに対してつくので、今回のベタンクールの場合、最後にがんばるメリットがないんです。
ほかのステージレースと違い、ハンマーシリーズは連続したレースのタイム差を競うわけではないので、今日リタイアしても明日、明後日のステージ走れます。
だから、がんばってポイントがとれなくても最後まで走りきった選手と、途中でリタイアした選手とに、結果として、ほぼ違いはないんです。
むしろ、明日、明後日に温存できる分だけ、リタイアした方が有利とかになってしまう。
難しいなあ〜!!
いや、レースの仕組みじゃなくて、
選手ががんばるメリットが低い気がして、これに出るなら個人のUCIポイントもらえるようなレース出たいって選手がいてもおかしくない気がする。
でも、ハンマーシリーズが定着してチームがチームだけでスポンサー収入に頼り切らずにレースの放映料とかの収入が入るようになって、チーム自体の強さをあげることに意味が見いだせるようになって、UCIポイントに頼らず選手に成績を還元する方法ができれば、成立するのかな。
もし、私がこの、ハンマークライムっていうレースをアレンジするなら、どうするだろう。
チーム戦ってとこは、変えない方がいいと思うんだ。
えっとね、1位通過のポイントを3周目が20、7周目が20、で最終周である11周目は60にして。それぞれ20位、20位、80位までに、順位に応じたポイントをつける。
で、それ以外のポイントは、1位通過が10ポイントで、ポイントがつくのが10位まで。
で、ポイントかける0.5秒のタイム差を、ラストのチームタイムトライアルにつける。
これなら、最後まで走りきる選手とリタイアした選手に差ができるし、ポイントいっぱいゲットしたら最終日楽できるから、最初のレースでがんばったチームもちゃんと報われる。
そんで、もうちょっとコースを大きくして、平地っぽい箇所を5kmくらい追加して、あとから集団ががんばっても追いくことができそうな設定にする。
そうしたら、最初に逃げて3周目くらいまでのポイントを狙う選手と、中盤にアタックかける選手と、最後にかけるエースの選手とにわかれるから、戦略ができてくるんじゃないかな。
こういうの考えるの、楽しい!!
ツールとかも、100年以上の歴史のなかで、チーム戦略で戦えるようになったり、シングルギアじゃなくてもよくなったり、ほかの人に助けてもらってよくなったり(昔はチューブを個人で担いでいたり、フレーム折れたらリタイアするか、鍛冶屋で自分で直さないといけなかった)、いろんなルール変更があって、形がかわって今日に至っているじゃないですか!
ハンマーシリーズみたいな新しい試みが、またこれから10年先、20年先のレースを作っていくのだなと思うから、
こういう挑戦はやめないでほしいし、応援したいです!