コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2016 第14ステージ

今日は、クイーンステージです。21ステージ中、一番厳しい、勝負所になるステージです。
アクチュアルスタートをきいて、アタックがはじまります。

最初に飛び出したのは、やっぱりフライレ!山岳ポイントを取る気充分です。
そこから、順々に集団から飛び出していった選手を吸収するような形で、41名の逃げ集団ができました。

……41名って。
私今までみたレースの中で、一番人数が多い逃げかもしれません。


最初の1級山岳、ディメンションデータのフライレがトップ通過で越え、順々に下りに入ります。
このくだりが、ものすごく恐ろしい!!
道がそんなに広くないんですけど、完全に、見晴らしのいい山の原っぱを一部削ってつくったような道です。
左側が、山。右が、斜面っていうか、崖。もはや崖。もちろん柵はありません。

つまり、右に転んだら一巻の終わり。
見晴らしがいいんですよ。もし転んだら遮るものがなく一気に落ちる。

いやね、私下り大好きですけど、別にカタストロフを望んでいるわけではありませんので!!



でも私の願いむなしく、ここで落車してしまった選手がいたりして(幸いにも、崖から転がりおちるような落車ではありませんでしたが)このあと逃げ集団は二人減り、39人になります。


現在、この39人の逃げ、ジャイアント以外のすべてのチームが選手を入れているのですけれど、その中でも、3人入れているチームが、5チーム。
モビスター、エフデジ、キャノンデール・ドラパック、ロットNLユンボ、オリカ・バイクエクスチェンジです。

有力選手でいうと、バーチャルで総合トップに躍り出るようなタイムをもっている、現在総合12位のモビスターのモレーノ。
キャノンデールのピエール・ローラン。ロットNLユンボのヘーシンクなどが気になるところです。

メイン集団をひいているのは、スカイです。
総合タイムの良いモビスターのモレーノが、逃げ集団で走っているので、現在総合2位のフルームを擁するスカイとしてはこのまま逃げ切らすわけにはいかないため、リーダーチームでないにもかかわらず、集団はスカイがひいているみたいです。

ただ、実際問題として、現状は2位であっても、まだこの先に控えている個人TT(タイムトライアル)があることを考えると、現在トップのモビスターのエース、キンタナは現在のタイム差のままでは、スカイのフルームに負けてしまう可能性が高いのです。
フルームはTT得意ですが(リオは3位でしたね)、キンタナはどっちかっていうとTTが苦手ですし、またTTってタイム差が、分単位でつくことがザラなんですね。
ですので、今日、総合を争っている二人のうち、今日のステージでタイム差がほしいのは、むしろキンタナの方。もちろん、スカイだってタイム差欲しいとは思いますが、このままのタイム差キープすればTTで取り返すことのできる可能性が高いのです。

だから、現在マイヨ・ロホを着ているのは、キンタナだけど、攻める必要性にかられているのは、モビスターになるのです。
つまり、私が山岳で好きな、アシスト降臨戦法をとるのはモビスターなのかなってことです。
わくわく。


そうこうしているのうちに、二つ目の1級山岳は、またまたフライレが先頭をとりました。

次の峠に向かうまでに、また少しずつ逃げ集団が減っていきます。
主に、逃げをモビスターが引いています。
あれ……ってことは、モビスターは前待ち作戦じゃなくて、スカイのアシストを消耗させる方を優先したいのだろうか……。


先頭、残り40km。
3つ目の山岳山頂に入る前に、フライレが先頭集団から遅れました!!
今日の山岳賞確定できず。
一方、メイン集団では、オリカのヘイグがアタックをかけます。……何のためなんだろう……?モビスターやスカイのアシストへの攻撃?

残り39km。
オリカ・エクスチェンジのサイモン・イェーツがメイン集団からアタックしました!
そのちょっとだけ前に、集団でアタックをしかけていたヘイグに合流し、ひいてもらいます。
なるほど!だからさっきちょっと早めにヘイグがアタックをしていたのですね!


残り38.5km。
先頭集団が、本日三つ目の山頂に来ました。
山頂直前でエフデジのエリッソンドがアタックをしかけ、1位通過です!
現在、逃げ集団とサイモン・イェーツと、ヘイグとのタイム差が4分50秒。
メイン集団は、そこからさらに55秒くらい離れています。


残り38km。
ヘイグが離れました。サイモン・イェーツは単独追走となります!


