コロロン 〜孤独な自転車レース好き〜

2015年2月まで「ツール・ド・フランス」を「ロマンス街道ツアー」みたいな人気旅行企画と勘違いするくらいロードレースに興味がなかった筆者が、一瞬ではハマった自転車レースのことや自転車にまつわる日々を記すブログ(注:私はレース走りません)

パリ〜ルーベ 2016

DVDを買っても、いつも途中からのレースの映像しか見られない、パリ〜ルーベ
今回、初めて、スタートから映像を映してくれました。

ありがとうJsports!!!

カンチェラーラが有終の美を見せるのか、
それとも、サガンのクラシック3連勝なるか、
または、クラシック二連続2位のヴァンマルクが、今回こそは勝利を手にできるのか。


レース全部で、6時間半くらいでしょうか。
Jsportsは、二部制にして、レース前半と後半で解説と実況のペアを交代するという秘策をとりました。


しかし、放送するのが初めてなら、
見るこちらも、クラシックを最初から最後まで見るのは初めてです。

マジで盲点でした。
六時間ちかくのレースを、どうやって見ていいのかわからん。

結局、いつもと同じような時間からしか、しっかり見られなかったです。
うう。我ながら未熟者。



さて。肝心のレース内容ですが。

最初しばらく、逃げが決まらず、逃げかけてはつぶれ、逃げかけてはもどり、が繰り返されていました。
サングラスを外したトニーマルティンが、相変わらずすごい勢いで集団をひいていました。

そして、前のほうにボーネンがいて、カンチェラーラサガンがそれを追う展開になっている中。

カンチェラーラは。
カンチェラーラが。

……残り50km地点くらいの石畳で、落車…………。

一瞬、何が起こったのかみているこっちもわからなくなりました。

カンチェラーラがこけて、一緒にいたサガンが、
サガン
カンチェラーラの自転車を踏んで飛び越えてそのまま普通に走って行きました。

サガンが何をどうしたのかは、3回繰り返しみてもわからなかった。


twitterとか見ていたら、バニーホップ?っていう言葉をつぶやいている人がいたけれど、
調べてもバニーホップが何なのかもよくわからなかったので、それはもう明日プロの解説にまかせます。


とにかく、サガンは、普通絶対転ぶところで転ばずに走っていきました。
カンチェは転んで、決定的に遅れてしまいました。

がんばって一人で追いかけるカンチェラーラの姿が一瞬映って、ものすごく速かったけど、
それでも、状況的に追いかけられる展開ではなく。
一方、落車を免れていたサガンですが、こちらも先頭集団には追いつけません。

残り25kmくらいを残している段階で、ほぼ先頭集団の中から優勝者が出るだろうと予測される展開になりました。
そこに、いるのです。
王者、トム・ボーネン

先週のフランドルのとき、カンチェラーラサガンがどっかのタイミングでアタックしていて反応していたときに、
ボーネンが追えなかったんですよね。

それが、なんだかとても切なくて。世代交代っていうのがあるのはわかっているし、
どうしたって肉体が衰えていくのは仕方のないことなのだと思っているのですが、
でも、ボーネンといえばクラシックレースっていう気持ちがあるから、なんだか先週とても切なかったんです。

ボーネンは、パリ〜ルーベを4回優勝しています。
もし、今日買ったら、史上初5回優勝した選手ということになるのです。

前方には、5人が残りました。
トム・ボーネン
セプ・ヴァンマルク。
イアン・スタナード。
マシュー・ヘイマン。
ボアソンハーゲン。
残り15km地点あたりで、一度ヴァンマルクが大きくアタックをしかけます。

11秒の差をつけ、一度決まりかけたかに見えましたが、
牽制をしないボーネン、スタナード、ボアソンハーゲンがぐいぐい後を追います。
ヘイマンは、逃げからずっと前にいるので、ちょっとだけ遅れて3人についていきます。
最後にスカイのスタナードが登りのところでスピードをあげ、12km切ったところくらいでヴァンマルクをとらえます。

そして今度は、残り7.4kmののところで、ヴァンマルクが仕掛けます。
すぐさま、ボーネンががチェック。
そのあと、今度は残り6kmでスタナードの高速。
またボーネンがチェック!

そしてついに、ここまで追う動きしかしていなかったボーネンが動きます。
残り3.7km、ボーネンのアタック。
まさに王者の貫禄。
今度は、ボーネンを追ってすぐに抜かしたスタナードがアタック。
また、ボーネンが捕まえます。

再度、ボーネンのアタック。
一人で追う、マシュー・ヘイマン。追いついて、まだスピードをあげ、今度は残り1.8kmあたりくらいで、アタックをしかけます。
けれど、そこをまたボーネンがチェック。

わたし、残り2kmから泣いてました。
ボーネンが、あまりにもかっこよすぎる。ものすごく、勝ってほしい。

勝負はゴール直前のドーム内でのスプリントに委ねられました。
ボーネン、ヘイマン、ヴァンマルクが、ほぼそのまま一列でドロームまで来ました。


そのまま競技場でまた5人になり、トラックでのスプリント勝負へ。
王者ボーネンが引きますが、マシュー・ヘイマンがボーネンを抜かします。
外から、スタナードが追い上げます。
ヘイマンか、ボーネンか、スタナードか。

そして、勝ったのは、オリカ・グリーンエッジのマシュー・ヘイマン!
37歳。
ボーネンよりも年齢が上です。

ずっとアシストなどをやっていた選手ですが、
まさかまさかのパリ〜ルーベで、優勝。

泣きながらボーネンを応援していた身としては、若干複雑な気持ちもしましたが、
でも37歳でずっと何年も自転車レースをしていて、ようやく手に入った勝利は、
重さが違いました。
報われてよかったなと、素直に思うようになりました。


そして、メインどころがゴールしたあと、
カンチェラーラが、アシストを伴って競技場に戻ってきました。

ゆったりと、穏やかな笑顔で全員に手を振り、ゴール。

観客と、そして奥さんとハグをするカンチェラーラ
私、ここでもう一回泣きました。
カンチェラーラの、パリ〜ルーベが終わってしまいました。


勝ったのはヘイマンだったけれど、
パリ〜ルーベの王者は、2位だったけれどはやり存在感が別格だったボーネンであることを再確認したし。
そして、今日の主役は、カンチェラーラでした。

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