茄子 スーツケースの渡り鳥
これまたJsportsオンデマンドで3月いっぱいまで見られたので、見た。
- 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)
- 発売日: 2007/10/24
- メディア: DVD
- クリック: 85回
- この商品を含むブログ (142件) を見る
《あらすじ》
国民的英雄にして、すばらしい実力の持ち主だった、伝説的ロードレーサーである、
マルコが自殺した。
同じ故郷で育ち、後輩として一緒にトレーニングをして、今はプロのロードレーサーとなっていたチョッチは、動揺を隠せない。
そんな中、主人公であるぺぺや、そしてチョッチのいるチームパオパオ・ビールは、ジャパンカップ参戦のために日本へ訪れる。
そのジャパンカップには、数年前にその実力でアルカンシャルをとったこともある、ザンコーニも緊急参戦することが決まった。
なぜ急にと首をかしげる面々に、吐き捨てるようにつぶやくチョッチ。
「マルコのせいさ」
果たして、ジャパンカップ勝利は誰の手に……?
感想
もしも、あなたが、自転車レース観戦を何十年もしている人だったら、この作品をどう思うのかは正直私にはわからません。
けれど、もしあなたが、私と同じようなロードレース初心者で、
そんでもって、昨年冬から公開されていた映画「海賊と呼ばれた男 マルコ・パンターニ」を見ていたとしたら、
断言します。
見て損はしない。
もう素晴らしかったの一言です。
説明的な余計なセリフがなくて、物語にすんなり入り込めてストレスがない。
ロードレーサーが、すごい坂でもすいすい登っていくその実力を示すシーンとか、
食事に関してとか、そういう「見てる人はしらないけど当人たちにとって当たり前のこと」も過剰に説明することなく物語の中に組み込まれているので、
気負うことなく自然に「ああ、これが当然のことなのか」と、とても見やすい。
そして、何よりもすごいところが、
マルコの死を、ザンコーニや、チョッチがどう受け取って決着をつけたのかが、
決して言葉では語られないところです。
すべては、ジャパンカップのその走りの中で彼らの出した答えを、
観客である私たちはただ感じて受け取るだけ。
特に、ザンコーニの答えには、鳥肌が立ちました。
解釈は、人によっていくらでもあるでしょう。
私の中でも、何通りもあります。
でも、それの何が正しいかとかどうでもよくて、
その瞬間のザンコーニの走りと生き様に、瞬きもできないくらい惹きつけられたことが、何よりも大切なのです。
そして、レース中にチョッチが見る、マルコの幻がかける言葉。
「じゃあ、やめちまうか」
その声の、暖かく優しいこと。
人生をやめてしまったマルコの声で、レース終盤で苦しむチョッチにかかる、
決して投げやりでも自暴自棄でも誘惑でもない、
ただ優しいことば。
心の中のマルコは、何かチョッチに指針をくれるわけではないのです。
ただ、そこにいるだけ。
だから、
その言葉を受けて、どうするのかは、
チョッチが、決めること。
ああ。本当に素晴らしい作品でした。
私はこれの前作にあたる、劇場版「茄子 アンダルシアの夏」しか知らずなくて、でも知っているのも名前だけで見たことがありませんでした。
この度Jsportsでやってたのを機に、両方見たのですが、
正直この「スーツケースの渡り鳥」の方が素晴らしかった気がします。
だって私、この「スーツケースの渡り鳥」だけ、三回見た。
あと、なぜか!!
エンディングで!!
コッピがいた!!!
なんでここでいきなりコッピが出てきたのかまったくわからなかったけど、
終わって油断してたところでいきなり出てきたので、
「うわぁえぉおお??」
ってすごい変な声でました。
まあ何はともあれ!
ものすっごくいい作品!!