残り34.7km。
イェーツが山頂を超えたところで、前にいたチームメイトのコルトと、サイモン・ゲランスに合流しました!!
結果的に、二人のアシストを引き連れて、集団から抜け出しました。
すっっごい!こんな見事なアシスト降臨戦法が見られるなんて!!

と、オリカの戦術に気を取られているうちに、いつの間にか先頭の逃げ集団が追走とさらなる逃げグループに分かれていました。


先頭残り23km。
逃げ集団は6人。トレックのベルナード、カチューシャのシリン、エフデジのエリッソンド、ロット・ソウダルのデクレルク、アーゼードゥーゼルのバークランツ、ロットNLのベネットです!
追走は約40秒遅れています。キャノンデールのピエール・ローランや、BMCのヴァン・ガーデレンがここにいます。
そこから3分30秒遅れて、イェーツのグループ!
そこからさらに1分30秒遅れて、メイン集団です。


残り22km。
下りを終えたあたりで、イェーツのもとに、さらにもう一人オリカの選手が前から降りてきます。
ケウケレール!!
なんと、イェーツグループ、4人になりました!!もうオリカ・エクスチェンジの戦術考えた人、ロードレースの戦術本出して欲しい!


残り19km。
先頭は未だ6人。追走集団との差は、約45秒。追走集団は、キャノンデールが「戻せ。ピエール・ローランを先頭に!」って感じでひいています。
そこから、3分10秒差で、イェーツのグループです。いつのまにか、他のチームのいろんな選手を引き連れています。前からこぼれてきた選手かなあ……。
なお、メイン集団と、イェーツグループとの差は、約1分30秒。このタイム差は、あまり動きません。


残り16km。
逃げと先頭との差がじわじわ縮みだしました。約30秒。追走のキャノンデールが頑張っているのです。
そしていよいよ、先頭の6人は、本日最後の山岳、オービスク峠を登り始めます。


残り15km。
先頭の6人と、追走集団との差は15秒。
イェーツは、コルトとケウケレールが役目を終えて離れたため、ゲランスと二人になりました他のいつの間にか合流していた選手は、引き離してしまったようです。追走集団とイェーツとの差は、3分です。
イェーツらと、メイン集団との差は、未だ変わらず1分30秒です。


残り14.5km。
ついに、サイモン・イェーツの前からゲランスが離れ、イェーツが一人になりました!
さあ、ここからは一人での戦いです!


残り12km。
先頭6名と追走集団とのタイム差が30秒に広がりました。
追走集団と単独で追うイェーツとの差は、2分30秒。詰まってきています。
イェーツとメイン集団との差は、1分20秒くらいです。あんまり変わっていません。


残り10km。
先頭と追走との差は、約26秒。
追走とイェーツとの差は、約2分。
イェーツとメイン集団との差は、約1分30秒。

ここで、先頭集団からエリッソンドがアタックにいきました!
真後ろにつくバークランツ、ベネット、シリンが続きます。

この攻防で、先頭集団は4人に減ります!


残り9km。
ここで、追走集団からロットNLユンボのヘーシンクがアタックです!!
このまま前の逃げ集団のところまでいって、ベネットと合流を目指すのでしょうか!?
……ここまで、キャノンデールが追走、ローランのために踏んでたのに、ローラン、行けないんだ……。
ローラン!!くじけるな、がんばって!!


残り7.8km。
メイン集団で、ぽろぽろアタックがかかりだす中、ついにキンタナがアタック!!
ワンテンポ遅れて、フルームがチェックに向かい、その後ろにコンタドールも続きます!

あれ。バルベルデがいないぞ。
どうやら、メイン集団から1分遅れてしまっているようです。


残り6.9km。
いつの間にか先頭においついていたヘーシンクが、アタックをかけました!!
サイモン・イェーツは、先頭のヘーシンクから1分15秒後ろを走っています。

しかし、それほど間をおかず、ヘーシンクにバークランツが追いつきました!


残り6.3km。
メイン集団から、BMCのサミュエル・サンチェスがいきました!


残り5.6km。
先頭二人とサイモン・イェーツとのタイム差は、1分30秒くらいです。
メイン集団とイェーツとの差は、約2分。
メイン集団、アシストが結構脱落していて、フルームもコンタドールもキンタナも、動く様子がありません。メイン集団は、アスタナが引いています。


残り4.6km。
サイモン・イェーツ、先頭との差は、約1分10秒。そこから1分30秒おくれて、さっきアタックかけて、前から降りてきたヘルマンスと合流していたBMCのサンチェス。
メイン集団は、サンチェスから1分差です。


残り4.2km。
キンタナがアタックしました!!
でも、誰も追いません!


残り3.8km。
キンタナのアタック、誰もついていきません。
先頭は依然バークランツとヘーシンクの二人です。


残り3.4km。
エリッソンドがヘーシンクにに追いついてきました!!
メイン集団ではようやくフルームがアタック!!コンタドールも続きます。
キンタナに追いつく二人。
すると、スピードを緩めるキンタナ、続いてスピードをゆるめるコンタドールとフルーム。
しかし、その隙をつき、オリカのチャベスがアタック!!でも誰もチェックにいきません。

残り2.3km。
コンタドールのアタック!!
キンタナがチェック、つづくフルーム。
キンタナ、コンタドールに追いつくと同時に、今度は自分のアタック!

フルーム、コンタドールがチェックいきますが、ここでコンタドールが脱落しました!!


先頭、残り2km。
キンタナがもう一回アタックにいきます!
フルームが再度チェック!!
さっき前に行ってしまっていた、BMCのサンチェスを抜きました。


残り1.4km。
ヘーシンクが先頭。真後ろがエリッソンド。バークランツは先頭からは遅れてしまった模様です。
イェーツは、まだ先頭とは43秒差あります。

キンタナがまたアタック!!フルームがチェック。
追いつかれたので、またやめるキンタナ。


先頭は残り1kmです。
エリッソンド、ヘーシンク、そしてカチューシャのシリンが追いついてきました。

残り700m。
エリッソンド先頭。ヘーシンクがずっとダンシングでそこに続きます。その後ろにシリン。
イェーツは、まだ35秒後ろにいます。

残り500m。
今度はシリンが先頭にたち、若干ペースをあげます。ヘーシンクは、ずっとダンシングでシリンの後ろにつきます。

残り400m。
そのままヘーシンクがダンシングでアタックしました!
エリッソンドが後ろにつきます。ついていければ最後に刺せます。ダメなら、それまで。
しかし、エリッソンドはついていけません!代わりにシリンがヘーシンクの真後ろにつきます。けれど、シリンもまた、ついていけません。
最後のカーブ!
もう後ろがついてこないのに、一切振り返りもせず、ヘーシンクはゴールまで踏み切ります。
そのまま、両手をあげてガッツポーズ!!今日のステージ優勝は、ロットNLユンボのヘーシンクです!!
そしてヘーシンクは、実はこれ、グランツール初勝利!!

4位が、ロットNLユンボのベネット。
イェーツは、1位のヘーシンクから39秒遅れて、5位でゴールです。

そこから、1分7秒遅れて、最後にダンシングでアタックをかけたキンタナ、それ追ったフルームが同タイムでゴール。
それからさらに21秒おくれて、コンタドールがゴールしました。


ヘーシンク、よかったねえ。
第10ステージであんなにがんばってたのにキンタナに負けて2位で、この後どっかのステージで取り返してほしいなあって漠然と思っていたので、実は今日ロットNLユンボが逃げ3人いれてそこにヘーシンクが入っていた時点で「ヘーシンク、今日は取れるんじゃないかな」と期待していたので、なんだか嬉しい気持ちになりました。


さあ、総合順位が動きました。
1位のキンタナと2位のフルームとのタイム差は動かなかったものの、3位がチャベス。4位が今日ものすごくレースを盛り上げてくれた、サイモン・イェーツ。
5位が、スカイのケーニヒ。6位がコンタドールでした。モビスターのバルベルデは今日ヘーシンクから10分以上遅れてゴールした為、総合トップ10から脱落してしまいました。

山岳賞は、エリッソンドでした!フライレが今日脱落したあとにとった山岳ポイントで、フライレの得点を抜きました。



今日は、すっごく面白かったです!!
オリカの戦術と、フルームとキンタナの山岳の攻防!そして、後ろを振り返ることなくゴールに向かっていったヘーシンク!
見所がいっぱいでした。
今日、スタートからLIVE中継をしてくれた、Jsportsさんありがとう!!

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